大好きなあの人が、目の前で「うちの奥さんがさ…」「夫が全然分かってくれなくて」と、神妙な面持ちで家族の愚痴をこぼしている。
あなたは持ち前の優しさで、「うんうん、それは大変だったね」「辛かったね」と、相手の気持ちにそっと寄り添いながら優しくお話を聴いている。
そんな温かい共感の時間のはずなのに、あなたの心の奥底では、もう一人の自分がひどく冷静な目で相手を見つめていませんか?
「でも、その文句ばかり言っている人を、人生のパートナーに選んで結婚したのは他でもない、あなた自身だよね」
「嫌なら離れればいいのに、結局は今の生活の安定を手放したくないだけなんじゃないの?」
そんな、ぐうの音も出ないほど正論で、冷徹とも言える突っ込みが、脳内で何度も何度もリフレインしてしまう。
目の前の人を純粋に慰めてあげたい、共感してあげたいという優しい気持ちのすぐ裏側で、相手が抱えている矛盾やずるさを、繊細さん特有の鋭い洞察力で瞬時に見抜いてしまうんですよね。
相手の言葉の端々から透けて見える本音や、自分に都合のいい言い訳の数々が、パズルのピースがピタッとはまるように分かってしまう。
そのせいで、相手の言葉を100%純粋に信じきることができなくなって、そんな冷めた目で見てしまう自分に対して、猛烈な自己嫌悪と疲弊感を覚えてしまう。
「どうして私は、大好きな人のことをもっと素直に信じてあげられないんだろう」
「表面では優しいフリをして、心の中ではこんなに冷たい計算をしているなんて、私はなんて心の汚い人間なんだろう」
そうやって、自分の鋭すぎる視線に傷つき、お部屋で一人きりになったときに、どっと重い疲れが押し寄せてきたりしていませんか?
心理カウンセラーとして、僕はその頭が痛くなるほどの心の葛藤と、優しさと冷徹さの狭間で苦しむあなたの痛みを、そのまま優しく包み込んであげたいです。
繊細な気質を持っている方は、人の嘘や矛盾、言葉の裏にあるドロドロした本音を、本能的に察知してしまう特別なセンサーを持っています。
あなたが脳内で冷徹な突っ込みを入れてしまうのは、あなたが意地悪だからでも、冷酷な心の持ち主だからでも決してありませんよ。
あなたの物事の本質を見抜く「洞察力」が、あまりにも正確で、あまりにも優秀すぎるからこそ起こる、仕方のない反応なんです。
多くの人は、相手の言葉を表面通りに受け取って「大変だね」で終わらせることができますが、あなたは言葉の奥にある「相手の甘え」や「選択への責任転嫁」までを、瞬時に見通せてしまうんですよね。
むしろ、それだけ相手の人生や二人の関係に対して、どこまでも真面目で、真剣に向き合おうとしている素敵な女性である証拠なんです。
ずるい部分を隠して、被害者のように振る舞う相手に対して、あなたの誠実な心が「それはちょっと違うんじゃないかな」と、自然にブレーキをかけてくれているだけ。
心理カウンセラーとして、僕はあなたに、その鋭すぎる洞察力を持った自分のことを、どうか責めないであげてほしいなと思います。
相手を信じきれない自分に疲れてしまったときは、「あぁ、私の優秀なセンサーが、今日も相手の矛盾を綺麗に見抜いちゃったんだな」と、まずは自分のその高い能力を、ただそのまま認めてあげてくださいね。
愚痴を言う相手を、神様のように完璧に信じて、すべてを肯定してあげる必要なんて、どこにもありませんから。
相手のずるさや矛盾も含めて、「あぁ、この人も不完全で、自分の弱さを隠しながら一生懸命に生きてる一人の人間なんだな」と、少し遠いところから眺めてみるくらいでちょうどいいんです。
あなたが一人でその冷徹さと共感の板挟みになって、心をボロボロにすり減らすのは、本当にもったいないことですよ。
今度、もしまた同じように家族の愚痴を聴いて脳内裁判が始まりそうになったら、無理に100%の共感を作ろうとしなくて大丈夫です。
「大変だね」という言葉の裏で、心の中では「はいはい、自分で選んだ道だけど、今はただ愚痴を吐き出したいだけなんだね」と、クスッと心の中で呟きながら、聞き流す余裕を持ってみてください。
あなたのその鋭いアンテナは、あなたを苦しめるためのものではなく、あなたがこの複雑な世界を賢く、そして自分を守りながら生きていくための、大切な宝物なのですから。
自分の感受性が生み出す冷徹さに胸が苦しくなったときは、ゆっくりと深呼吸をして、あなたの真っ直ぐで優しい心をそっと抱きしめてあげてくださいね。