第1回 父の葬儀を終えて
9月15日(火)午前6時44分、父が亡くなりました。
本当に、突然のことでした。
前日まで、父は特別養護老人ホームでいつもと変わらず過ごしていました。
私自身も、「このまま、あと3年、5年くらいは特養で生活していくのだろう」と、どこかで思っていました。
ところが、その翌日の早朝。
午前3時頃、父は特別養護老人ホームの自分の部屋で倒れました。
その後、午前5時頃に病院へ緊急搬送。
そして午前6時44分、帰らぬ人となりました。
虚血性心疾患による、まさに突然死でした。
あまりにも急な出来事で、気持ちの整理がつかないまま、そこから父を見送るための時間が始まりました。
「まさか、今日亡くなるとは」誰も思っていなかった
親が高齢になれば、「いつか別れの日が来る」ということは頭では分かっています。
父は介護施設で生活していましたし、これまで入院や体調の変化も経験してきました。
ですから、「父の死」というものを一度も考えたことがなかったわけではありません。
それでも、「まさか今日、父が亡くなるとは」思ってもいませんでした。
前日まで普通に生活していた父。
あと数年は施設で暮らしていると思っていた父。
その父が、数時間のうちに倒れ、救急搬送され、亡くなってしまう。
これが「突然死」なのだと、私は当事者になって初めて実感しました。
亡くなるということには、必ずしも「心の準備をする時間」があるわけではありません。
介護が長く続いたからといって、その先にゆっくりと看取りの時間が訪れるとも限らない。
今回の父の死は、そのことを私に強く教えてくれました。
父が亡くなる前から「葬儀社の方」とつながっていた
父が亡くなった直後、非常に助かったことがありました。
それは、「亡くなる前から葬儀社の方との人間関係ができていたこと」です。
人が亡くなると、悲しむ間もなく、さまざまなことを決める必要があります。
病院からどこへ搬送するのか?
葬儀をどのような形で行うのか?
火葬場はどうするのか?
死亡届などの手続きはどうするのか?
そして、それらを短い時間の中で次々と判断しなければなりません。
今回、以前からつながりのある葬儀社の方へ相談できたことで、病院からの引き取りから葬儀、火葬まで、必要なことを一つずつ教えていただきながら進めることができました。
もちろん、葬儀社の方にもさまざまなご配慮をいただいたと思います。
しかし何より、「いざという時、相談できる人がいる」ということ自体が、家族にとって非常に大きな安心につながりました。
私はこれまで終活について、「元気なうちから準備しておくことが大切です」とお伝えしてきました。
今回、自分自身がその当事者となり、葬儀社との「つながり」もまた、一つの終活なのだと実感しました。
初めて経験した「直葬」という見送り方
今回、父の葬儀は「直葬」という形を選びました。
通夜や一般的な告別式を行わず、家族を中心に故人と最後のお別れをし、火葬する形式です。
9月18日(金)16時から、家族で父を見送りました。
正直なところ、実際に経験する前には、
「直葬では少し寂しいのではないだろうか?」
「本当にきちんと父を見送れるのだろうか?」
という思いが、全くなかったわけではありません。
しかし実際に終えてみると、私の印象は変わりました。
家族だけで静かに父と向き合い、最後のお別れをする。
父の顔を見ながら、これまでのことを思い返す。
そして、感謝を伝えて送り出す。
葬儀社の方の配慮も大きかったと思いますが、私自身は、「直葬という見送り方も、十分にありだ」と感じました。
もちろん、どの葬儀の形が正しいということではありません。
一般葬、家族葬、直葬。
故人の希望、家族の考え方、宗教、親族との関係、費用などによって、選択はそれぞれ違います。
大切なのは、「どの形式を選んだか」以上に、「家族が納得して故人を送り出すことができたか?」なのかもしれません。
葬儀が終われば、すべてが終わるわけではない
9月18日、父の葬儀を無事に終えることができました。
これで一区切り。
そう思いたい気持ちもあります。
しかし、現実にはここからも多くのことが待っています。
現在、私たち家族が進めなければならない主なことだけでも、次のようなものがあります。
1.未支給年金・遺族年金の申請
父が亡くなるまでに受け取る権利があった未支給年金について確認し、あわせて母の遺族年金についても手続きを進める必要があります。
2.埋葬費などの申請
父が加入していた健康保険制度を確認し、対象となる給付について申請していきます。
3.納骨と四十九日法要
祖父と祖母が眠っている公園墓地のお墓があります。
父についても、できれば祖父母と同じお墓に納骨したいと考えています。
墓地への確認、納骨手続き、そして四十九日法要についても、これから進めていきます。
4.母の銀行口座の手続き
父亡き後、母自身のお金をどのように管理していくのかも、大きな課題です。
まずは、母名義の銀行口座について、キャッシュカードの発行など必要な手続きを確認していきます。
5.相続手続き
そして、相続です。
父にどのような財産や契約があったのか?
相続人は誰なのか?
どの手続きを、いつまでに行う必要があるのか?
形式上、一つひとつ確認していかなければなりません。
葬儀を終えれば終わりではありません。
むしろ、「家族としてのさまざまな手続きは、葬儀が終わってから本格的に始まる。」今、そう感じています。
「終活」は、余命が分かってから始めるものではない
私はこれまで、介護準備や終活について多くの方にお伝えしてきました。
しかし今回の経験で、改めて強く感じたことがあります。
それは、「終活は、死期が近づいてから始めるものではない」ということです。
父は前日まで普通に生活していました。
私も「あと数年は大丈夫だろう」と思っていました。
しかし、別れは突然やってきました。
だからこそ、
・もしもの時、どこへ連絡するのか?
・葬儀をどのようにしたいのか?
・お墓はどこなのか?
・年金や銀行口座はどうなっているのか?
・財産や契約はどこにあるのか?
・家族の誰が何を担当するのか?
こうしたことを、元気なうちから少しずつ家族で共有しておく。
それが、本当の意味での「終活」だということを、父の突然の他界、そして葬儀を通じて実感しました。
当事者になって初めて分かることを、記録していきたい
これまで私は、介護準備や終活を「伝える側」にいました。
父母の介護も経験してきました。
しかし今回、「父を突然亡くし、葬儀を行い、これから納骨・年金・銀行・相続などの手続きを進めていく側」になりました。
これまで知識として分かっていたことと、実際に家族として経験すること。
そこには、やはり違いがあります。
分かっていたつもりでも、当事者になって初めて分かることがあります。
だからこそ、今回の経験を記録として残していこうと思いました。
この連載では、「父を見送って――家族として経験した葬儀・納骨・相続の記録」として、これから実際に経験していくことを綴っていきます。
制度の説明だけではなく、
「実際に何に困ったのか?」
「何をしておいて良かったのか?」
「もっと準備しておけば良かったことは何か?」
そうしたことも、できるだけ率直に書いていきたいと思っています。
同じように高齢の親を持つ方。
介護をしている方。
そして、「親はまだ元気だから大丈夫」と思っている方にも、何か一つでも届くものがあればと思います。
父を見送ってから、まだ数日。
気持ちの整理も、すべてできているわけではありません。
それでも一つひとつ、家族として必要なことを進めながら、今回の経験を、これからの私自身の「介護準備」と「終活」の活動にもつなげていきたいと思います。