【第5回】介護離職を決める前に、家族会議で確認したいこと

【第5回】介護離職を決める前に、家族会議で確認したいこと

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「親の介護は、近くに住んでいる自分がやるしかない...」

「兄弟姉妹はいるけれど、介護のことを話し合ったことがない...」

「仕事を辞めるかどうか悩んでいるのに、家族にはなかなか相談できない...」

そんな悩みを抱えていませんか?

親の介護が始まると、家族の中で誰が何を担当するのか、自然に決まってしまうことがあります。

実家の近くに住んでいるから。

長男や長女だから。

比較的、仕事の時間を調整しやすそうだから。

そんな理由で、一人に介護の負担が集中してしまうこともあります。

しかし、親の介護を大切にすることと、自分自身の仕事や人生を犠牲にすることは、同じではありません。

今回は、介護離職を決断する前に、ぜひ家族で話し合っていただきたいことをお伝えします。

1.なぜ、介護離職を防ぐために「家族会議」が必要なのか?

介護が始まったとき、家族の間で十分な話し合いができていないと、さまざまな問題が生じやすくなります。

例えば、

- 誰が親の通院に付き添うのか
- 誰がケアマネジャーとの連絡を担当するのか
- 介護費用は誰が負担するのか
- 緊急時には誰が駆けつけるのか
- 介護する家族の仕事はどうするのか

こうしたことが曖昧なままでは、特定の家族に負担が集中してしまう可能性があります。

そして、その負担が大きくなることで、「もう仕事を辞めるしかない」と考えるようになることもあります。

しかし、本当にその人がすべてを引き受けなければならないのでしょうか?

私は、介護離職を防ぐためにも、早い段階で家族会議を開くことが大切だと考えています。

2.家族会議で最初に確認したいのは「親自身の希望」

家族会議というと、誰が介護するのか、誰が費用を負担するのかといった話から始めがちです。

しかし、最初に大切にしたいのは、介護を受ける親御さん自身の希望です。

例えば、

「できるだけ自宅で暮らしたい」

「子どもたちには迷惑をかけたくない」

「必要になったら施設への入居も考えたい」

「住み慣れた地域で暮らし続けたい」

など、さまざまな思いがあるでしょう。

家族が良かれと思って決めたことでも、親御さん本人の希望と一致しているとは限りません。

もちろん、認知症や病気などによって、ご本人の意思を確認することが難しい場合もあります。

その場合でも、これまでの生活や価値観、過去に話していた希望などを手がかりに、できる限り本人の意思を尊重することが大切です。

介護は、親の人生を家族が一方的に決めることではありません。

親御さんの希望を出発点にして、家族ができること、専門職や介護サービスに任せられることを考えていきましょう。

3.家族会議で確認したい5つのポイント

では、実際の家族会議では、何を話し合えばよいのでしょうか?

私は、次の5つのポイントをお勧めしています。

① 親の現在の介護状況と今後の見通し
まずは、家族全員が親の現状を共有することが大切です。

- 要介護認定を受けているか
- 日常生活でどのような支援が必要か
- 通院や医療的な対応が必要か
- 現在、どのような介護サービスを利用しているか
- 今後、介護状況が変化する可能性はあるか

ここで大切なのは、分かっていることと、まだ分からないことを整理することです。

今後の見通しについては、医師やケアマネジャーなどの専門職に確認することも必要です。

② 家族それぞれができること・できないこと
介護の役割分担では、全員が同じ量の介護を担当することが公平とは限りません。

仕事、居住地、健康状態、家庭の事情などは、それぞれ異なります。

例えば、

- 近くに住む家族は、日常の見守りや通院対応
- 遠方の家族は、行政手続きや情報収集
- 時間を確保しやすい家族は、ケアマネジャーとの連絡
- その他の家族は、合意のうえで費用面や別の役割を担当

といった方法も考えられます。

大切なのは、誰か一人がすべてを背負うのではなく、それぞれの事情を尊重しながら、継続できる分担を考えることです。

なお、家族だけで対応しようとせず、介護保険サービスなどの利用も含めて考えましょう。

③ 介護にかかる費用と負担方法
介護には、さまざまな費用がかかります。

介護サービスの自己負担、食費、日用品、通院にかかる交通費、福祉用具などです。

施設への入居が必要になれば、さらに費用が変わることもあります。

ここでは、次のことを確認しておきたいものです。

- 親自身の年金や預貯金で、どこまで対応できるのか
- 毎月どの程度の費用が必要なのか
- 今後の介護費用はどの程度見込まれるのか
- 家族による費用負担が必要な場合、どう話し合うのか

親御さんの財産や収支は、ご本人の意思やプライバシーを尊重しながら、必要な範囲で確認することが大切です。

介護費用だけでなく、介護する人が離職した場合に失う収入についても、忘れずに考えていただきたいと思います。

④ 介護する家族の仕事と生活への影響
ここは、特に重要なポイントです。

家族会議では、親の介護については熱心に話し合っても、介護を担う人の仕事や生活については十分に話し合われないことがあります。

しかし、介護を担う家族にも、それぞれの人生があります。

「今の仕事を続けたい」

「子どもの教育費がかかる」

「自分自身の老後資金を準備しなければならない」

「体調に不安があり、無理はできない」

こうした事情も、家族で共有することが大切です。

また、勤務先の介護休業や介護休暇、短時間勤務等の制度についても確認しておきましょう。

厚生労働省も、介護保険サービスと職場の両立支援制度を活用し、自分だけで介護を抱え込みすぎないことを勧めています。

護を担う人の仕事と生活を守ることも、家族会議の大切な目的です。

⑤ 緊急時の対応と、今後の見直し
介護は、最初に決めたとおりに進むとは限りません。

親の体調が急変したり、入院が必要になったり、これまで利用していたサービスだけでは対応できなくなったりすることもあります。

そのため、

- 緊急連絡先と連絡する順番
- 病院や施設から連絡があった場合の対応
- 急に介護が必要になった場合の支援先
- 介護体制を見直すタイミング

なども確認しておきましょう。

家族会議は、一度開けば終わりではありません。

状況が変わったときには、改めて話し合うことが必要です。

4.家族会議は「誰が介護するか」を押し付ける場ではありません

家族会議で気をつけたいことがあります。

それは、誰かに介護の責任を押し付ける話し合いにしないことです。

例えば、

「近くに住んでいるんだから、あなたがやって当然でしょう」

「仕事があるから自分には無理」

「長男なんだから責任を持つべきだ」

こうした言葉が出てしまうと、話し合いが難しくなることがあります。

私は、家族会議を「誰がどれだけ介護するかを決める場」だけではなく、**家族全員が無理なく親を支える方法を一緒に考える場**にしていただきたいと思っています。

そのためには、相手を責めるのではなく、自分自身の状況や気持ちを伝えることが大切です。

例えば、「私も親のことは大切に思っています。ただ、今の仕事を辞めることは難しいので、家族で協力できる方法を考えたいです」

このような伝え方から始めてみてはいかがでしょうか。

5.家族会議を始めるための、ちょっとした工夫

「家族会議を開きましょう」と言っても、なかなか家族が集まれない場合もあります。

そこで、最初は30分程度でも構いません。

オンラインでの話し合いでもよいでしょう。

最初からすべてを決める必要はありません。

まずは、

「親の今の状況を共有する」

「それぞれが心配していることを話す」

「次に確認することを決める」

この3つから始めることをお勧めします。

そして、話し合った内容は簡単に記録しておきましょう。

誰が、いつまでに、何を確認するのか。

次にいつ話し合うのか。

それだけでも、家族の行動が具体的になります。

また、家族だけでは意見がまとまらない場合、ケアマネジャーや地域包括支援センターなどの専門職に相談することも一つの方法です。

 6.私自身も、父母の介護を通じて家族の話し合いの大切さを実感しました

私自身、父母の介護を経験してきました。

事前に考えていたとおりに介護が進むとは限らず、突然の入院や退院後の生活の変化、施設入所の検討など、さまざまな状況に直面してきました。

その中で感じたのは、介護の問題は一つひとつが独立しているわけではないということです。

親の健康状態、住まい、家族の生活、費用の問題。

そして、介護を担う人の仕事や今後の人生。

これらはすべてつながっています。

だからこそ、介護が始まってから慌てて考えるのではなく、できるだけ早い段階から家族で話し合っておくことが大切だと感じています。

また、どれほど準備していても、想定外の出来事は起こります。

一度決めたことに固執するのではなく、その時々の状況に応じて、家族で考え直す柔軟さも必要です。

7.介護離職を決断する前に、家族と話し合ってみませんか?

親の介護で仕事を辞めようか悩んでいる方に、ぜひお伝えしたいことがあります。

退職は、ご自身の今後の生活やキャリアにも大きく関わる決断です。

だからこそ、その前に家族で話し合い、使える制度やサービスを確認し、仕事を続けるための方法を考えていただきたいと思います。

そして、家族会議を開く前に、

「何を話し合えばよいのか分からない」

「家族にどう伝えればいいのか悩んでいる」

「今の仕事を続けるための選択肢を整理したい」

と感じている方は、一人で抱え込まずにご相談ください。

私は国家資格キャリアコンサルタントとして、これまで5,200人以上のキャリア形成や就労支援に携わってきました。

また、自身の家族介護経験を通じて、介護を担う方が直面する現実も経験してきました。

現在、ココナラでは、親の介護と仕事の両立に悩む方に向けて、60分の個別ビデオ相談を行っています。

相談では、現在の状況や悩みを整理しながら、家族に確認したいこと、職場に相談したいこと、利用できる制度や支援について一緒に考えていきます。

親の介護を大切にしながら、ご自身の仕事と人生も大切にする。

そのための第一歩を、一緒に考えてみませんか?

【次回予告】

第6回「家族が介護に協力してくれない...。一人で抱え込まないためにできること」

親の介護について家族で話し合おうとしても、なかなか協力を得られない場合があります。

次回は、家族間の温度差や役割分担の難しさに直面したとき、仕事と介護の両立を諦めないために考えたいことをお伝えします。


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