どうも、FXトレーダー兼システムエンジニアのナオトです。
投資と心理の話の55回目です。前回は、プロでも値動きの幅を狭く見積もる、という話でした。
今回は、前もって決めたことを、当日の自分が変えてしまう話です。
来週の月曜は、過去検証を3本やろう。
そう決めても、月曜の朝になると、今日は1本にして残りは水曜に回そう、となることがあります。
前もって決めるときは、先の自分に多めの仕事を割り振る。その日になると、いまの仕事を減らして後へ回す。
心理学や経済学では、これを現在バイアス、または先延ばしのくせと呼びます。前もって決めた計画と、当日の選び直しが食い違うことを、動的な不整合と言います。
このくせは、お金の受け取りの時期を選ばせる実験で、長く調べられてきました。
ところが近年、お金で測ると、型どおりのくせが出ない、という結果が続いていました。
そこで、経済学者のオーゲンブリック、ニーデルレ、スプレンガーは、お金のかわりに手間で測りました。
カリフォルニア大学バークレー校の実験室で102人を集め、7週間かけて行った実験です。
仕事は、意味のないギリシャ語の文を書き写すことと、途中まで積んだテトリスを仕上げること。
どの週にどれだけやるかを、1週間前に割り振り、当日にもう一度割り振り直せます。実際に使われるのは、どちらか一方です。
すべてやり終えると、最後の週に100ドルがもらえます。お金の面は同じにして、いつ働くかだけを選ばせた形です。
すべてをやり終えた80人で見ると、結果はこうでした。
お金の配分では、先延ばしのくせはほとんど見られませんでした。
手間では、1週間前に割り振ったその日の量が、当日に割り振り直した量より、平均で約9%多くなっていました。
当日の自分が、いまの仕事を減らして後へ回していた、ということです。
何週か続けたあと、前もって決めた割り振りのほうを使ってもらえる仕組みを選べるようにしました。
ただで選べるときは、59%の人がそれを選びました。費用がかかると、ほとんど選ばれませんでした。
そして、先延ばしのくせが測られた人ほど、この仕組みを選んでいました。
自分のくせを知っている人は、当日の自分に選び直させない仕組みを、自分から選んでいた、と読めます。
取引に置き換えると、損切りの位置や決済の決まりは、前もって決めることが多いはずです。
でも、その場になると、今回はもう少し待とう、と選び直したくなります。手間の先延ばしと同じ向きです。
EAにすれば、決めた決まりを当日の自分が選び直すことはできません。
裁量で取引するなら、入る前に損切りの注文まで置いてしまう。投資と心理の52回目の、もし〜なら〜する、と同じ考え方です。
これは大学の実験室での作業の割り振りの実験で、取引の研究ではありません。ただ、前もって決めた自分と当日の自分は違う、という前提で決まりを作っておくと、その場の選び直しを減らせます。
決めた決まりをそのまま動かすEAやインジケーターの開発のご依頼も受けています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。