どうも、FXトレーダー兼システムエンジニアのナオトです。
投資と心理の話の14回目です。前回は、自分で選んだものを高く見積もる、コントロールの錯覚でした。
今回は、直前に勝ったか負けたかで、次の賭け方が変わってしまうくせです。
1990年に、行動経済学のリチャード・セイラーとエリック・ジョンソンが、この傾向を実際のお金を使った実験で調べています。
論文の題は、カジノのお金で賭けることと、取り戻そうとすること、という意味のものです。
よく引かれる例を1つ紹介します。
先に30ドルを持たせた人たちに、コインを投げて、9ドル勝つか9ドル負けるかの賭けを受けるかを聞きました。7割が受けた、と伝えられています。
何も持たせていない人たちには、確実に30ドルもらうか、コインを投げて39ドルか21ドルかを選んでもらいました。コインを選んだのは43%です。
どちらも、最後に手元に残るのは39ドルか21ドルか30ドルで、幅は同じです。
それでも、先に手元にお金がある組のほうが、賭けを受けました。
勝ったあとに賭けが大きくなる傾向は、ハウスマネー効果と呼ばれます。
カジノで勝った分を、カジノのお金だと感じて、軽く扱ってしまう。だから、ふだんは断る賭けも受けてしまう、という説明です。
反対に、負けたあとは、ふだんは慎重になります。
ところが、負けを一気に取り戻せる賭けが出てくると、飛びついてしまう。こちらは取り戻し効果と呼ばれます。
ただし、追試の結果は分かれています。決め方の形を変えると消えた、という実験もあります。いつでも必ず起きる、とまでは言えません。
トレードに置き換えると、どちらもロットの話になります。
勝ちが続いたあと、今日は調子がいいからと、ロットを上げる。
負けが続いたあと、次の1回で取り戻そうとして、ロットを上げる。
方向は逆でも、どちらも直前の結果でロットが動いています。
相場は、こちらが直前に勝ったか負けたかを知りません。次の取引の勝ちやすさは変わらないのに、賭ける量だけが変わってしまいます。
投資と心理の3回目で、バルサラの破産確率の話を書きました。
生き残れるかどうかは、勝率と損益比に加えて、1回に賭ける割合で決まります。
勝ったあとに割合を上げれば、その分だけ破産確率は上がります。勝った分も、自分のお金です。
10回目のギャンブラーの誤謬の回では、連敗のあとにロットを上げない、と書きました。勝ったあとも同じです。
私が作っているEAは、ロットを残高から決めています。
直前の取引が勝ちでも負けでも、その気分でロットが変わることはありません。
裁量で取引するときも、ロットは入る前に、残高と損切りまでの距離から決めておく。
直前の結果を、次の賭け方に持ち込まない。それが、このくせへの手当てです。
ご自分の手法で、ロットの決め方を変えると成績がどう変わるかを測る、過去検証のご依頼も受けています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。