どうも、FXトレーダー兼システムエンジニアのナオトです。
投資と心理の話の66回目です。前回は、マラソンでキリの良いタイムの直前にゴールが固まっていた、という研究でした。
今回は、動かないほうが良い場面でも、人は動いてしまう、という研究です。
サッカーのペナルティキックで、キーパーはどこへ跳ぶか。
これを調べたのが、イスラエルの研究者バーエリたちです。2007年の論文です。
世界のトップリーグや大きな大会のペナルティキックを集め、ゴールの枠に飛んだ286本について、蹴った向きとキーパーの動きを記録しました。
蹴られた向きは、右が39.2%、左が32.2%、真ん中が28.7%でした。真ん中にも、3割近くが来ています。
一方、キーパーが真ん中に残ったのは6.3%だけ。
左に跳んだのが49.3%、右に跳んだのが44.4%で、9割以上が左右に跳んでいました。
止めた割合を、キーパーの動きごとに見ると、こうなります。
左に跳んだとき14.2%。右に跳んだとき12.6%。
真ん中に残ったとき33.3%でした。
真ん中に残った回数は18回と少ないのですが、跳んだときと比べた差は、偶然とは言いにくい大きさでした。
この記録で見るかぎり、真ん中に残るほうが、止められる見込みは高かったことになります。
それでも跳ぶのはなぜか。
著者たちは、跳ぶのがふつう、という思い込みで説明しています。
真ん中に立ったまま決められると、何もしなかった、と見られて、悔しさが大きくなる。
跳んで決められたなら、やるだけはやった、と思える。
同じ1点でも、動かなかったときのほうが重く感じるので、動くほうへ偏る。これを行動バイアスと呼んでいます。
32人のプロのキーパーへの聞き取りも、この説明を支える形で行われています。
取引に置き換えるなら、何もしない時間の扱いだと思います。
入る条件がそろっていないのに、何かしないと落ち着かない。
見送った相場が動くと、何もしなかった自分を責めたくなる。
研究の形に当てはめると、動くのがふつうと思っている場面では、動いて負けるより、動かずに逃すほうが悔しく感じやすい、ということになります。
投資と心理の50回目で書いた、後悔の向きの話ともつながります。
条件がそろうまで何もしない、というのも、決めておけば立派な行動です。
決めた条件がそろったときだけ動くEAの開発のご依頼も受けています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。