親の介護、何から話せばいい?
― 親も子も安心する、介護準備の小さな一歩 ―
親からの着信を見ても、すぐには電話に出られない。
介護のことが気になっても、「また自分の気持ちを後回しにする日々が始まるのでは」と、身構えてしまう。
子どものころから親との関係がつらかった方にとって、介護準備には、手続きやお金の話だけでは説明しきれない難しさがあると思います。
今回は、これまでの関係と、今のご自身の暮らしを大切にしながら、どのような準備ができるかを考えます。
親が年を取っても、過去のつらさが消えるとは限りません
話を聞いてもらえなかった。
何を選んでも否定された。
兄弟姉妹と比べられ、我慢する役割が自分に回ってきた。
そうした日々を経て、親と距離を置くことで、ようやく落ち着いた暮らしができるようになった方もいるでしょう。
そこへ親の老いや介護の話が持ち上がると、これからの負担だけでなく、過去のことまで気になってしまうかもしれません。
「親も年を取ったのだから」と言われても、気持ちがついていかないこともあります。
これまでつらかったという事情も、介護準備を考えるうえで大切な情報です。
親を心配する気持ち、距離を保ちたい気持ち、まだ考えたくない気持ち。
今ある思いを、無理に一つにまとめる必要はありません。
今の暮らしから、関われそうな範囲を考える
「これから親の介護にどう関わるか」と考えると、大きな決断を迫られるように感じるかもしれません。
まずは、今の暮らしに照らして、負担を感じることから整理してみませんか?
直接会うこと、電話すること、メッセージを読むことのうち、何が負担になっているか?
仕事や体調、家計を考えると、どのような関わり方が難しいか?
自分だけでは判断できず、誰かに相談したいことは何か?
たとえば、
「電話では断れなくなるけれど、短い文章なら落ち着いて考えられる」
「今は直接やりとりする余裕がないので、先に相談先を調べたい」
そんな整理からでも構いません。
昔から家族の中で担ってきた役割だけで、これからの関わり方を決めなくてもよいのです。
今のあなたの生活や、連絡による負担も含めて考えていきましょう。
兄弟姉妹と、親への気持ちが違うこともあります
同じ親のもとで育っても、親との関わりや、任されてきた役割は違うことがあります。
兄弟から「一緒に面倒を見よう」と言われても、同じ気持ちにはなれない。過去のことを話しても、「そんなに気にしなくても」と受け止められてしまう。
そのような場合には、話し合い自体が負担になることもあるでしょう。
兄弟と連絡を取れる状況で、役割を求められたときには、たとえば、
「まず、今分かっている親の状況を、メッセージで教えてもらえますか?私がどこまで関われるかは、それを確認してから考えたいです」
と、情報を確認するための返事をする方法もあります。
返信そのものが難しい場合には、その事情も含めて第三者に相談できます。家族の気持ちがそろっていなくても、ご自身の困りごとから話し始められます。
相談先には「今、難しいこと」から伝えても大丈夫です
家族以外に介護のことを相談するとき、「親との過去を全部説明しなければ、分かってもらえないのでは」と思うかもしれません。
話し始める言葉は、今の状況を伝える短いもので構いません。
たとえば、
「親とは昔から関係が良くありません。直接会うことは負担が大きいので、その事情も含めて、今できる準備を相談したいです」
と伝えます。
親と疎遠で、現在の状況がよく分からない場合には、そのことも相談の出発点になります。
「親の暮らしについて、今分かっているのはここまでです。何を確認すればよいか、一緒に整理してほしいです」
そんな伝え方もできます。
親の住む地域の相談窓口を調べる。相談先で聞きたいことを、一つだけメモにする。
家族との距離を保ったまま、始められる準備もあります。
今の気持ちや家族関係のまま、ご相談いただけます
「介護を考えなければとは思うけれど、親に会いたいとは思えません」
「今は関わりたくない気持ちもあり、どう考えればよいか分かりません」
ご相談は、そんなお話からでも大丈夫です。話したくない出来事を、無理に説明していただく必要もありません。
60分の介護準備相談では、今のご家族との関係や暮らしを伺いながら、
・負担に感じていること
・現時点で関われそうな範囲
・最初に確認したい情報
・家族以外も含めた相談先
を一緒に整理します。
「親と話す前に、自分の考えを整理する時間」としても、ご利用いただけます。
ご相談は60分・3,000円(税込み)です。
次回は、「親に優しい気持ちを持てない自分を責めてしまうあなたへ」をテーマに、介護を考えるときに生まれる迷いや、ご自身への思いを取り上げます。