業務委託契約書の仕様変更・追加業務条項で失敗しないための7つのポイント【後編】|納期変更・変更手続・責任範囲を行政書士が解説

業務委託契約書の仕様変更・追加業務条項で失敗しないための7つのポイント【後編】|納期変更・変更手続・責任範囲を行政書士が解説

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法律・税務・士業全般
業務委託契約では、契約締結後に仕様変更や追加業務が発生することがあります。

例えば、Webサイト制作やシステム開発では、発注者の要望によって当初予定していなかった作業が必要になる場合があります。

こうした場合、追加報酬だけでなく、納期や責任範囲についても問題が生じることがあります。

例えば、次のようなケースです。

発注者の要望で機能を追加した結果、当初の納期に間に合わなくなった

仕様変更について口頭で合意したものの、後から変更内容について争いになった

追加された機能に不具合が生じ、責任の範囲が問題になった

仕様変更によって作業量が増えたにもかかわらず、当初の契約条件がそのまま適用された

こうしたトラブルを防ぐためには、仕様変更や追加業務が発生した場合の取扱いを契約書で明確にしておくことが重要です。

前編では、当初の業務範囲、仕様変更と不具合修正の違い、追加業務の依頼・承諾方法、追加報酬の算定方法について解説しました。

後編では、残る3つのポイントである納期変更、変更内容の記録、責任範囲への影響について解説します。


5.仕様変更に伴う納期変更を定める


仕様変更や追加業務が発生すると、当初予定していた納期に影響が生じることがあります。

例えば、システム開発の途中で新たな機能を追加する場合、その開発やテストに時間が必要となります。

しかし、契約書に仕様変更時の納期の取扱いが定められていないと、発注者が当初の納期を維持するよう求めることがあります。

納期変更のルールがない場合の問題点


例えば、当初の納期が6月30日だったとします。

その後、発注者の要望によって追加機能の開発が必要となり、作業量が大幅に増加しました。

それにもかかわらず、当初の納期を変更しないまま業務を進めた場合、納期遅延の責任を巡って争いになる可能性があります。

契約書で定めたい事項


このようなトラブルを防ぐためには、次の事項を整理することが重要です。

仕様変更が納期に与える影響の確認

納期変更の協議・合意方法

変更後の納期の確定方法

発注者による資料提供や承認の遅延への対応

納期変更に伴う費用負担


特に重要なのは、仕様変更が発生したからといって、当然に納期が延長されるとは限らないという点です。

契約書では、仕様変更によって納期への影響が生じる場合に、双方が変更後の納期を協議し、合意する仕組みを設けることが考えられます。

また、発注者の資料提供や承認が遅れた場合の取扱いについても定めておくと、納期遅延の責任を整理しやすくなります。

追加業務の内容だけでなく、納期への影響も併せて確認することが重要です。


6.変更内容を書面・電磁的記録で残す


仕様変更や追加業務については、合意内容を記録として残しておくことが重要です。

特に、業務委託契約では、契約締結後に複数回の仕様変更が行われることがあります。

その結果、当初の仕様書と実際の作業内容が異なる状態になることも少なくありません。

変更履歴が不明確な場合の問題点


例えば、Webサイト制作において、発注者から複数回の修正依頼があった場合を考えてみましょう。

受注者はすべての依頼に対応したつもりでも、発注者は「まだ依頼した修正が反映されていない」と考えている可能性があります。

また、どの時点で追加報酬が発生することになったのか、後から確認できなくなることもあります。

変更内容を記録する方法


仕様変更や追加業務については、例えば次の事項を記録しておくことが考えられます。

変更前の業務内容

変更後の業務内容

変更の理由

追加報酬の金額又は算定方法

変更後の納期

合意した日付

承諾した担当者

記録方法としては、変更合意書、変更後の仕様書、電子メールなどが考えられます。

また、プロジェクト管理ツールなどを利用する場合には、承認権限を持つ担当者や合意成立の方法を明確にしておくことも重要です。

仕様変更の履歴を残すことは、追加報酬や納期に関するトラブルを防ぐうえで有効です。


7.仕様変更による責任範囲への影響を整理する


最後に確認したいのが、仕様変更によって受注者の責任範囲がどのように変わるのかという点です。

仕様変更や追加業務が発生すると、当初想定していなかった作業やリスクが生じる場合があります。

例えば、発注者の要望によってシステムに新しい外部サービスを連携させることになった場合です。

このとき、外部サービスの仕様変更や障害などによって、システムの動作に影響が生じる可能性があります。

仕様変更後の責任範囲を確認する


契約書では、次のような事項を検討することが考えられます。

追加業務について受注者が負う責任の範囲

発注者が指定した仕様や素材に起因する問題の取扱い

第三者サービスに起因する障害への対応

追加業務に関する検収方法

損害賠償の範囲や上限

例えば、追加業務によって委託料が増額された場合には、損害賠償の上限額をどのように算定するのかについても検討する必要があります。

また、追加された機能について、当初の成果物と同じ検収基準を適用するのか、それとも別の検収基準を設けるのかも重要です。

ただし、契約書に免責条項を設ければ、あらゆる責任を免れるわけではありません。適用法令や具体的な事情によって、条項の効力が制限される場合があります。

仕様変更は、作業内容や報酬だけでなく、検収や損害賠償などの責任関係にも影響することがあります。

仕様変更・追加業務条項は発注者・受注者双方にとって重要


仕様変更や追加業務に関する条項は、受注者を保護するためだけのものではありません。

発注者にとっても、追加費用や納期変更の条件を事前に確認できるというメリットがあります。

例えば、追加業務の依頼前に見積りの提示を義務付けておけば、発注者が想定していない費用を請求されるリスクを抑えられます。

一方、受注者にとっては、合意していない追加作業を求められるリスクを抑えることにつながります。

そのため、契約書では、どちらか一方に過度な負担を課すのではなく、仕様変更が発生した場合に、双方が業務内容・費用・納期を確認し、合意できる仕組みを設けることが重要です。

また、フリーランス法や中小受託取引適正化法(取適法)が適用される取引では、発注者による一方的な変更や、受注者に不当な経済上の負担を生じさせる行為が問題となる場合があります。

契約書の内容だけでなく、実際の取引運用にも注意する必要があります。


まとめ|仕様変更に伴う納期・責任関係を明確にすることが重要


後編では、業務委託契約書の仕様変更・追加業務条項について、次の3つのポイントを解説しました。

仕様変更に伴う納期変更を定める

変更内容を書面・電磁的記録で残す

仕様変更による責任範囲への影響を整理する

業務委託契約では、契約締結時にすべての業務内容を確定できるとは限りません。

特に、Webサイト制作やシステム開発などでは、業務の進行に伴って仕様変更や追加業務が発生することがあります。

重要なのは、仕様変更を認めるかどうかだけでなく、変更が必要になったときに、どのような手続で、どのような条件を決めるのかを明確にしておくことです。

業務内容、追加報酬、納期、責任範囲を整理することで、発注者・受注者双方の認識の違いを減らし、円滑な取引につなげることができます。


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※本記事は一般的な法制度と契約実務について解説したものです。個別の契約における法的な取扱いは、具体的な事実関係、契約内容、適用法令等によって異なります。

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