どうも、FXトレーダー兼システムエンジニアのナオトです。
投資と心理の話の39回目です。前回は、ダニング=クルーガー効果と、でたらめでも出る同じグラフの話でした。
今回は、まれな出来事を、説明で読むときと、自分で経験するときとで、重さの感じ方が逆になる、という話です。
投資と心理の1回目で書いたプロスペクト理論には、確率の感じ方の話も入っています。
文章で、1%の確率で大きく損をします、と示されると、人はその1%を実際より重く感じやすい。保険に入りたくなるのは、このためだと説明されます。
ところが、2004年に、これとは逆の結果が報告されました。
実験では、確率と結果を文章で見せる代わりに、ボタンを押すたびに結果が1つ出る形にしました。
押すたびに、ふだんはほぼ同じ結果が出て、ごくたまに、大きく違う結果が出る。参加した人は、何度か押して確かめてから、本番でどちらのボタンを選ぶかを決めます。
すると、自分で押して経験した人たちは、まれな結果を、実際より軽く見ているかのように選びました。
文章で読んだときとは、向きが逆です。
理由として挙げられたのは2つです。
試しに押した回数が少なく、まれな結果にまだ一度も出会っていない人が多かったこと。そして、最近出た結果を重く見ること。
この結果には、異論もあります。
違いのほとんどは、試しに押した回数が少なかったせいで説明できる、という分析が2006年に出ました。一方で、それだけでは説明しきれない、という研究も出ています。
どちらにしても、まだ出会っていないまれな出来事は、経験からは見えない、ということは変わりません。
相場で、これが出やすいものの1つが、ナンピンのEAです。
ナンピンのEAを動かして眺めていると、たいていの日は、小さな利益で閉じていきます。半年、1年と、大きな負けに一度も出会わないこともある。
その経験が積み重なるほど、まれな大きな下げは、自分には来ないもののように感じられてきます。
でも、過去で測ると、まれな下げは確かに入っています。
投資と心理の22回目で、ゴールドの押し目で買い下がるナンピンの型を2003年から測ったとき、2013年から2018年まで閉じた組が1つもありませんでした。
検証ノートの45回目では、本数を絞った形が、7年動かなかった話を書いています。
経験だけで判断すると、まだ出会っていない下げは、無いのと同じに見えます。
だから、まれな出来事は経験に任せず、過去の大きな急変を借りて、あらかじめ確かめておく。投資と心理の23回目に書いたやり方です。
お使いのEAが、しばらく負けずに動いているときほど、過去の大きな急変の中で、同じEAがどうなるかを一度確かめてみてください。
まだ経験していない下げは、経験からは見えません。
お使いのEAを、過去の大きな急変の中で測る、過去検証のご依頼も受けています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。