キャリアコンサルタント資格を取った。
学びも続けている。
それでも、いざ動こうとすると、こんな気持ちが出てくることはないでしょうか。
「まだ自信がない」
「私が相談に乗っていいのだろうか?」
「もっと経験のある人でないと無理ではないか?」
この不安は、とても自然なものです。
しかも、あなただけの悩みではありません。
JILPTの調査でも、キャリアコンサルティングに関連する活動をしていない人は約3割おり、その理由の一つとして「自分自身の専門的スキル・知識に自信がない」ことが挙がっています。報告書では、この「自信のなさ」は活動休止につながる要因の一つとして整理されています。
では、なぜキャリコンとして自信が持てなくなるのでしょうか?
今回は、その「本当の理由」を整理してみたいと思います。
自信がないのは、能力がないからとは限りません
最初にお伝えしたいのは、ここです。
多くの人は、自信が持てないと
「自分は向いていないのではないか?」
「力が足りないのではないか?」
と考えがちです。
でも実際には、自信が持てない理由は、単純な能力不足よりも、経験の見え方、比較の仕方、始め方の設計不足にあることが少なくありません。
つまり、問題は「できないこと」そのものより、自分の現在地をどう見ているかにあることが多いのです。
理由1 「完成したキャリコン像」と自分を比べてしまう
自信が持てない人の多くは、無意識のうちに「理想のキャリコン像」を頭の中に作っています。
たとえば、
相談件数が多い
人事経験がある
面談に慣れている
話し方が上手い
発信も積極的にしている
すでに仕事として成立している
そんな人を見て、「自分はまだそのレベルに達していない」と感じてしまうのです。
でも、本来比較すべきなのは「完成形の誰か」ではありません。
資格を取ったばかりの自分が、これからどんな経験を積むかです。
私も、キャリコンデビュー当初は人事経験も実務経験もなく、応募書類も通らず42連敗しましたし、初めての面談の時や初めての面談ケースの時は、冷や汗をかきながら、対応していました。
今、豊富な実践経験を持つ形になるまでには、かなりの試行錯誤と積み上げがありました。(今でも初めてのケースの時や難しいケースの時は、プレッシャーを感じながら対応しております。)
つまり、自信のある人に見える人でも、最初からそうだったわけではありません。
理由2 実務経験の少なさを、そのまま「無価値」と受け取ってしまう
これも非常に多いです。
キャリコンとしての相談件数がまだ少ない。
だから自信がない。
この流れ自体は自然です。
ただ、ここで問題なのは、実務経験が少ないことを、自分には価値がないことと結びつけてしまうことです。
実際には、キャリアコンサルタントとして活きる土台は、面談件数だけではありません。
日常業務での部下との面談、顧客との打合せ、ヒアリング、職場でのコミュニケーション、生涯設計を考えてきた経験なども、資格や技能の役立ちとして整理されています。
つまり、
「キャリコン実務の件数は少ない」
と
「支援の土台が何もない」
は、まったく別の話です。
ここを混同すると、自信は持ちにくくなります。
理由3 自分の経験を「支援価値」に変換できていない
ミドルシニア世代の強みは、資格そのものよりも、これまでの仕事経験や人生経験にあります。
それなのに、自信が持てない人は、その経験をうまく言葉にできていないことが多いです。
たとえば、
営業経験
管理職経験
現場経験
再就職や転職の経験
介護と仕事の両立経験
親を看取った経験
人を育ててきた経験
これらは、支援テーマによっては非常に大きな武器になります。
(失敗経験も実は貴重な経験といえます。)
しかし、多くの人は
「これはキャリコン実績ではない」
「こんな経験は当たり前だ」
と考えてしまいます。
その結果、自分のプロフィールも弱くなり、応募書類も自信のないものになり、さらに自信を失う。
この悪循環が起きやすいのです。
理由4 「誰を支援する人なのか?」が決まっていない
自信が持てない背景には、対象が曖昧なこともあります。
誰でも相談に乗れなければいけない。
どんな相談にも対応できなければいけない。
そんなふうに考えてしまうと、当然、自信は持ちにくくなります。
でも実際には、最初から全部に対応できる必要はありません。
むしろ、ミドルシニア支援、再就職支援、役職定年前後の支援、仕事と介護の両立支援など、自分の経験に近いテーマの方が自然に力を出しやすいのです。
自信とは、「何でもできる」と思えることではありません。
自分がどの領域なら役に立てるかが分かっている状態に近いものです。
理由5 環境要因まで、自分の力不足だと思ってしまう
これは見落とされがちですが、とても大事です。
キャリコンとして動けない背景には、本人の事情だけでなく、
今いる職場で資格を活かせない
周囲にニーズがない
所属組織が熱心でない
時間が取りにくい
といった環境要因があります。実際にJILPT調査でも、活動していない主な理由の上位は、こうした自分一人では変えにくい要因でした。
ところが真面目な人ほど、こうした環境要因まで
「自分の努力が足りないからだ」
「自信がない自分が悪い」
と受け止めてしまいます。
でも、それは違います。
環境要因は環境要因です。
そこを切り分けずに全部自分の問題にしてしまうと、自信はどんどん削られます。
まず必要なのは、自分の課題と環境の課題を分けて考え、風穴を開ける方法を考えて、そのために行動を起こすことが最も大切であり、その行動がキャリコンデビューへの近道となります。
理由6 一人で考えすぎている
自信が持てない人の多くは、実はとても真面目です。
だから、自分なりに一生懸命考えています。
でも、一人で考え続けると、どうしても視野が狭くなります。
自分には何もない
実績がないから無理
もっと勉強してから
もっと準備してから
こうした考えが頭の中を回り続けます。
一方で、調査では、活動年数が長い人ほど、研修会・勉強会への参加、スーパーバイザーによる助言・指導、専門家との交流、相談実務経験の積み上げなどを行っていることが示されています。
さらに、ネットワーク活用では、更新講習、仕事関連、自主的な勉強会などとのつながりが、活動継続や能力向上のイメージづくりに関わっていることが読み取れます。
つまり、自信は頭の中だけで作るものではなく、
人との交流、助言、実践の中で育てていくものなのです。
理由7 「自信がついたら始める」と思っている
最後に、これも大きな理由です。(「まだまだ病」にかかっていませんか?)
多くの人は、
「もう少し自信がついたら応募しよう」
「もう少し話せるようになったら動こう」
と考えます。
でも実際には、多くの場合、順番は逆です。
始めるから自信がつくのであって、自信がついたから始められるとは限りません。その時は、(正直に言えば)永遠に訪れません。
自信は、完成してから持つものではなく、小さく動く中で少しずつ育っていくものです。
では、どうすれば自信は育つのか?
私は、キャリコンとしての自信は、次の3つで育ちやすいと思っています。
1.今ある経験を言葉にする
まずは、自分がすでに持っている経験を整理することです。
仕事経験、面談経験、支援経験、人生経験。
それらを「誰の役に立てるのか」という視点で見直すだけでも、自信の土台は変わります。
2.対象を絞る
誰でも支援できる必要はありません。
自分に近いテーマ、自分が理解しやすい悩みから始めた方が、自信は持ちやすくなります。
3.小さな実践とフィードバックを得る
勉強会、交流会、モニター相談、周辺業務への関与など、小さな場で経験し、反応を得る。
活動年数が長い人ほど、研修、交流、助言、実務経験を積み重ねていることは、その大切さを裏づけています。
まとめ|自信がないのは、前に進めない証拠ではありません
キャリコンとして自信が持てない。
それは、向いていない証拠ではありません。
実際には、
完成した誰かと比べている
実務経験の少なさを無価値と誤解している
自分の経験を支援価値に変換できていない
対象が曖昧で役割が見えていない
環境要因まで自分の問題にしている
一人で考えすぎている
自信がつくまで始めないと思っている
こうしたことが重なって、自信を持ちにくくしている場合が多いのです。
だからこそ必要なのは、躊躇することなく、今ある経験を整理し、自分に合う支援テーマを見つけ、小さな実践につなげることです。
「自分にはどんな強みがあるのか分からない」
「誰を支援するのが向いているのか整理できない」
「一人で考えていると、ますます自信がなくなる」
そんな方は、まずは現状整理から始めてみてください。
自信は、待つものではなく、育てていくものです。
ご相談はお気軽に!!