店舗を開業するとき、物件が決まりそうになると一気に話が進みます。
立地も悪くない。
内装もイメージできる。
家賃もギリギリ払えそう。
そうなると、
「ここで決めてしまおうかな」
と思いやすくなります。
ただ、物件契約は開業準備の中でも大きな判断です。
一度契約すると、
・家賃
・保証金や敷金
・内装費
・設備費
・借入返済
など、簡単には戻せない費用が発生します。
そこで今回は、飲食店・美容院・ネイル/エステサロンなど、小規模店舗を契約する前に確認しておきたい10のポイントを整理します。
1|家賃だけで「高い・安い」を判断していないか
まず確認したいのが家賃です。
ただし、
家賃15万円だから安い
家賃30万円だから高い
とは単純に言えません。
重要なのは、
その家賃を払ったうえで、必要な利益が残るか
です。
たとえば家賃が少し高くても、客数を確保しやすい立地なら成立する場合があります。
反対に家賃が安くても、必要な客数を集められない場所なら厳しくなります。
家賃は金額だけでなく、
売上・原価・人件費・その他固定費とのバランス
で確認する必要があります。
2|その物件で必要な客数は現実的か
次に確認したいのが、
1日何人のお客様が必要になるのか
です。
たとえば、
「月商200万円必要」
と聞いても、実際の営業はイメージしにくいと思います。
そこで、
客単価 × 1日客数 × 営業日数
まで分解します。
すると、
「この物件なら1日何人必要なのか」
が見えてきます。
その人数を見て、
・この立地で集められそうか
・営業時間内に対応できるか
・席数や施術スペースで回せるか
まで確認します。
計算上は黒字でも、必要客数が現実的でなければ計画を見直す必要があります。
3|黒字ラインまで余裕があるか
「黒字になる」というだけでは、まだ安心できません。
たとえば、
想定客数:1日10人
黒字ライン:1日9.8人
なら、一応黒字です。
でも、わずか0.2人分しか余裕がありません。
少し客数が落ちるだけで赤字になります。
一方、
想定客数:1日10人
黒字ライン:1日7人
なら、3人分の余裕があります。
物件を選ぶときは、
黒字か赤字かではなく、黒字ラインからどのくらい余裕があるか
まで確認しておきたいところです。
4|人件費を現実的に入れているか
飲食店やスタッフを雇う美容院などでは、人件費の影響が大きくなります。
たとえば飲食店なら、
人数 × 時給 × 勤務時間 × 勤務日数
まで分解して確認すると分かりやすくなります。
「人件費はだいたい30万円」
と簡単に置くと、実際に必要なシフトとの差が出ることがあります。
また、今は1人で始める場合でも、
将来スタッフを雇ったときに店が成り立つか
を一度試しておくのも有効です。
5|原価・材料費を低く見積もりすぎていないか
売上だけでなく、
その売上を作るための原価
も重要です。
飲食店なら食材・飲料。
美容院ならカラー剤・パーマ剤・施術用品。
ネイル・エステならジェル・化粧品・オイル・消耗品などがあります。
原価を理想的な数字で置きすぎると、実際の利益との差が大きくなります。
開業前は、
少し原価が上がっても成り立つか
も試しておくと安心です。
6|家賃以外の固定費を忘れていないか
毎月かかる費用は家賃だけではありません。
たとえば、
・水道光熱費
・通信費
・予約システム
・集客媒体
・広告費
・清掃費
・消耗品
・リネン
・保険
・その他サービス利用料
などがあります。
一つひとつは小さくても、積み重なると毎月かなりの金額になることがあります。
物件を借りる前に、
毎月必ず出ていくお金をできるだけ洗い出す
ことが大切です。
7|自分の生活費を入れても成立するか
小規模店舗では、オーナー自身が現場で働くケースも多いと思います。
その場合、
「店として黒字」
だけでは十分ではありません。
自分の生活費が残る必要があります。
たとえば、
毎月25万円は生活費として必要
なら、その金額を最初から収支に入れて考えます。
そうすると、
自分の生活費を確保したうえで、店としてどの程度利益が残るか
を確認できます。
8|借入返済後にもお金が残るか
物件取得費・内装・設備などで融資を利用する場合、開業後は毎月返済が始まります。
そのため、
営業利益が出ていても、
返済後にどのくらい残るか
を見る必要があります。
考え方は、
営業利益
→ 借入返済
→ 返済後に残る金額
です。
返済後の金額に余裕がなければ、
設備故障や売上低下など、予想外の支出に対応しにくくなります。
9|初期費用を回収できそうか
物件を借りると、毎月の家賃だけでなく初期費用も発生します。
たとえば、
・保証金・敷金
・内装工事
・設備
・家具
・厨房機器
・美容機器
・備品
などです。
そのため、
毎月利益が出るか
だけでなく、
開業時に使ったお金をどのくらいの期間で回収できそうか
も確認しておきたいところです。
利益が出ていても、初期投資が大きすぎれば回収に長い時間がかかります。
10|条件が少し悪くなっても耐えられるか
最後に確認したいのが、
予定通りにいかなかった場合
です。
開業前の計画では、つい理想的な条件を入れたくなります。
でも実際には、
・客数が想定より少ない
・原価が上がる
・時給が上がる
・広告費が増える
・水道光熱費が増える
といったことがあります。
そこで、
・客数が1日1人減ったら?
・家賃以外の固定費が3万円増えたら?
・原価率が数%上がったら?
・客単価が想定より低かったら?
など、少し悪い条件でも試してみます。
それでも利益が残るなら、比較的余裕のある計画です。
逆に、少し条件が変わっただけで赤字になるなら、物件契約前にもう一度条件を見直す価値があります。
物件を「好きかどうか」だけでなく数字でも見る
店舗物件は、
「ここで店をやりたい」
と思えることも大切です。
ただ、気に入った物件ほど、
数字の確認が甘くなることがあります。
そこで契約前に一度、
感覚とは別に数字だけで確認する時間
を作ってみてください。
・この家賃で本当に成り立つか
・必要客数は現実的か
・黒字ラインまで余裕があるか
・生活費を確保できるか
・借入返済後にも残るか
を整理すると、判断しやすくなります。
手間なしラボでは業種別に出店前シミュレーターを用意しています
手間なしラボでは、物件契約前の条件確認にも使える出店前収支シミュレーターを、業種別に用意しています。
黄色の入力欄に、
・客単価
・客数
・営業日数
・原価
・人件費
・家賃
・その他固定費
・生活費
・借入返済
などを入力すると、
・月商
・営業利益
・黒字に必要な客数
・想定客数との差
・返済後に残る金額
・初期投資の回収目安
などを確認できます。
候補物件ごとに家賃や条件を変えて、
「この物件ならどうなるか」
を比較する使い方もできます。
飲食店向け
▼ 飲食店 出店前収支シミュレーター
### 美容院向け
▼ 美容院 出店前収支シミュレーター
### ネイル・エステサロン向け
▼ ネイル・エステサロン 出店前収支シミュレーター
物件を契約する前に、
「この店をやりたい」だけでなく、「この条件なら本当に続けられるか」
も一度数字で確認してみてください。