親の介護、何から話せばいい?
― 親も子も安心する、介護準備の小さな一歩 ―
スマートフォンに親の名前が表示されると、少し身構えてしまう。
「今日は何を言われるのだろう」
「短い電話で済むだろうか」
連絡を取る前から疲れて、電話を切ったあとも、しばらく気持ちが落ち着かない。
親のこれからを考えたいと思っていても、普段のやり取りだけで精いっぱい。そんな状態で、介護やお金の話まで持ち出す余裕がない方もいらっしゃると思います。
今回は、親との連絡に負担を感じているときに、どこから介護準備を始められるかを考えます。
連絡の負担は、電話の長さだけではありません
「たった10分、電話するだけでしょう?」
周りからそう言われても、その10分の前後にある負担は、なかなか伝わらないものです。
話す内容を何度も考える。
機嫌を損ねないように言葉を選ぶ。
電話が終わってから、言われたことを繰り返し思い出す。
子どものころから話を聞いてもらえなかった方や、否定されることが多かった方にとっては、今の電話に昔のつらさが重なることもあるでしょう。
また、以前は穏やかに話せていたのに、最近は頼まれごとや愚痴が増え、しんどくなったという方もいるかもしれません。
連絡に負担を感じていること自体が、介護準備を考えるうえで大切な事情です。
親への気持ちも、これまでの関係も含めて、今のご自身に合う進め方を考えてよいのです。
まずは「何が負担なのか」を一つだけ
「親と話すのがつらい」と感じるとき、その負担を少し具体的にしてみると、相談したいことが見えてくる場合があります。
例えば、次のような違いがあります。
・連絡の時間や回数:仕事中にも電話が来て、気が休まらない。
・会話の内容:用件を聞きたいのに、自分への批判や兄弟姉妹との比較が始まる。
・連絡の方法:電話だと言葉が出なくなり、伝えたかったことを言えない。
メッセージなら話せる方もいれば、通知を見ること自体が負担になる方もいるでしょう。
「自分は、どんな場面でいちばん疲れるのだろう」
すぐに答えが出なくても構いません。まずは、最近のやり取りで負担に感じた場面を一つ、メモしてみてください。
話せそうなときは、用件と時間を小さく区切る
日常の連絡について、ご自身が「今なら短い電話はできそう」と思える場合には、最初に用件と話せる時間を伝える方法もあります。
例えば、「今、少し話せる? 今日は次の通院日を確認したくて。私は10分くらいなら話せるよ」と、確認したいことを一つに絞ってみる。
その日に介護の話を全部進めようとすると、お互いに負担が大きくなることがあります。短い確認を一つできたら、その日のやり取りを終える形でもよいでしょう。
話が長くなり、続けることがつらくなったときには、「今日はこれで電話を切るね」と、会話を区切る言葉を用意しておくこともできます。
ただ、時間を区切ろうとすると強く責められるなど、伝えること自体が難しい関係もあります。その場合は、その事情を相談先に伝えるところから始めてください。
兄弟姉妹との連絡にも、別の難しさがあります
親から聞いた話を兄弟姉妹に伝えると、今度はそれぞれの不満を聞くことになる。
「あなたが親に聞いておいて」と言われ、いつの間にか連絡役を担っている。
親とのやり取りだけでなく、その後の家族への共有まで含めて疲れている方もいると思います。
兄弟姉妹と話せる関係であれば、「今、連絡役を続けることが負担になっている」と、役割について相談することも選択肢です。
もともと関係が良くない、何年も連絡していない、話すと責められてしまう。そうした場合も、今の状況をそのまま相談してかまいません。
家族同士で話し合えるかどうかも含めて、準備の進め方を考えることができます。
親と話す前に、自分の側でできる準備もあります
今は親に連絡する余裕がない。それでも、何かしておきたい。
そんなときは、ご自身の側から始められることを一つ選んでみてください。
例えば、仕事や休息の時間を確かめて、対応できそうな範囲を書いてみる。
親の住む地域の相談先を調べる。第三者に相談したいことを一つメモする。
「親と直接話すのは難しいです。今、分かっている情報だけで、どんな準備ができるか相談したいです」
このように、連絡の難しさを最初に伝えることもできます。
今の生活を保ちながらできることを探す時間も、介護準備の一歩です。
親との連絡に疲れていることも、ご相談いただけます
「介護のことは気になるけれど、親に電話するところで止まってしまう」
そんな状態でも、ご相談いただけます。事前に親から詳しい話を聞いてくる必要はありません。
60分の介護準備相談では、ご家族との関係や現在の暮らしを伺いながら、連絡で負担になっていること、今の情報から確認したいこと、無理なく始められそうな準備、必要に応じた相談先を一緒に整理します。
「今は直接話すことが難しい」という事情も、最初にお聞かせください。
ご相談は60分・3,000円(税込み)です。
次回は、「親が情報を教えてくれない。子ども側では何を準備できる?」をテーマに、分からないことが残る中での準備を考えます。