女の子、とっかえひっかえしてるみたいに見えるよ

女の子、とっかえひっかえしてるみたいに見えるよ

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コラム
翌日の放課後。

教室の空気が、どこかざらついていた。

悠真が席を立った瞬間、
女子のひとりが、ふいに言った。

「ねえ、ちょっとさ。」

教室の視線が、ゆっくり集まる。

「どういうつもりなの?」

笑ってはいなかった。

「陽菜とも帰ってるよね?
 凪とも帰ってるよね?」

空気が固まる。

「女の子、とっかえひっかえしてるみたいに見えるよ。」

ざわ、と小さな波。

男子が軽く茶化す。

「ひがむなよ。」

笑いが起こる。

でも、悠真は笑わなかった。

ただ、一瞬だけ目を伏せた。

その顔を、凪は見た。

傷ついた顔だった。

弁解も、
反論も、
しない。

「そんなつもりじゃない」

その一言さえ、飲み込んだ。

凪の胸が、強く締めつけられる。

“わたしのせいかもしれない”

その考えが、頭を離れない。

好きでいることが、
悠真を追い詰めるなら。

一緒に帰った時間が、
彼を責める材料になるなら。

わたしは——

いないほうが、いいのかな。

窓の外では、夕焼けが沈みかけている。

悠真は静かに教室を出た。

凪は、立ち上がれなかった。

好きなのに。

好きだから。

動けない。

それがいちばん苦しい。

教室に残った夕陽が、
赤いリボンを、やわらかく照らしていた。

まるで、ほどけそうな糸みたいに。
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