どうも、FXトレーダー兼システムエンジニアのナオトです。
投資と心理の話の69回目です。前回は、ジムの定額会員が、未来の自分の我慢を高く見積もっていた、という研究でした。
今回は、損を確定させたくない気持ちが、家の売り買いという大きなお金の場面でも出ていた、という研究です。
ボストンの中心部のマンションは、1982年から1989年に価格が約170%上がり、その後の4年で40%以上下がりました。
いちばん下がった1992年には、新しく売りに出た部屋の売り出し価格が、実際に売れそうな価格より約35%高く付いていました。
180日以内に売れたのは、3割に届きません。
この時期の売り出しを、1990年から1997年まで週ごとに追ったのが、経済学者のジェネソーブとメイヤーです。2001年の研究報告です。
2人が比べたのは、売り手が買った価格と、いま売れそうな価格の関係です。
買った価格より、いまの相場が下がっている売り手、つまり売れば損が出る売り手は、売り出し価格を高く付けていました。
その上乗せは、買った価格と売れそうな価格の差の、25〜35%に当たる大きさでした。
実際に売れた価格も、その差の3〜18%ほど高くなっていました。
その代わり、売れるまでの時間は長くなっていました。
損が出る売り手は、買った価格を基準にして、そこに少しでも近い価格で売ろうとしていたことになります。
相場がいくらで売れるかより、自分がいくらで買ったかに、価格が引っぱられていました。
住むために持っている人のほうが、投資のために持っている人より、上乗せは2倍ほど大きく出ていました。ただ、投資のための売り手にも、同じ向きの差がありました。
投資と心理の1回目で書いた、損は得より重く感じる、という傾きが、家という大きな買い物の売り手にも出ていたわけです。
取引に置き換えるなら、含み損の建玉の決済の位置だと思います。
研究の形に当てはめると、入った価格が基準になると、損を出さずに済む価格まで戻るのを待ちたくなります。
相場がどこまで戻りそうかより、自分がどこで入ったかに、決済の位置が引っぱられる形です。
入った価格は、相場にとっては何の意味もない数字です。決済の位置は、入る前に、相場の形から決めておくほうが、引っぱられずに済みます。
なお、これは住宅の研究で、FXで確かめた研究ではありません。
入る前に決めた決済の位置を、そのとおりに守るEAの開発のご依頼も受けています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。