ゴルフRは、なぜ「速いだけの車」にならなかったのか

ゴルフRは、なぜ「速いだけの車」にならなかったのか

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ゴルフRという車を説明するとき、

「300馬力前後の4WDホットハッチ」

と言えば、だいたい説明できてしまいます。

0-100km/h加速も速い。

四輪駆動。

DSG。

見た目は普通のゴルフに近いのに、アクセルを踏めばかなり速い。

でも、今回この車を改めて細かく調べていくうちに、

「ゴルフRの面白さは、そこではないのではないか」

と思うようになりました。

速さだけなら、もっと分かりやすい車がある

300馬力を超える車は、今では珍しくありません。

もっと大排気量の車もあります。

もっと軽いスポーツカーもあります。

もっと刺激的な車もあります。

それでもゴルフRには独特の魅力があります。

日常では普通に買い物へ行ける。

高速道路では静かに走れる。

雪が降っても使える。

家族を乗せられる。

それでいて、踏めば十分に速い。

この「全部できる」という性格が、ゴルフRの本質なのだと思います。

では、その速さはどこから来るのか

最初はエンジンだと思っていました。

もちろんEA888エンジンは重要です。

しかし調べていくと、エンジンだけを見てもゴルフRは理解できません。

トランスミッション。

4MOTION。

ハルデックスカップリング。

XDS+。

ESC。

DCC。

ステアリング。

ブレーキ。

これらが全部つながっています。

エンジンが力を作る。

DSGやMTがその力を受け取る。

4MOTIONが前後へ分ける。

電子制御が車輪ごとの動きを見ている。

ダンパーが車体の姿勢を整える。

こうして初めて、ゴルフRらしい速さになります。

4MOTIONは「滑ってから四駆になる」のか

ゴルフRを調べていると、よく見かける話があります。

「普段はFFで、滑ると4WDになる」

という説明です。

これは分かりやすいのですが、実際の制御はもう少し複雑です。

アクセル開度や車輪速など、車から得られる情報を使って駆動力を制御しています。

つまり、単純にタイヤが滑るまで何もしていないわけではありません。

この辺りを追いかけていくと、

「速いのではなく、先を読んでいる」

というゴルフRの性格が見えてきました。

驚いたのは、速さより静かさだった

ゴルフRをスポーツモデルとして見ると、どうしても加速性能に目が行きます。

ところが、長く付き合うことを考えると別の部分が効いてきます。

静粛性です。

ロードノイズ。

エンジン音。

駆動系の音。

風切り音。

それぞれを抑えることで、高速道路を長時間走ったときの疲労が変わります。

速い車なのに、ずっと速さを主張してこない。

ここもゴルフRらしいところです。

10万kmは「終わり」ではない

今回の本を作るうえで、もう一つ掘り下げたかったのが長期所有です。

中古車を見ていると、

「10万kmを超えているからやめておこう」

という考え方があります。

もちろん距離は重要です。

ただ、10万kmという数字だけで車の状態を判断するのも少し違います。

油脂。

樹脂。

ゴム。

堆積物。

これらは同じようには劣化しません。

さらに重要なのが整備記録です。

いつ何を交換したのか。

どんな整備をしてきたのか。

その履歴を見ると、走行距離だけでは分からない車の状態が見えてきます。

本書ではこの部分もかなり細かく整理しました。

調べれば調べるほど、「制御の車」だった

今回『ゴルフR徹底解説』を作るにあたり、エンジン、DSG、4MOTION、電子制御、足回り、世代差、整備などを一つずつ調べ直しました。

一つひとつを見るだけでは、それほど不思議な技術ではありません。

しかし、それらを一台の車としてつないで見ると、

「ゴルフRは一つの突出した技術で速くしている車ではない」

ということが見えてきます。

エンジンだけでもない。

4WDだけでもない。

電子制御だけでもない。

一つひとつを組み合わせて、速さ、安定性、快適性を同時に成立させている。

そこが面白いのです。

今回、その調査結果を一冊の図解本にまとめました。

『ゴルフR徹底解説』

Mk7/Mk7.5世代を中心に、

EA888エンジン
6速MT/6速DSG/7速DSG
4MOTION
XDS+・4輪EDS・ESC
DCC
ステアリングとブレーキ
静粛性と長距離性能
世代差
10万km以降の整備
雪道での挙動

まで扱っています。

全112ページ相当。
PDF60ページ・見開きレイアウトです。

ゴルフRを買おうとしている方だけでなく、すでに乗っている方にも、

「そういう理由でこう動いていたのか」

と感じてもらえる内容を目指しました。

ゴルフRの速さの正体は、馬力ではありません。

速さを作り、それを路面へ伝え、曲げ、止め、そして何度でも使える状態に保つ。

その一連の仕組みこそが、この車の面白さなのだと思います。

図解本
『ゴルフR徹底解説』

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この本は表紙の「速さの正体は、馬力ではなく制御である」というコピーと中身がかなりきれいにつながっています。
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