親の介護、何から話せばいい?
― 親も子も安心する、介護準備の小さな一歩 ―
「もし親が入院したら、費用はどうするのだろう」
気になっていても、「貯金はいくらあるの?」とは聞きづらい。
親に「私のお金を当てにしているの?」と思われないだろうか?
兄弟に知られたら、余計な誤解を招かないだろうか?
そんな心配が浮かんで、言葉を飲み込んでしまうこともあると思います。
今回は、親のお金を聞きづらい気持ちを大切にしながら、確認する前にできる準備を考えます。
お金の話には、これまでの家族関係も重なります
普段は気軽に話せる親子でも、お金のこととなると、どこまで聞いてよいか迷うことがあります。
もともと関係が良くなかった場合には、さらに複雑な気持ちになるかもしれません。
以前、親にお金の援助を求められて困った。
兄弟への援助と自分への扱いに、不公平さを感じてきた。
お金の話をしたときに、強い言葉で責められた。
そうした経験があれば、「また何かを求められるのでは」「また傷つくのでは」と身構えることもあるでしょう。
聞きづらさの背景には、言葉の選び方だけでは片づけられない事情もあります。
その事情を置き去りにせず、今の関係で何ができそうかを考えていきたいと思います。
まずは「何が心配で、知りたいのか」を整理する
「親のお金が分からなくて不安」という気持ちを、もう少し具体的にしてみませんか?
・急な入院費を支払う準備があるか、気になっている。
・介護が必要になったとき、親が費用をどう考えているか知りたい。
・自分に援助を求められたら、家計にどのくらい影響するか心配している。
どれが気になるかによって、最初に確認したいことも変わってきます。
ご自身の生活への影響が心配だという気持ちも、準備を考えるうえで大切な事情です。
親への気持ちが複雑なままでも、まず何に困りそうなのかを整理することはできます。
話せそうなときは、目的を伝えて一つだけ
ご自身に話す余裕があり、親も話を聞いてくれそうなときには、気になっている理由から伝える方法があります。
たとえば、「もし急に入院することがあったら、費用をどう支払うかが気になっているんだ。今、そのことを少し聞いてもいい?」
と、話してよいか尋ねます。
親が応じてくれたら、「急な出費に備えて、使おうと考えているお金はある?」など、確認したいことを一つに絞ってみます。
何をどこまで話すかは、親御さんの意向も確かめながら進めます。
その日にすべての金額を把握しようと急ぐ必要はありません。
「今は話したくない」と言われたり、ご自身がつらくなったりした場合には、その日の話を終えても構いません。
言葉を選んでも、話が進まないことはあります。
ご自身の伝え方だけが原因とは限りません。
兄弟からどう思われるかも、気になることがあります
「親のお金を聞いたと知ったら、兄弟に勘ぐられそう」
以前から金銭面でわだかまりがある場合には、親に聞くこと自体をためらってしまうかもしれません。
兄弟と話せる関係なら、「急な入院費の備えが気になっている」など、確認したい目的を伝える方法があります。親から聞いた内容を共有するときには、親がどこまで共有してよいと考えているかにも配慮したいところです。
今は兄弟に連絡することが難しければ、その事情も含めて、先に第三者へ相談する方法を考えてよいのです。
直接聞けなくても、手元でできる準備があります
今は親に聞くことが難しい場合には、「分かっていること」と「分からないこと」をメモにしてみます。
たとえば、次のような整理です。
・親本人から聞いたこと:年金で生活していると聞いている。
・まだ分からないこと:急な入院費などに備えがあるか?
・自分の不安:援助を頼まれても、毎月の負担を増やす余裕はない。
「持ち家があるから大丈夫だろう」「兄弟が知っているはず」といった見込みは、実際に聞いた情報と分けておきます。
分からない欄が残っていても構いません。
どこが分からず、何を心配しているかが見えてくれば、相談するときに伝えやすくなります。
家族への連絡に負担を感じる場合には、このメモをもとに、地域の相談窓口などで費用に関する相談先や確認事項を尋ねることも、準備の一つになります。
お金の話をする前の迷いから、ご相談いただけます
「親のお金が気になるけれど、聞けるような関係ではありません」
「自分の生活も苦しく、援助を求められるのが不安です」
ご相談は、そんなお話からでも大丈夫です。
60分の介護準備相談では、ご家族との関係や今分かっている情報、ご自身の暮らしへの不安を伺いながら、最初に確認したいこと、伝える言葉、家族以外も含めた相談先を一緒に整理します。
ご相談は60分・3,000円(税込み)です。
次回は、「子どものころから親との関係がつらかった。介護をどう考えればいい?」をテーマに、これまでの関係と、ご自身の暮らしを踏まえた介護準備を考えます。