どうも、FXトレーダー兼システムエンジニアのナオトです。
投資と心理の話の62回目です。前回は、スピード違反の多い人ほど株の売買が多かった、という研究でした。
今回は、ほかの人がどう考えるかを、人はどこまで先読みしているのか、という実験です。
相場は美人投票に似ている、という言葉があります。
経済学者のケインズが1936年の本で使った例えです。
新聞の写真の中から、いちばん美しい顔を選ぶ投票があり、選ばれた顔に票を入れた人に賞が出るとします。
勝つには、自分が美しいと思う顔より、ほかの人が選びそうな顔を選ぶことになります。
もう1段進むと、ほかの人が、ほかの人はこれを選ぶと考えそうな顔、になっていきます。
では実際に、人はこの先読みを何段まで重ねるのか。
これを実験で確かめたのが、経済学者のナーゲルです。1995年の論文です。
ゲームはこうです。
参加者は、0から100までの数を1つ書きます。
全員の数の平均に3分の2を掛けた数に、いちばん近い数を書いた人が勝ちです。賞金は20マルク(当時で約13ドル)でした。
1回の会は15〜18人。同じ顔ぶれで4回くり返し、毎回、全員の数と平均と答えが黒板に書き出されました。
3分の2の会は4回開かれ、合わせて67人が参加しています。
理屈の上では、答えは0です。
平均は100を超えないので、67より上を書く理由はありません。全員がそう考えるなら44より上もなくなり、これをくり返すと0まで下がります。
1回目の結果はこうでした。
3分の2の会では、書かれた数の平均は36.73。勝つ数は、その3分の2で約24でした。
0を書いた人は1人もいませんでした。
書かれた数は、33の近くと、22の近くに多く集まっていました。
50の3分の2が約33、そのまた3分の2が約22です。
つまり、多くの人は、みんなは真ん中の50くらいを書くだろう、と考えて1段下げるか、ほかの人も1段下げるだろうと考えて2段下げていました。
1段か2段の近くに、選ばれた数のほぼ半分が集まっていました。3段より先の近くにあった数は、6〜10%ほどでした。
くり返すうちに、数は下がっていきました。
ただ、ナーゲルの分析では、下がった理由は、先読みの段が深くなったからではありません。
前の回の答えを見て、それに合わせて書く数を下げていた、という説明のほうが合っていました。
仮に1回目に理屈どおり0を書いていても、勝つ数の約24からは遠く、勝てなかった計算です。
ほかの人がそこまで読まないからです。勝ちに近いのは、ほかの人が何段まで読むかを当てた人でした。
取引に置き換えるなら、ほかの人がどう動くかを読むことに、限りがあるという点だと思います。
自分は3段先まで読んだ、と思っても、ほかの人が1段で止まっていれば、その読みは外れます。
逆に、みんなはこう考えるはずだ、という読みは、自分が1段目で止まっているだけかもしれません。
ハムラットの話の12回目で書いたように、私はEAの入り口を、自分の読みでは決めず、過去のデータを総当たりして決めています。
ほかの人の読みの深さは当てられなくても、結果として残った値動きは数えて確かめられます。
なお、これは教室での実験(賞金はマルク)で、相場で確かめた研究ではありません。
実際の値動きを過去のデータで数える過去検証も、ご依頼をお受けしています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。