朝起きたら、まぁいつものことなんだけど
すずめの鳴き声が耳に入ってきて、久々に思い出したんだよ
父の介護をしていた頃、二階の自室で仕事をしていたんだよね
たしか、季節は春頃だったかな
なにかの音楽を大きくない音で流してたんだ
仕事に集中してたので、合間に流している音楽に気がいく程度
そんなとき、時折雑音みたいなのが聞こえるような気がしたんだよ
配線などの接触不良による雑音なのかと最初は思ったけど
よく聞くと、よくある雑音じゃないんだよね
尖ったり、擦れたような音じゃなくて、布類が打ち付けるような感じ
気になりながらも仕事がまだ終わらないので、そのままにしていたんだよ
それから、数十分してようやく切りの良いところまで進んだので
お茶でもいれようかと椅子で伸びをして、ふと横を見たら
二メートルくらい先の床に、何か黒い物体があったんだよ
脱ぎ捨てた靴下がまるまってるくらいの大きさかな
よく目を凝らしてみるとさ、すずめがいるんだよ
床にちょこんと落ち着いて座ってらっしゃった
すずめとこういう出会い方はあんまりないよね
すごくびっくりしたね
さっき耳にした雑音は、このすずめが床の上で翼をばたつかせて
それが床に当たった音だったんだよ
時折、ばたばたしてらっしゃったよ
そこからは、どうやって外に逃がすべきか考えつつ
捕まえようとしたけど、敏捷性皆無なわたしには無理だったので
そこらじゅうの窓を開けて、追い立ててなんとか退室してもらったよ
で、問題は一体どこから入ってきたのか
それなりの大きさがあったからね
年季の入った家屋だけど、わたしが認知してる中で
外界とつながる穴はない、はず
色々見て回ったところ、答えはシンプルで
玄関が少し開いていたんだね
少しぼけちゃった父が開けたみたいだった
あの頃の父は、まだましだったけど
不安でしょうがなかったね、日々の変化が怖かったね
いろいろあるよね