店舗を開業するとき、
「まずは無料の収支Excelテンプレートを使ってみよう」
と考える人は多いと思います。
実際、無料で使えるテンプレートでも、
・売上
・原価
・人件費
・家賃
・その他経費
・利益
などを入力できるものはあります。
開業前に数字を整理する最初の一歩として、無料テンプレートを使うこと自体は悪くありません。
ただし、
そのExcelで「出店して大丈夫か」まで判断したい場合は、何が計算できるのかを確認しておく必要があります。
今回は、無料の収支Excelテンプレートを使うときに確認しておきたい3つのポイントを整理します。
ポイント1|業種ごとの費用まで入れられるか
一般的な収支表では、
売上
− 経費
= 利益
という基本的な計算はできます。
ただ、実際に店舗を開業すると、業種によって必要な費用はかなり違います。
飲食店の場合
たとえば飲食店なら、
・食材・飲料の原価
・決済手数料
・アルバイト人件費
・水道光熱費
・広告費
・家賃
などがあります。
人件費も、
人数 × 時給 × 勤務時間 × 勤務日数
まで考えると、より現実的になります。
単純に「人件費30万円」と入力するだけでは、スタッフ人数や時給を変更したときの影響が見えにくくなります。
美容院の場合
美容院なら、
・カラー剤
・パーマ剤
・シャンプー・トリートメントなどの施術用品
・スタッフ人件費
・家賃
・水道光熱費
・店販商品の仕入れ
などがあります。
さらに、シャンプーやヘアオイルなどを販売する場合は、
店販売上と仕入原価を分けて見る
必要があります。
ネイル・エステサロンの場合
ネイル・エステなら、
・施術材料費
・衛生・使い捨て用品
・リネン・洗濯
・予約・集客媒体費
・家賃
・物販商品の仕入れ
などがあります。
1人サロンなら、自分の生活費をどのくらい確保したいかも重要です。
つまり、
「経費」という1つの欄だけではなく、自分の業種で必要になる支出を具体的に入力できるか
を確認しておきたいところです。
ポイント2|「いくら売れば黒字か」が分かるか
無料の収支表でも、
売上から経費を引いて、
「利益が10万円」
といった数字を出すことはできます。
ただ、開業前に知りたいのは、
今入力している条件で利益が出るかどうかだけではありません。
本当に役立つのは、
どこまで売上が落ちると赤字になるのか
が分かることです。
これが黒字ライン・損益分岐点です。
さらに店舗型の事業なら、
「月商○万円必要」
だけではなく、
1日何人のお客様が必要なのか
まで分かると判断しやすくなります。
たとえば、
想定客数:1日8人
黒字ライン:1日6人
なら、2人分の余裕があります。
一方で、
想定客数:1日8人
黒字ライン:1日7.8人
なら、数字上は黒字でもほとんど余裕がありません。
少し予約が減っただけで赤字になる可能性があります。
そのため、出店判断に使うなら、
「利益がいくら出るか」だけでなく、「どこが黒字ラインなのか」まで確認できるか
を見ておくと安心です。
ポイント3|借入返済後にいくら残るか確認できるか
店舗開業では、
・物件取得費
・内装
・設備
・家具
・厨房機器
・美容機器
など、まとまった初期費用が必要になることがあります。
融資を利用した場合は、開業後に毎月返済が始まります。
ここで注意したいのが、
営業利益と、返済後に実際に残る金額は同じではない
ということです。
たとえば、
営業利益:30万円
借入返済:10万円
なら、
返済後に残る金額は20万円です。
営業利益だけを見ると、
「30万円も残るなら大丈夫そう」
と思うかもしれません。
でも実際には、そこから毎月の返済があります。
開業後の資金に余裕があるかを見るなら、
営業利益 → 借入返済 → 返済後に残る金額
まで確認した方が現実的です。
自分の生活費も忘れない
小規模店舗では、
オーナー自身がその店で働くケースも多いと思います。
その場合、
「店が黒字」
でも、
自分の生活費が残らなければ続けるのは難しくなります。
特に1人美容院やネイル・エステサロンでは、
自分の生活費を最初から収支に入れて考える
と分かりやすくなります。
たとえば、
毎月25万円は生活費として必要
と決めておけば、
その金額を確保したうえで店として利益が残るかを確認できます。
無料テンプレートを使う場合も、
オーナー自身の生活費まで考えられる構造になっているか
を見てみてください。
数字を1回出すだけではなく、条件を変えられるか
開業前の収支は、1回だけ計算して終わりではありません。
たとえば、
・家賃が3万円高くなったら?
・客数が1日1人減ったら?
・客単価を500円上げたら?
・原価率が上がったら?
・スタッフを1人増やしたら?
と条件を変えて確認することで、計画の余裕が見えてきます。
無料テンプレートでも、こうした条件変更が簡単にできるなら十分役立ちます。
逆に、
数式が複雑で、
「どこを変えればいいか分からない」
「計算式を壊しそうで触れない」
という状態だと、何度も試算するのが難しくなります。
開業前のシミュレーションでは、
数字を入力することより、条件を何度も変えて比較できること
の方が大切な場合があります。
無料テンプレートが悪いわけではありません
ここまで読むと、
「無料Excelではダメなの?」
と思うかもしれません。
そういうことではありません。
自分で数字を整理できて、
必要な費用を追加できて、
黒字ラインや返済後の資金まで自分で計算できるなら、
無料テンプレートでも十分使える場合があります。
重要なのは、
無料か有料かではなく、自分が確認したい数字まで出せるか
です。
開業前に必要なのは、きれいなExcelそのものではありません。
自分の条件で店が成り立つかを判断できること
です。
出店判断用なら「結果が分かりやすいか」も確認する
数字がたくさん並んでいても、
最終的に、
「結局この店は大丈夫なのか」
が分からなければ判断しにくくなります。
たとえば、
・月商
・営業利益
・黒字に必要な客数
・想定客数との差
・返済後に残る金額
などがまとまっていると、
どこを確認すればいいか分かりやすくなります。
Excelが得意な人なら自分で式を作れますが、
開業準備中は、
物件探し、仕入先、設備、集客、融資など、
ほかにもやることがたくさんあります。
そのため、
入力したら必要な判断材料が自動で出る
という形も一つの選択肢です。
手間なしラボでは業種別に出店前シミュレーターを作っています
手間なしラボでは、
一般的な収支表ではなく、
店舗を出す前に「この条件で本当に成り立つか」を確認するための一次シミュレーター
として、業種別のExcelを用意しています。
黄色の入力欄に自分の条件を入れると、
・月商
・営業利益
・黒字に必要な客数
・現在の想定客数との差
・返済後に残る金額
・初期投資の回収目安
などを確認できます。
飲食店向け
客単価・1日客数・営業日数・原価率・アルバイト人数・時給・勤務時間・家賃などを入力して確認できます。
▼ 飲食店 出店前収支シミュレーター
美容院向け
施術売上だけでなく、店販商品の販売数・販売単価・仕入単価を分けて入力し、店販売上・仕入原価・粗利も確認できます。
▼ 美容院 出店前収支シミュレーター
ネイル・エステサロン向け
個人・小規模サロンを想定し、施術材料費・家賃・予約媒体費・生活費・物販などを含めて確認できます。
▼ ネイル・エステサロン 出店前収支シミュレーター
無料テンプレートを使う場合でも、有料ツールを使う場合でも、
最後に確認したいのは同じです。
「この数字なら、本当に自分の店は成り立つのか」
その判断に必要な数字が出せるかどうかを基準に選んでみてください。