【記録No.4096】仮想オフィスに遅刻した私は“排泄ログ”で救われた

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コラム


西暦2139年──
人類は全員、政府管理の**全感覚同期型リモート勤務システム「VirtuOffice」**の中で働いていた。
睡眠から覚めると、意識は自動的にオフィスのアバターへとリンクされる。遅刻など、もはや“ありえない”世界。

だが、その日──私はリンクに遅延した。
09:00:01 AM【リンク失敗】

「職務遅延ログを検出しました。遅延理由を申告してください」

脳内インプラントに響く、冷徹な合成音。言い訳は一瞬でAIにスキャンされ、虚偽検知アルゴリズムにかけられる。下手を打てば労働ユニット降格、つまり無給の“生体バッテリー”扱いにされかねない。

私は震える意識で考えた。いや、思考より先に出た。本能だった。

「排泄障害。トイレユニットに拘束されていた。」
【健康ログ照合中】

システムが、私の腸内センサーログをチェックする。そこには──

07:58 腸内活性レベル:97%
08:01 水分放出量:400ml(異常)
08:09 ガス圧計センサ:臨界突破(!)

──あった。
排泄の証拠が。
承認。

「理由、正当と判断。以後、腸内ログのリアルタイム送信を義務化します。」

冷静な音声が、私を無罪放免にした。腸が、私を救ったのだ。
後日談

以後、私は排泄ログ系社員として登録され、社内の健康指導員から「腸内環境レポートの模範例」として表彰された。

でも、あの日から私は便意が怖い。
あれは偶然だった。2度も奇跡は起きない。

それでも私は、毎朝ヨーグルトを食べる。

「また“あれ”が必要になったとき、すぐに出せるように──」
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