美容院やネイル・エステサロンを開業するとき、
「施術以外に、シャンプーやホームケア商品も売った方がいいのかな」
と考えることがあります。
店販・物販は、施術以外の売上を作れる方法のひとつです。
ただし、ここで注意したいのが、
物販売上=そのまま利益
ではないことです。
販売する商品には仕入れがあります。
そのため、収支計画に店販・物販を入れるときは、
いくら売れるか
だけでなく、
いくら粗利が残るか
まで確認することが大切です。
今回は、美容院・ネイル・エステサロンの開業前に考えておきたい、店販・物販の収支の見方を整理します。
まずは「売上」と「粗利」を分けて考える
たとえば、
販売価格3,000円
仕入価格1,800円
の商品を1個販売したとします。
売上は3,000円です。
でも、3,000円すべてが利益になるわけではありません。
3,000円 − 1,800円
= 1,200円
この1,200円が、仕入原価を差し引いた後の粗利です。
つまり、
店販売上が月5万円あっても、利益が5万円増えるわけではありません。
収支を見るときは、
・販売数
・販売単価
・仕入単価
を分けて考える必要があります。
美容院では店販を施術売上と分けて見る
美容院では、
・シャンプー
・トリートメント
・ワックス
・スタイリング剤
・ヘアオイル
などを販売することがあります。
たとえば、月にシャンプーを10本販売したとしても、
確認したいのは、
10本売れた
という事実だけではありません。
・1本いくらで売ったか
・1本いくらで仕入れたか
・月にいくら売上になったか
・最終的にいくら粗利が残ったか
まで見ると、店販が美容院全体の収支にどのくらい貢献しているか分かります。
ネイル・エステでも物販の考え方は同じ
ネイル・エステサロンでも、
・ネイルオイル
・ハンドケア用品
・スキンケア商品
・美容液
・クリーム
・ホームケア用品
などを販売することがあります。
これも同じで、
販売価格だけを見ない
ことがポイントです。
たとえば高単価の商品でも、仕入価格が高ければ粗利は小さくなります。
逆に、販売価格はそれほど高くなくても、仕入原価とのバランスが良ければ粗利を確保できることがあります。
店販・物販のメリットは「施術時間を増やさず売上を作れる」こと
美容院やサロンの施術売上には、時間の上限があります。
1人で営業している場合は特に、
1日に施術できる人数
に限界があります。
施術だけで売上を増やそうとすると、
・客数を増やす
・営業時間を延ばす
・客単価を上げる
などが必要になります。
一方、店販・物販は、
施術時間そのものを大きく増やさずに売上を作れる可能性があります。
たとえば施術後に、
「自宅でも使いたい」
という商品を購入してもらえれば、施術時間をもう1枠増やさなくても売上が追加されます。
この点は、1人美容院や1人サロンでは特に大きな特徴です。
ただし「物販を増やせば必ず儲かる」わけではない
店販・物販にはメリットがありますが、商品を増やせば必ず利益が増えるわけではありません。
仕入れた商品が売れなければ、
在庫
として残ります。
たとえば、
「売れそうだから」
という理由で商品を大量に仕入れてしまうと、その分だけ現金が商品に変わります。
売れるまで、そのお金は戻ってきません。
そのため、開業当初は、
・商品数を増やしすぎない
・販売数を現実的に考える
・仕入額を大きくしすぎない
といった考え方も大切です。
月5万円売れるかではなく「月いくら粗利が増えるか」を見る
たとえば、
物販売上:月50,000円
仕入原価:月30,000円
なら、
粗利は20,000円です。
この場合、
店の収支を改善する金額は、まず20,000円として考える
方が分かりやすくなります。
もちろん、実際には決済手数料などが発生することもあります。
だからこそ、
「月5万円売れる」
という数字だけで判断せず、
最終的に何円残るのか
を見る必要があります。
施術だけの場合と、店販・物販ありの場合を比較する
開業前の収支シミュレーションでは、
一度、
施術だけの場合
と、
店販・物販を加えた場合
を分けて比較してみると分かりやすくなります。
たとえば、
パターンA
施術売上だけ
パターンB
施術売上+店販売上
という2つを作ります。
そのうえで、
・月商
・材料費
・店販仕入原価
・営業利益
・黒字ライン
・返済後に残る金額
がどう変わるかを確認します。
そうすると、
「物販を入れることで、本当に店全体の収支が楽になるのか」
が見えてきます。
店販・物販を当てにしすぎない
開業前の計画では、
店販・物販の売上を最初から大きく見積もりすぎない方が安全です。
まだ店を開いていない段階では、
毎月何個売れるか分からないからです。
たとえば、
「毎月50個売れる前提」
で収支を作り、その数字がないと黒字にならない計画だと、実際に売れなかった場合に苦しくなります。
最初は少なめの販売数で計算し、
その条件でも成り立つか確認する方が現実的です。
店販・物販がなくても成立するかを見る
もう一つ確認したいのが、
物販がゼロでも店が成立するか
という点です。
店販・物販は、あくまで追加の売上です。
もし、
「物販が毎月かなり売れないと赤字になる」
という収支なら、施術側の条件をもう一度確認する必要があります。
・客単価
・客数
・家賃
・材料費
・人件費
・その他固定費
を見直して、
施術を中心にしてもある程度成立する状態
を作ったうえで、店販・物販が追加される形の方が安心です。
在庫を持つ場合は「売上」だけでなく資金も考える
物販では、利益だけでなく資金繰りも関係します。
商品を仕入れた時点で、まずお金が出ていきます。
その商品が販売されて初めて、売上としてお金が戻ってきます。
つまり、
利益が出る商品でも、在庫を大量に持てば手元資金が減る
ことがあります。
開業直後は、
・家賃
・水道光熱費
・広告費
・借入返済
などの支払いも続きます。
そのため、最初から大量に在庫を抱えるより、
少量から始めて販売状況を確認する
方が資金管理もしやすくなります。
店販・物販は「施術とは別の収支」として見ると分かりやすい
開業前に数字を整理するときは、
店販・物販を施術売上の中にまとめてしまうより、
別に分けておくと分かりやすくなります。
たとえば、
施術売上
と、
店販・物販売上
を分け、
さらに、
店販・物販の仕入原価
も別にします。
そうすると、
「施術でどのくらい売れているか」
「物販でどのくらい粗利が出ているか」
をそれぞれ確認できます。
美容院・ネイル・エステ向けのシミュレーターでは物販を別入力できます
手間なしラボの美容院向け・ネイル/エステ向け出店前収支シミュレーターでは、施術売上と店販・物販を分けて入力できるようにしています。
美容院向けでは、
・商品名
・月販売数
・販売単価
・仕入単価
を入力すると、
・店販売上
・仕入原価
・粗利
が自動計算され、全体の収支へ反映されます。
▼ 美容院 出店前収支シミュレーター
ネイル・エステサロン向けでも、
ネイルケア用品・スキンケア・ホームケア商品などを商品ごとに入力し、
・月売上
・月仕入原価
・月粗利
を確認できます。
▼ ネイル・エステサロン 出店前収支シミュレーター
店販・物販を収支計画に入れるときは、
「いくら売れるか」だけでなく、「仕入れを引いたあとにいくら残るか」
まで一度確認してみてください。