ある村に、一軒の古い家がありました。
家の中は、どれだけ掃除をしてもすぐに埃でいっぱいになってしまいます。
村人たちは一生懸命に床を磨き、窓を拭き、香草の香りを焚きました。
その瞬間は部屋が清らかになるのですが、
しばらくするとまた同じように、埃が舞い戻ってくるのです。
「やっぱり、私たちの掃除が足りないのだろうか」
「自分の力が弱いからなんだろうか」
村人たちは何度も自分を責めました。
ある日、旅の賢者がやってきて言いました。
「いいえ、それはあなたたちのせいではありません。
この家の床下には、小さな風穴が開いているのです。
そこから吹き上げる風が、埃を運びこんでいたのですよ」
村人たちは驚きました。
いくら表面を磨いても、奥の原因を直さなければ、また埃は戻ってきてしまう。
賢者に導かれ、床下を整えると、家はようやく静かに保たれるようになったのです。
やがて村人たちの暮らしも少しずつ変わっていきました。
以前は何度掃除しても戻ってしまう埃に疲れ、ため息ばかりついていたのに、
いまは朝の光が差すたびに、すがすがしい空気を胸いっぱいに吸い込むことができます。
「努力が足りなかったのではなく、ただ土台が整っていなかっただけだったんだ」
そう気づいたとき、村人たちの表情には自然と笑みが戻りました。
やがて、埃に悩まされていた家は、
子どもたちの笑い声と花の香りが満ちる“光の家”へと変わっていったのです。
「あなたの心の家にも、見えない風穴があるかもしれません。
そこを整えれば、暮らしは静かに、自然に澄んでいきます。」