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今日は、業務の「見える化」で仕事効率を上げるにはどうすればいいのかという点について書いていきます。
「見える化」というのは、トヨタ自動車における業務改善においてはじめて登場しました。トヨタにおける「見える化」は、「目に見える管理」を意味しています。
コロナ禍におけるテレワークの急速な広がりで、一人ひとりの仕事が見えないということが大きな問題となり、仕事を見えるようにすることが仕事の管理上の課題となっています。しかし、日々の業務を「見える化」しようとしても、その対象はさまざまでなかなか難しいものです。まずは、正しく「見える化」を理解することがスタートです。
1.「見える化」とは何か?
「見える化」というのは、端的に言えば「見えないものをみえるようにすること」です。「見える化」は「可視化」と同義に用いられることもありますが、作業を通じて目指す「見える状態」が異なります。「可視化」は「見えなかったものを文字や数字など見えるものに変えること」ですが、「見える化」は「見えなかったものを意思とは関係なく強制的に見える状態にする」ことです。
トヨタ生産方式における自働化は、目で見て正常か異常かを判断する仕組みで、作業者自身が機械を止める「アンドン」というボタンが導入され、正常や異常など状況に合わせてランプの色を変えることで、常に目で見て従業員自身が業務を管理できることになっています。これが、「見える化」の起源です。
「見える化」の対象は、「見えないもの」で、当然のことながら、見えるものは対象ではありません。つまり、「見える化」とは、「普段は見えないものを、何か特別なことをして見えるようにすること」です。
事実には原因と現象があります。目に見えているのは現象です。問題が発生した時に、現象だけ見ていたのでは問題を解決することはできません。その現象を引き起こしている原因を炙り出いて、対策を講じることで、問題を解決することができるのです。
この原因というものは、目の前に現れてこないもの、つまり見えないものです。この目に見えない原因を細部に至るまで調べ尽くして見えるようにすることで、どこに問題があるのか、それを解決するためにどうすればいいのかが明らかとなっていくのです。
そのポイントは3つあります。
Ⅰ:ポイント1 「見える化」はトリガー(引き金)にすぎない・・・「見える化」は目的ではありません。何かをするにあたって、必要な行動を開始させるトリガー(引き金)にすぎないのです。必要な行動に結びつかない「見える化」は何の価値もありません。
Ⅱ:ポイント2 「見える化」は「現在」を対象にする・・・「見える化」は徹底して「現在の事実」を見えるようにするものです。過去の事実でも未来の事実でもありません。「見える化」は、今この瞬間、現在進行中の事実を見えるようにして、確実に良い結果が得られるように調整を繰り返していくことです。つまり結果から次の計画を立てることを繰り返すマネジメントではなく、現在の事実から今の行動を調整することを繰り返して結果を出すマネジメントです。
Ⅲ:ポイント3 必ず「夢」も一緒に「見える化」する・・・見えないものは事実だけではありません。未来の事実となりうる「夢」も見えないものの一つです。「夢」を「見える化」し、将来への期待とそれを担う自分たちの役割を認識させることが、組織を成長させるのです。「夢」も単にありたい姿や状態を描いただけでは行動できません。行動が開始されるまで具体化されなければ「見える化」された夢とは言えないのです。
2.「見える化」の目的
「見える化」には次の目的があると言われています。
Ⅰ:個人の暗黙知を組織に共有する・・・暗黙知は、主観的で言語化や数値化が困難で他人に伝えるのが難しい知識のこと(職人やベテランのスキルや技術、ノウハウなど)ですが、見える化し分かりやすく示されることで、ナレッジや成功要因として新たな成果を生み出すことが期待されます。
Ⅱ:個人の成果を見える化して、現状を把握する・・・成果の見える化は、高いモチベーションにつながり、業務への意欲が向上されます。
業務プロセスを見える化して、ムダを改善する・・・業務プロセスの見える化によって、進捗や状況を把握しやすく業務効率の改善につながります。
Ⅲ:顧客を見える化して、売上を上げる・・・顧客の見える化によって、顧客ニーズが顕在化されるため、よりニーズに合った製品やサービスを生み出すことが可能となり、売上につながります。
Ⅳ:企業方針を見える化して、組織を強化する・・・企業方針の見える化で、エンゲージメントが高まり、社員と企業双方が同じベクトルを向いた働きが可能となります。
3.「見える化」のメリット
「見える化」のメリットとして、次のものが挙げられます。
Ⅰ:課題の発見と把握・・・業務プロセスを「見える化」することで、課題の発見と把握ができ、組織内の全員で問題点に対して共通の認識を持てることで問題点の改善を効果的・効率的に行えます。
業務方法の共有化や標準化・・・業務を「見える化」することで属人的に行われていた業務を最も効率の良い方法に共有化・標準化できます。
Ⅱ:人材の育成・・・「見える化」で業務方法が共有化・標準化できれば、最も良い効率的な方法ですべての従業員が業務をできるようになり、人材育成に役立ちます。
Ⅲ:作業リスクやミスの軽減・・・「見える化」することで、これまで生じていた作業上のリスクやミスが改善され、「見える化」で特定の作業員しかできなかった作業が誰でもできるようになります。
Ⅳ:コストの削減・・・「見える化」で業務のムダをなくせば、コスト削減につながります。
企業にとって必要不可欠な「業務の効率化」を進めるには「見える化」は極めて重要です。「見える化」しないまま業務の効率化を図ろうとすれば、見えないために適切の課題を発見・把握できず失敗するリスクが高まります。うまく「見える化」を行い、業務改善につなげていけば、経営の合理化が図れます。
「見える化」をする上で最も重要なことは、分かりやすくシンプルにすることです。複雑でわかりづらい「見える化」では、かえって組織に新たな問題を引き起こします。「シンプル イズ ベスト」です。また、一番わかっているのは現場です。現場の当事者が見えるようにならなければ意味がありません。そのためには現場を巻き込んで、現場の当事者が見えるような仕組みを作っていかなければなりません。そのためには、経営トップが中心となり「見える化」を牽引しなければならないのです。