第50話(最終回) 一人で抱え込まない。相談を使って準備を前倒しする方法

第50話(最終回) 一人で抱え込まない。相談を使って準備を前倒しする方法

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ここまで49話にわたり、

親の介護。

認知症。

お金。

終活。

仕事。

介護離職。

住まい。

施設。

家族との話し合い。

について考えてきました。

そして今回が、この連載の最終回です。

この50話を通して、私が本当にお伝えしたかったことがあります。

それは、「親が元気なうちに、介護準備・終活を始めて下さい。」ということです。

介護が必要になってからではなく。

認知症が進んでからでもなく。

入院してからでもなく。

施設を探さなければならなくなってからでもありません。

親がまだ元気で、自分の希望を話せる今だからこそ、始めてほしいのです。

そして、もう一つ。

何か起きた時に、一人で全部を抱え込まないでほしい。

この二つが、この連載で最もお伝えしたかったことです。

なぜ「元気なうち」なのか?

親が元気だと、「まだ介護のことを考えるのは早い」と思います。

旅行にも行く。

買い物にも行く。

車も運転する。

趣味も楽しんでいる。

そんな親に、

介護。

認知症。

終活。

相続。

施設。

の話をするのは、確かに気が重いものです。

でも、考えてみてください。

親が元気だからこそ、自分の希望を話せます。

どこで暮らしたいのか?

介護が必要になったらどうしたいのか?

どんな医療を受けたいのか?

誰に何を頼みたいのか?

お金をどう使いたいのか?

自分で考え、自分で選ぶことができます。

つまり、「親が元気なうちの介護準備・終活とは、親の意思を守るための準備」なのです。

介護が始まると「考える時間」が急になくなる

介護は、予定表を見ながら始まるものではありません。

ある日突然、

親が転倒した。

救急搬送された。

認知症が急に進んだ。

一人暮らしが難しくなった。

車を運転できなくなった。

という形で始まることがあります。

その瞬間から家族には、

「退院後はどうしますか?」

「自宅で生活できますか?」

「介護サービスを使いますか?」

「施設を探しますか?」

と、次々に判断が求められます。

でも家族は、その時初めて、「親は本当はどうしたかったのだろう?」と考える。

これでは遅いことがあります。

だからこそ、介護が始まる前に、親の希望を聞いておく。

ここに大きな意味があります。

準備を前倒しすることは「早く決めること」ではない

「早めに介護準備を」と言うと、「まだ元気なのに施設を決めるの?」と思う方がいるかもしれません。

そうではありません。

準備を前倒しするというのは、

今すぐ施設を決める。

今すぐ家を売る。

今すぐ遺言を書く。

ということではありません。

大切なのは、「選択肢を知っておくこと」です。

地域包括支援センターはどこにあるのか?

介護保険はどう使うのか?

施設にはどんな種類があるのか?

親はどこで暮らしたいのか?

会社にはどんな介護支援制度があるのか?

お金はどこにあるのか?

これを少しずつ確認しておく。

それが、準備です。

親が元気な時なら「選べる」

たとえば施設選び。

親が元気なら、

複数の施設を見学できます。

食事を確認できます。

場所を比較できます。

費用を考えられます。

本人も、

「ここなら暮らしてもいい」

「ここは嫌だ」

と意見を言えます。

しかし、突然退院期限が迫ってから探すと、

「空いているところ」

「すぐ入れるところ」

から選ばざるを得ない場合があります。

つまり、「早めに考える最大のメリットは、選択肢が増えること」なのです。

「終活」は死ぬための準備ではない

この連載では、終活についても何度も取り上げてきました。

終活という言葉を聞くと、

お墓。

葬儀。

遺言。

相続。

を想像するかもしれません。

でも、本来の終活はもっと広いものです。

これからどこで暮らしたいか?

誰と過ごしたいか?

介護が必要になったらどうしたいか?

自分のお金を何に使いたいか?

大切な人へ何を伝えたいか?

つまり、「これからの人生をどう生きたいかを考えること」でもあります。

だから私は、終活は、「死ぬための準備ではなく、最後まで自分らしく生きるための準備」だと考えています。

「困ったら相談する」では少し遅いことがある

相談というと、「本当に困ってから行くもの」と思われがちです。

親が認知症になったら相談する。

介護が始まったら相談する。

仕事を辞めたくなったら相談する。

施設が必要になったら相談する。

もちろん、それでも相談しないよりはずっとよいと思います。

でも、本当に価値があるのは、「まだ困り切っていない時の相談」です。

「最近、親の物忘れが少し気になる」

「一人暮らしなので将来が心配」

「まだ元気だけれど、何を準備しておけばいい?」

この段階で相談する。

すると、慌てずに考えることができます。

相談することは「弱さ」ではない

責任感の強い人ほど、「親のことは自分が何とかしなければ」と考えます。

自分で調べる。

自分で病院へ連れて行く。

自分で施設を探す。

自分で会社を調整する。

そして、疲れ切ってしまう。

でも、介護には、

医療。

介護保険。

お金。

仕事。

住まい。

相続。

認知症。

家族関係。

と、さまざまな問題が絡みます。

一人ですべて理解する必要はありません。

相談するということは、できないから誰かに頼るというより、「自分一人では持っていない情報や選択肢を増やすこと」です。

まず「相談先を一つ」持っておく

親の介護について、どこに相談すればいいのか分からない。

そんな方もいると思います。

まず知っておきたいのが、親の住んでいる地域の地域包括支援センターです。

まだ介護が始まっていなくても、

最近少し物忘れが気になる。

足腰が弱くなってきた。

一人暮らしが心配。

介護保険について知りたい。

こうしたことを相談できます。

今すぐ相談しなくても構いません。

担当する地域包括支援センターの名前と電話番号を調べて、スマートフォンに入れておく。

それだけでも準備になります。

大切なのは、「困った時に、最初に電話できる場所を知っていること」です。

仕事も「辞める前」に相談する

親の介護が始まると、仕事を辞めることを考える人がいます。

でも、第49話でもお伝えしたように、

まず確認してほしいのは、

会社に相談したか?

介護休業や介護休暇を確認したか?

働き方を変えられないか?

介護サービスを使い切っているか?

ということです。

介護が始まった直後は、「もう無理」と思うことがあります。

でも、

制度。

サービス。

家族分担。

を見直すことで、仕事を続けられる可能性があります。

だから、退職を決めてから相談するのではなく、退職を考える前に相談する。

この順番が大切です。

親のお金も「必要になってから探す」のでは遅い

介護が始まると、お金が必要になります。

でも、その時になって、

「どこの銀行だった?」

「保険は入っている?」

「通帳はどこ?」

となる家庭があります。

だから、元気なうちに、

銀行。

保険会社。

年金。

不動産。

重要書類。

について、

まずは所在だけでも確認します。

大切なのは、いきなり、「貯金はいくら?」と聞くことではありません。

第32話でもお伝えしたように、「金額より、まず所在」です。

家族との話し合いも早いほどいい

介護が始まってから兄弟姉妹で話し合うと、

「誰がやるの?」

「私は無理」

「あなたが近いでしょう」

と、役割分担の話から始まることがあります。

でも親が元気な時なら、「将来もし介護になったら、どうしようか?」と少し余裕を持って話せます。

誰が近くに住んでいるか?

誰が仕事を調整しやすいか?

誰が情報収集できるか?

誰が費用管理をするか?

完璧に決めなくても構いません。

一度でも家族で話しておくことで、緊急時の動き方は変わります。

準備を前倒しするなら、まずこの7つ

この50話を読んで、「では、何から始めればいいの?」と思った方もいるでしょう。

全部やる必要はありません。

まず次の7つから始めてみてください。

1.親のかかりつけ医を知る

2.飲んでいる薬を確認する

3.親の地域の地域包括支援センターを調べる

4.銀行・保険・重要書類の場所を確認する

5.親に「もし介護が必要になったら、どうしたい?」と聞いてみる

6.兄弟姉妹がいるなら、一度家族で話してみる

7.自分の勤務先の介護支援制度を確認する

一度に全部やる必要はありません。

今週一つ。

来月一つ。

それでいいのです。

100点の準備より、今日できる10点の準備

介護準備や終活は、やることが多く見えます。

そのため、「時間ができたらまとめてやろう」と思いがちです。

でも、その「いつか」は、なかなか来ません。

そして、突然介護が始まることがあります。

だから、

完璧を目指さなくていい。

エンディングノートを全部書かなくてもいい。

財産一覧を完璧に作らなくてもいい。

まず、

お薬手帳の場所を確認した。

地域包括支援センターを調べた。

親と10分話した。

それだけでも前進です。

介護準備で大切なのは、「100点の準備を一度にすることではなく、10点の準備を少しずつ積み重ねること」です。

「親が元気だから何もしない」から「元気だから始める」へ

この連載を通して、最も変えてほしい考え方があります。

それは、「親が元気だから、まだ何もしなくていい」から、「親が元気だから、今のうちに少し始めよう」への転換です。

元気だから話せる。

元気だから選べる。

元気だから整理できる。

元気だから見学できる。

元気だから希望を残せる。

介護が始まる前だからこそ、

できることがたくさんあります。

親70歳・子45歳は「早すぎる」のではない

この連載のサブタイトルは、「親70歳・子45歳から始める人生防衛戦略」でした。

親70歳。

まだ元気な人もたくさんいます。

だからこそ、この時期なのです。

そして子ども45歳前後も、

仕事では責任が増える。

住宅ローン。

教育費。

自分の老後資金。

これからのキャリア。

など、自分自身の人生にとって重要な時期です。

ここに突然介護が重なる。

だから、親の介護準備と子どものキャリア・家計の準備を、別々に考えてはいけません。

「親と子の人生を同時に守る準備」が必要なのです。

親を守ることと、自分を守ることは両立できる

介護では、

親を優先するか?

自分を優先するか?

という二択になりがちです。

でも、本当はそうではありません。

介護サービスを使う。

施設を使う。

会社の制度を使う。

家族に頼る。

専門家へ相談する。

これは、親を見捨てることではありません。

むしろ、「長く親を支えるために、自分の生活基盤を守ること」です。

親の人生も大切。

自分の人生も大切。

どちらか一方を犠牲にするのではなく、両方をできるだけ守る。

それが、これからの介護準備の基本だと思います。

この連載でお伝えしてきた「新常識」

全50話でお伝えしてきたことを、改めてまとめてみます。

介護は、始まってから考えるものではない。

終活は、死ぬ準備ではない。

親のお金は、金額よりまず所在を知る。

認知症になる前だから選べる制度がある。

施設は、入居条件だけでなく退去条件を見る。

介護分担は、完全な平等より納得できる公平さを目指す。

ひとりっ子なら、家族以外の支援チームをつくる。

遠距離介護は、何度帰れるかより現地で回る仕組みをつくる。

免許返納は、車を取り上げる話ではなく、返納後の生活をつくる話。

介護離職を考える前に、会社・制度・介護サービスへ相談する。

そして何より、親が元気なうちに、介護準備・終活を始める。

さらに、一人で抱え込まず、困る前から相談を使う。

これが、この連載でお伝えしたかった新常識です。

最終回――親も子も笑顔でいるために

親は、いつまでも元気ではありません。

私たち子ども世代も、いつまでも若いわけではありません。

老いを止めることはできません。

介護が絶対に起きないようにすることもできません。

でも、備えることはできます。

親の希望を聞く。

大切な情報を共有する。

相談先を知る。

家族で話す。

お金を整理する。

住まいを考える。

仕事の制度を知る。

少しずつ準備する。

それだけで、

突然介護が始まった時の混乱を減らすことができます。

この連載を通じて、私が本当にお伝えしたかったことを、最後にもう一度書きます。

親が元気なうちに、介護準備・終活を始めて下さい。

そして、一人で抱え込まないで下さい。

親を守るために、子どもの人生を犠牲にしない。

子どもの都合だけで、親の人生を決めない。

親には親の人生があります。

子どもには子どもの人生があります。

お互いの人生をできるだけ守りながら、支え合える仕組みをつくる。

そのために、

相談する。

情報を集める。

家族で話す。

専門家を頼る。

制度を使う。

そして、

準備を少しずつ前倒しする。

親が元気な今だからこそ、

話せることがあります。

決められることがあります。

選べることがあります。

「何かあった時に考えよう」ではなく、「何も起きていない今だから、少しだけ考えておこう」

そこから始めてみてください。

親70歳。

子45歳。

決して早すぎる時期ではありません。

むしろ、親も子も、自分の人生を自分で選べる可能性がまだ大きい時期

だからこそ、始める意味があります。

一人で全部調べなくていい。

一人で全部介護しなくていい。

一人で全部決めなくていい。

必要な時には、人を頼る。

制度を頼る。

専門家を頼る。

家族で話す。

そして、親が元気なうちから、介護準備・終活を少しずつ始める。

それが、「AI時代の親の介護準備と終活の新常識」であり、「親も子も笑顔で人生を歩んでいくための、これからの人生防衛戦略」なのだと思います。

全50話にわたり、お読みいただき、本当にありがとうございました。

この連載が、「まだ早い」と思っていた方にとって、親と一度話してみるきっかけになれば。

そして、

「そのうちやろう」と思っていた介護準備・終活を、「今日、何か一つだけ始めてみるきっかけ」になれば、とてもうれしく思います。

親が元気な今という時間は、永遠には続きません。

だからこそ、今日が、介護準備・終活を始める一番若い日です。

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