今まさにアウグストゥス! 中居正広さん

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コラム
年末からヘルマン・ヘッセのメルヒェン「アウグストゥス」の日本語訳のお仕事をさせていただき、続けてブログ連載ドラマ「アウグストゥス」も最終回を書き終え、再び現実生活に戻りました。で、ネットニュースを見たら、リアル「アウグストゥス」がいたー!!と驚きました。

元SMAPの中居正広さんです。先に申し上げておきますが、別にファンじゃないです。
私が元ジャニーズ事務所のタレントさんで好きなのは、引退しちゃった長瀬くんです。ドラマ「タイガー&ドラゴン」、大好き!

松本人志さんに続いて、大物のスキャンダルです。
去年、松本人志さんをタロットカードで占って閲覧者数を獲得、私の自作のユーチューブ動画の再生回数を上げようとという目論見が見事に撃沈したことは記憶の奥底にまだ残っている・・・。
松本人志さんは、いまだに復帰もままならず、今回の中居さんのスキャンダルで蒸し返されて再起は難しくなりましたね。

ヘルマン・ヘッセの「アウグストゥス」。
あらすじを書くのが面倒なので、ご興味のある方はぜひ一度お読みになってみてください。
短編なのであっという間に読めてしまいます。

まぁ、中居正広さんのご活躍の様子を思い浮かべたら、「アウグストゥス」の前半は読んだことになります。

アウグストゥスはみんなの人気者で、好き放題していたのですが、ある時、その魔法が解けてみんなから責められることになる、という一連の流れが中居正広さんのケースとそっくりなのです。

アウグストゥスは、今まで好き放題やらかしていたのでした。
最初はパトロンと本命、二股程度で済んでいました。だけど、その後、愛に絶望。心の荒廃がどんどんエスカレートしていき、まず、あっちこっちの良家のお嬢様、人妻を誘惑します。関係を持った後に「あんな女とは何の関係もないね」とあっさり捨てたりします。
良家の子息にちょっかいを出し、ギャンブルや酒、放蕩生活を教え込み、堕落させます。
借りたものは返しません。借金も返しません。人の好意に甘えて、やりたい放題、胡坐をかいていたのですね。

アウグストゥスは、「人から好かれる」という呪いにかかっていたんです。母親のせいです。
それで、行き詰ってしまい、絶望から立ち直れず、死のうとするんです。
そこへ名付け親のビンスヴァンガーさんが救いの手を差し伸べます。「母親の願いはお前にとって呪いになってしまったから、お前にも何か一つ願いをかなえてやる」と。
それで、生き直すことを決意しました。

「人から好かれる」という魔法が解けたとたん、彼はあらゆる罪に問われます。連行されるアウグストゥスに人々は罵声を浴びせかけ、ウンコ投げつけたりします。

中居正広さんは、ここまでありとあらゆる悪事は働いていないので、アウグストゥスよりましかもしれません。
少なくとも、金銭スキャンダル、薬物スキャンダルは出ていませんし、逮捕もされてないし、ウンコ投げつけられてもいないので、アウグストゥスより全然マシです。(しかもタロット占いしたら、それほどひどくはなかった。むしろ重荷が下ろせてほっとしている印象)

現在、似たような状況に陥っている方がいらしたら・・・まず、干したての布団と洗い立てのシーツに潜り込むことをお勧めします。そして、ゆっくりお風呂に入ったり、好きな音楽や映画、アニメ、ドラマや本や漫画でも見ててください。外に出ないで、テレビもスマホも捨てちゃえ☆他人とコンタクトを取らないでください。
思う存分こもっててください。美味しいチョコレートとコーヒーをお取り寄せしてください。お酒はダメですよ。思考を鈍らせ、感情的になるだけですから。タバコならOKです。
そしてこう考えてください。「この失敗が小さく思えるくらい、自分の世界を大きくしたらいいじゃん」って。
頭がシンプルになってから、今後の対策を考えればいいのです。自力で思いつかなかったら、「この人なら」と思う人に相談してください。そういう人が思いつかなかったら占いを試してみて♡

アウグストゥスは、人々からさんざん責められ、訴えられ、裁判にかけられ、今まで付き合いのあった人たち、使用人たちからまでも、悪事を暴かれます。この人たちは、今までアウグストゥスの人気を利用してきた人たちですが、裁判となると途端に手のひらを返します。

今、中居正広さんが陥っている状況と似ています。
アウグストゥスは一切反論しませんでした。すべてを認め、謝罪します。
罪を償ってシャバに出たアウグストゥスは、もう頼れる人は誰もいない。ただの浮浪者です。
年を取り、体も悪くしています。
彼は、人々に自分の愛を示すため放浪の旅に出ます。
色んな人に尽くします。人々の日々の営みを愛でます。心から、その人たちが愛おしいと思うようになるのです。

魔法がかかっていた間、人々は、さんざんアウグストゥスの愛を求めて、ちやほやして、彼を装飾品や貴重品のように扱って、ご機嫌取っていたわけですよね。
それが、ウンコ投げつけられるまでに落ちぶれると、「俺には奴の本性は分かってたね」とか、「そういえば、あの時、あいつ、あんな悪事してたよな」とか・・・好き勝手言う顔のない卑怯な奴らが大勢いるんです。

だったら、その時に言え!気づいた時に言え!
その時、その場で言えないなら、ずっと黙っとけ!と思うんですわ。
だって、その場にいて、アウグストゥスを間近で見ていて、本質を見抜けず、見抜いていたとしても黙ってスルーして「なかったこと」みたいにしてたくせに、潮目が変わったら饒舌に語りだす・・・そんな頭も悪くて卑怯な人の言葉なんて、聞く価値ないもん。
中には、擁護していた人もいたかもしれませんが、そういう少数派の声は誰の耳にも届きません。

中居正広さんの一件で、ご本人もたいそうつらい立場でしょうけど、一番苦しい思いをしているのは、実際に直接、被害に遭われた方々。こんな風に注目されてしまって、かわいそうなことです。

この状況は、実際に直接の被害に遭われた方を余計に苦しめるだけです。
まずは、被害そのものに対する苦痛がよみがえってしまう。
そして、それを今まで、被害に遭ってからずっと、どんなに訴えても誰も聞いてくれなかったという孤独感や悔しさがよみがえります。ずっと、口をふさがれていたわけですから。これは精神的な抑圧、かなりのストレスだっただろうし、世間や人に対して絶望感、徹底的な無力感を植え付けられます。
「お前がアウグストゥスにされたことは、大したことがない。アウグストゥスのご機嫌取りの方が俺らには重要だ」という意思表示をされていたんです。この悔しさ、腹立たしさ、どう扱えばいいのか分からなくなって混乱してしまいます。

実際に被害にあった方は、加害者から、社会や組織から、すでに二重の苦痛を受けている。
そして、状況が変わって、この手のひら返し。このマスコミの野蛮さのせいで苦しみは三重になる。
だって、今騒いでいる人たちは・・・ちょっと前まで被害者の方々の口をふさいで知らん顔していた人たちなんだから。

似たような被害に遭ったことのある人にとっては、また腹立たしい苦痛となります。
相手が有名人じゃないから、誰も関心持たないから、一人では対抗する手段がなく、泣き寝入りするしかなかった人たちは大勢いるんです。制裁を受けないまま、のうのうと暮らしているズルい人、悪い人たちは大勢いるんです。

誰かを生贄にして、解決することなんて何もないのです。根本的解決にはならないのです。
もうそろそろこういうカフカな生贄システム、止めませんか?
私、生贄になるのも嫌だし、なぶり殺しショーを見せられるのもうんざりなんですけど!

こういうカフカな理不尽さに個人として対抗するにはどうしたらよいのか?
ということを、去年たまたまブログに書いているので興味ありましたら、ぜひご覧ください♡

中居正広さんに、もし今、ビンスヴァンガーのような人が「お前の願い事を一つかなえてやる」と言って来たら・・・彼は何を願うのでしょうか。
「すべてを一からやり直したい」とか「時間を戻せたら」という願いはNGだそうです。

アウグストゥスはこう願いました。
「私から、私を救わなかった魔法を取り消してください。そして私に、人々を愛せるように魔法をかけてください」

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