「Webサイトを納品したのに、発注者が検収を終わらせてくれない」
「制作料金を支払えば、Webサイトの著作権は自社のものになる?」
「制作料金の支払時期をどのように決めればいい?」
このようなお悩みはありませんか?
Webサイト制作では、制作範囲や納期だけでなく、制作料金の支払条件、検収の方法、著作権の帰属についても明確にしておくことが重要です。
これらの条件が曖昧なままでは、次のようなトラブルにつながる可能性があります。
Webサイトを納品したのに、残代金が支払われない
検収が終わらず、制作業務が完了しない
納品後にWebサイトを自由に改修できない
デザインやソースコードの著作権を巡って揉める
第三者の素材の利用条件が問題になる
こうしたトラブルを防ぐためには、制作料金の支払条件と成果物の取扱いを、契約書で明確にしておくことが重要です。
前編では、制作業務の範囲・仕様、制作スケジュール・納期、修正回数・追加費用について解説しました。
今回は中編として、次の3つのポイントを解説します。
4.制作料金・支払条件を定める
Webサイト制作契約書では、制作料金や支払条件も重要です。
例えば、次のような事項を定めます。
制作料金の総額
消費税の取扱い
着手金の有無
中間金の有無
残代金の支払時期
支払方法
振込手数料の負担
追加費用の支払方法
支払遅延時の対応
支払時期を明確にする
Webサイト制作では、次のような支払方法が考えられます。
一括払い
制作開始前や納品後など、合意した時期に一括で支払う方法です。
分割払い
契約締結時、制作途中、検収完了後など、複数回に分けて支払う方法です。
例えば、契約締結後に着手金を支払い、検収完了後に残代金を支払う方法などが考えられます。
検収と支払条件の関係にも注意
例えば、残代金の支払時期を「検収完了後」と定めた場合です。
検収が長期間完了しないと、制作会社が残代金を受け取れない可能性があります。
そのため、検収期間や検収完了の条件と、支払時期を整合させることが重要です。
実務上のポイント
制作料金の支払条件は、実際の制作工程や検収方法に合わせて定めることが重要です。
なお、取引内容や当事者の規模などによっては、中小受託取引適正化法(取適法)やフリーランス・事業者間取引適正化等法の適用が問題となる場合があります。
これらの法律が適用される場合には、契約書で自由に支払期日を設定できるとは限りません。
特に、検収の完了を理由として法令上の支払期限を超えて支払うことが認められるとは限らないため、注意が必要です。
5.検査・検収の方法と期間を定める
Webサイト制作契約書で重要なのが、制作したWebサイトの検査・検収に関する条項です。
例えば、次のようなトラブルが考えられます。
「Webサイトを納品したのに、発注者から検収結果の連絡がない」
「修正依頼が繰り返され、いつまでも検収が完了しない」
「どのような状態になれば完成といえるのかわからない」
こうした問題を防ぐため、契約書では次の事項を定めておくことが重要です。
検査期間
検査方法
合格基準
検査結果の通知方法
不合格の場合の対応
再検査の方法
検収完了の時期
みなし検収条項を設ける方法
例えば、納品後一定期間内に発注者から不合格の通知がなかった場合、検収に合格したものとみなす条項を設ける方法があります。
これにより、検収が長期間完了しないリスクを一定程度軽減できます。
ただし、みなし検収の効果や適用範囲は、取引内容や適用法令を踏まえて検討する必要があります。
検収後の不具合対応は?
検収が完了した後に、Webサイトの不具合が発見される場合もあります。
そのため、検収完了後の不具合について、制作会社がどのような条件で対応するのかを定めておくことが重要です。
また、検収完了によってすべての責任が当然に消滅するわけではありません。
実務上のポイント
**「どのような状態になれば検収に合格したことになるのか」**を明確にすることが重要です。
また、検収条項と契約不適合責任条項の内容を整合させておきましょう。
6.著作権・知的財産権の帰属を明確にする
Webサイト制作契約書では、著作権などの知的財産権の帰属も重要です。
Webサイトには、さまざまな制作物が含まれます。
例えば、次のようなものです。
Webデザイン
画像・イラスト
写真
文章
ソースコード
プログラム
ロゴ
動画
これらの制作物について、誰がどのような権利を持つのかを明確にしておく必要があります。
制作料金を支払えば著作権は移転する?
Webサイトの制作料金を支払ったからといって、著作権が当然に発注者へ移転するわけではありません。
著作権の帰属や利用条件は、著作権法の規定や当事者間の契約内容によって判断されます。
そのため、著作権を発注者へ移転する場合には、契約書で明確に定めることが重要です。
著作権法第27条・第28条にも注意
著作権を譲渡する場合には、著作権法第27条および第28条に規定する権利の取扱いにも注意が必要です。
これらの権利は、譲渡契約で特に明示されていない場合、譲渡人に留保されたものと推定されます。
そのため、これらの権利も移転する場合には、契約書で明示することが重要です。
著作者人格権の取扱い
著作者人格権は、著作者に専属する権利であり、譲渡することができません。
そのため、発注者が納品後にWebサイトを改修することなどを想定して、著作者人格権の不行使について定めることがあります。
ただし、制作物の内容や利用方法を踏まえ、適切な範囲で定める必要があります。
第三者の素材にも注意
Webサイト制作では、写真素材、フォント、CMS、プラグイン、外部ライブラリなどを利用することがあります。
これらについては、制作会社が著作権を保有しているとは限りません。
そのため、契約書では、次の事項も確認することが重要です。
第三者素材の利用条件
ライセンスの範囲
発注者による改変・再利用の可否
ライセンス費用の負担
契約終了後の利用条件
実務上のポイント
**「どの制作物について、誰がどのような権利を持つのか」**を明確にすることが重要です。
また、著作権を移転する場合には、その移転時期も定めておきましょう。
例えば、制作料金の全額支払完了時や検収完了時など、取引内容に合わせて設定する方法が考えられます。
中編のまとめ|報酬と成果物の権利を明確にする
今回は、Webサイト制作契約書で確認したい8つのポイントのうち、次の3つを解説しました。
4.制作料金・支払条件
着手金、残代金、支払時期を定める。
5.検査・検収
検査期間、合格基準、検収完了の条件を明確にする。
6.著作権・知的財産権
制作物の権利帰属と利用条件を定める。
Webサイト制作では、制作料金の支払条件だけでなく、納品した成果物の取扱いも重要です。
特に、検収の完了時期や著作権の帰属が曖昧な場合、制作会社と発注者の間でトラブルになる可能性があります。
大切なのは、制作料金の支払いと成果物の権利関係を、契約書で明確にしておくことです。
次回の後編では、契約不適合責任・損害賠償と、中途解約・納品後の保守について解説します。
Webサイト制作契約書の作成は行政書士へ
「制作料金の支払条件を明確にしたい」
「検収のルールを定めたい」
「納品したWebサイトの著作権について整理したい」
このようなお悩みはありませんか?
Webサイト制作契約書は、制作するサイトの種類、報酬体系、納品方法、著作権の取扱いなどによって、必要な条項や適切な契約条件が異なります。
当事務所では、契約書作成に強い行政書士が、取引内容やご希望を丁寧にヒアリングし、実際の制作業務に合わせたWebサイト制作契約書を作成いたします。
制作会社・フリーランス・発注企業のいずれの立場からのご依頼にも対応しています。
Webサイト制作契約書の作成をご検討の方は、お気軽にご相談ください。
※本記事は、Webサイト制作契約に関する一般的な法的事項を解説するものです。具体的な取扱いは、契約内容や適用法令等によって異なります。