どうも、FXトレーダー兼システムエンジニアのナオトです。
投資と心理の話の52回目です。前回は、相場が下げた翌日は口座を見なくなる、オーストリッチ効果の話でした。
今回は、決めたことを、決めたとおりにやるための工夫の話です。
損切りの位置を決めていたのに、その場になると動かしてしまう。
入る条件を決めていたのに、条件がそろわないうちに入ってしまう。
やるべきことは分かっているのに、その時になるとできない。
心理学では、この、分かっているのにできない、のすき間を埋める方法が研究されてきました。
1997年に、心理学者のゴルヴィツァーとブランドシュテッターが、ドイツの大学生でこんな実験をしています。
クリスマスの前に、学生に1つの課題を出しました。
クリスマスイブをどう過ごしたかを、イブのあと2日のうちに書いて、送ってください、というものです。
半分の学生には、いつ、どこで書くかを、前もって決めて書き込んでもらいました。
もう半分には、それを頼みませんでした。
レポートを送ってきて、どちらの組か分かった36人を調べると、イブのあと2日のうちに書いていたのは、決めた組で71%(17人のうち12人)、決めなかった組で32%(19人のうち6人)。
書いた日も、決めた組は平均でイブの2.3日後、決めなかった組は7.7日後でした。
送ってこなかった人は、この数に入っていません。
同じ論文のもう1つの調べでは、学生が自分で選んだ、休み中にやりたいことを追っています。
難しいことに限ると、いつどこでやるかを決めていた人は62%がやり終え、決めていなかった人は22%でした。
この、もし〜という場面になったら、〜をする、と前もって決めておくことを、実行意図と呼びます。
2006年には、ゴルヴィツァーとシーランが、それまでの94の検証をまとめて、目標をやり通すことに、中くらいから大きめの効き目がある、と報告しています。
ただ、1997年の実験は、1つの組が20人に満たない小さな実験です。
その後の追試では、効かなかった場面もあると報告されています。どんな目標にも同じだけ効く、とまでは言えません。
取引に置き換えると、決めておくのは、何をするかだけでは足りない、ということになります。
たとえば、損切りをする、で終わらせずに、価格がこの位置を割ったら、すぐ決済する、まで決める。
無理に入らない、で終わらせずに、上位足の向きが逆なら、どんなに良く見えても入らない、まで決める。
場面と動きを1組にして、前もって書いておく。
その場で考える余地を残さないのがねらいです。
実はEAは、この、もし〜なら〜する、の決まりを、全部コードにしたものです。
EAを作るときは、裁量で頭の中にあった決まりを、場面と動きの組に書き出すところから始めます。組にできないところは、まだ決まっていないところです。
ご自分の決まりを書き出して、EAにしたり、過去のデータで確かめたりするご依頼も受けています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。