親の介護、何から話せばいい?
― 親も子も安心する、介護準備の小さな一歩 ―
親から頼まれごとをされると、ため息が出る。
電話を切ったあと、声がきつくなった自分を責めてしまう。
「もう少し優しくできたはずなのに...。」
「年を取った親に、こんな気持ちを持つ私は冷たいのだろうか?」
介護のことを考えようとすると、そんな思いまで重なって、気持ちが動かなくなることはありませんか?
今回は、親に優しい気持ちを持てないときの、自分への責める気持ちについて考えます。
「子どもなのだから」という言葉が、重くなるとき
「親を大切にしないとね」
「元気なうちに親孝行しておいたほうがいいよ」
そう言われて、うなずくことしかできない。
周りの人が親の世話をしている話を聞くと、自分だけができていないように感じる。
けれど、その人とご自身では、これまでの親子関係も、今の暮らしも違います。
仕事や家事で余裕がない方もいれば、親と話すたびに気持ちをすり減らしている方もいるでしょう。
今、優しい気持ちになれないというだけで、ご自身を「冷たい人」と決めつけなくても大丈夫です。(私自身、父母の介護3年目にして、やっと穏やかな気持ちで父母に接することができるようになりました。)
まずは、どんなときに苦しくなるのか。その事情にも、目を向けてみてほしいと思います。
昔からのつらさが、今の気持ちに重なることもあります
子どものころ、自分の話を聞いてもらえなかった。
困っていても、「それくらい我慢しなさい」と言われてきた。
大人になって距離を置き、ようやく落ち着いて暮らせるようになった。
そうした経緯がある方にとって、親の介護は、これまでのつらさにも触れる話題になり得ます。
「私がつらかったときには、助けてくれなかったのに...」
そんな思いが浮かび、さらに自分を責めてしまうこともあるかもしれません。
親への思いは、一人ひとり違います。心配と怒りが混ざっている方も、気持ちが離れたままの方もいるでしょう。
これまでの関係や、今の気持ちも含めて、介護準備を考えてよいのです。
兄弟姉妹と、同じように感じられなくても
兄弟姉妹から、
「お母さんがかわいそうじゃない」
「それくらい、やってあげればいいのに」
と言われると、責められたように感じることがあります。
同じ親の子どもでも、親からかけられた言葉や、担ってきた役割が同じとは限りません。現在の負担にも違いがあります。
兄弟姉妹が親に優しく接している姿を見て、ご自身と比べてしまうこともあるでしょう。
そのときは、相手の接し方を基準にする前に、今のご自身の状況を確かめてみてください。
連絡を受ける回数、頼まれごとに使う時間、仕事や暮らしへの影響。
表からは見えにくい負担もあります。
兄弟姉妹に説明すること自体が難しい場合には、その事情も相談先に伝えてかまいません。
「申し訳ない」と思ったときほど、引き受ける前にひと呼吸
親にきつく言ってしまったあと、「埋め合わせをしなければ」と、次の頼まれごとを引き受ける。
無理をして疲れ、また余裕がなくなって、自分を責める。
もし思い当たることがあれば、返事をする前に、ご自身の予定や体調も確かめる時間を取ってみてください。
例えば、メモに次の三つを書いてみる方法があります。
・負担になっていること:仕事中にも何度も電話が来て、気が休まらない。
・守りたいこと:仕事に集中する時間と、夜に休む時間。
・相談したいこと:連絡を受ける範囲や、ほかに頼れる先を整理したい。
うまく書けなければ、「何がいちばんつらいのか分からない」でも大丈夫です。
親への気持ちが整理しきれないままでも、今の暮らしで何が難しいのかは、少しずつ言葉にできます。
引き受ける範囲を考えるときには、ご自身の時間や体力、生活の事情も含めてください。
今の気持ちのまま、介護準備を相談していただけます
「親に優しくできないなんて、相談したら責められそう」
「何をしたいのかも決まっていないのに、話してよいのだろうか?」
そんなためらいがある方もいらっしゃると思います。
介護準備の相談は、今の気持ちや困りごとを言葉にするところから始められます。
「親に優しい気持ちを持てません。でも、介護のことが気になって、自分を責めてしまいます」
その一言も、相談の入り口になります。話せる範囲で、今いちばん気になっていることをお聞かせください。
60分の介護準備相談では、ご家族との関係や現在の暮らしを伺いながら、
「負担に感じていること」
「確認したい情報」
「今できそうな準備」
「必要に応じた相談先」
を一緒に整理します。
親と連絡を取ることが難しい場合も、その状況を含めてご相談いただけます。
ご相談は60分・3,000円(税込み抜)です。
次回は、「介護のことを考えたいけれど、親と連絡を取るだけで疲れてしまう」をテーマに、連絡の負担と、ご自身の暮らしを守るための準備を考えます。