「自社ブランドの商品を製造したいけれど、OEM契約書には何を記載すればいいの?」
「製造委託先から提示された契約書を、そのまま締結しても大丈夫?」
「OEM製造を受託する際、不良品が発生した場合の責任を明確にしておきたい」
このようなお悩みはありませんか?
OEM(Original Equipment Manufacturer)は、一般に、他社ブランドの商品を製造する取引を指します。
化粧品、食品、アパレル、雑貨、電子機器など、さまざまな業界で利用されています。
OEMを活用すれば、自社で製造設備を保有していなくても、オリジナルブランドの商品を販売することが可能になります。
しかし、OEM取引では、商品の仕様や品質基準、発注数量、原材料の管理、不良品への対応など、契約書で決めておくべき事項が数多くあります。
例えば、次のようなトラブルです。
納品された商品の品質が想定と異なる
発注数量や納期について認識が食い違う
支給した原材料が紛失・破損する
不良品の再製造費用をどちらが負担するか決まっていない
納品後に発見された不具合への対応で揉める
こうしたトラブルを防ぐためには、OEM契約書で取引条件と責任分担を明確にしておくことが重要です。
今回は、契約書作成に強い行政書士が、OEM契約書で確認しておきたい8つのポイントのうち、前半の4つを実務的な視点から解説します。
1.製造する商品の仕様・品質基準を明確にする
OEM契約書で最初に確認したいのが、製造する商品の仕様と品質基準です。
OEM取引では、委託者が希望する商品を受託者が製造します。
しかし、製造する商品の内容が曖昧なままでは、完成品が委託者の想定と異なる場合があります。
例えば、次のような事項です。
商品の名称・種類
原材料・成分・配合
サイズ・重量・容量
色・形状・デザイン
包装・容器・ラベル
製造方法
品質基準・検査基準
保存条件・使用期限
適用される法令や規格
これらの事項は、商品によって必要な内容が異なります。
例えば、化粧品のOEMであれば、成分、配合、容器、表示内容などが重要になります。
食品のOEMであれば、原材料、アレルゲン、保存方法、賞味期限、衛生管理などが問題となります。
実務上のポイント
商品の仕様をすべて契約書本文に記載する必要はありません。
詳細については、仕様書、製品規格書、品質基準書などの別紙に定め、契約書と一体のものとして取り扱う方法が考えられます。
その際には、次の事項も明確にしておくことが重要です。
仕様書の確定方法
仕様変更の手続
仕様変更による追加費用
仕様変更が納期に与える影響
契約書と仕様書の内容が異なる場合の優先関係
「どのような商品を製造するのか」を明確にすることが、OEM契約の基本です。
2.発注数量・納期・代金の条件を定める
OEM取引では、発注数量や納期、製造代金に関するトラブルも発生します。
特に、継続的に製造を委託する場合は、個別の発注条件をどのように決定するのかが重要です。
例えば、次のような事項を定めておくことが考えられます。
最低発注数量(MOQ)
1回当たりの発注単位
発注方法
発注の成立時期
製造単価
原材料価格の変動に伴う価格改定
納品場所・納期
送料・運送費の負担
製造代金の支払時期
発注後のキャンセル条件
最低発注数量に注意
OEM製造では、製造設備の稼働や原材料の調達などの事情から、最低発注数量が設定されることがあります。
例えば、最低発注数量が1,000個と定められている場合、委託者が500個だけ発注したいと考えても、契約条件によっては対応してもらえません。
一方、受託者にとっては、少量発注によって採算が合わなくなることを防ぐ必要があります。
実務上のポイント
継続的なOEM取引では、基本契約と個別契約を組み合わせる方法が一般的です。
基本契約で共通条件を定め、個別契約や発注書で数量・単価・納期などを決定します。
また、原材料価格の高騰などに備え、価格改定の協議手続を設けることも考えられます。
なお、取引内容や当事者の規模などによっては、取適法(中小受託取引適正化法)等の適用が問題となります。
適用対象となる取引では、発注内容の明示、代金の支払期日、不当な代金減額や受領拒否の禁止など、法令上の規制にも注意が必要です。
3.原材料・資材の支給と管理方法を明確にする
OEM取引では、委託者が原材料や容器、包装資材などを受託者に支給する場合があります。
例えば、化粧品のOEMでは、委託者が指定した容器やパッケージを製造工場へ支給することがあります。
このような場合、原材料や資材の管理方法を契約書で定めておくことが重要です。
具体的には、次の事項です。
原材料・資材を支給する当事者
支給する数量と時期
支給品の所有権
受領時の検査
保管・管理方法
紛失・破損時の責任
不良原材料が原因で生じた損害の負担
余剰原材料の返還・処分方法
原材料の不良が原因で製品に問題が生じた場合
例えば、委託者が支給した原材料に問題があり、完成品に不良が発生した場合を考えてみましょう。
この場合、すべての責任を当然に受託者が負うとは限りません。
原材料の不良が原因なのか、製造工程に問題があったのか、受託者が問題を認識できたのかなどによって、責任の判断が異なります。
実務上のポイント
支給原材料に問題が発見された場合の通知義務や、製造を一時停止する手続なども定めておくとよいでしょう。
また、受託者が委託者の所有する原材料を保管する場合には、他の原材料との区別や無断使用の禁止を定めることも考えられます。
原材料の供給者と製造者の責任範囲を明確にすることが重要です。
4.検査・検収と不良品対応を定める
OEM契約書で特に重要なのが、納品された商品の検査・検収と、不良品が発生した場合の対応です。
例えば、次のようなトラブルが考えられます。
「納品された商品に傷や汚れがあった」
「商品の成分や仕様が事前の取り決めと異なっていた」
「納品後しばらくしてから不具合が発見された」
「不良品の再製造費用をどちらが負担するのか決まっていなかった」
こうした問題を防ぐため、契約書では次の事項を定めておくことが重要です。
納品後の検査期間
検査方法・合格基準
不合格の場合の通知方法
不良品の交換・再製造・修補
代金減額や返品の条件
再製造・返送費用の負担
納品後に発見された不良への対応
契約不適合に関する責任の範囲
検収完了後の不良品にも注意
納品時の検査で問題が発見されなかった場合でも、その後に不良が判明することがあります。
例えば、販売後に商品の品質不良が発覚した場合です。
そのため、検収完了後の契約不適合について、どのような条件で対応するのかを明確にしておく必要があります。
なお、契約の性質や当事者の属性によっては、民法や商法の検査・通知に関する規定が問題となります。
契約書の検収条項だけでなく、適用法令との関係も踏まえて設計することが重要です。
実務上のポイント
不良品対応では、単に「受託者が責任を負う」と定めるのではなく、不良の原因に応じて責任を分担する仕組みを設けることが考えられます。
例えば、製造工程に起因する不良は受託者、委託者が指定した設計・仕様に起因する不良は委託者が負担するなど、原因と帰責性に応じて整理します。
ただし、受託者が不適切な仕様を認識しながら必要な通知をしなかった場合などは、別途検討が必要です。
前編のまとめ|OEM契約書は製造条件と品質管理が重要
今回は、OEM契約書で確認しておきたい8つのポイントのうち、前半の4つを解説しました。
商品の仕様・品質基準:どのような商品を製造するのか
発注数量・納期・代金:どのような条件で発注・納品・支払を行うのか
原材料・資材の管理:支給品を誰がどのように管理するのか
検査・検収と不良品対応:品質に問題があった場合、誰がどのように対応するのか
OEM取引では、製造する商品の内容や品質基準が曖昧なままだと、納品後のトラブルにつながる可能性があります。
そのため、製造条件と品質管理に関するルールを契約書で明確にしておくことが重要です。
次回の後編では、OEM取引で特に問題となりやすい、次の4つのポイントを解説します。
商標・デザイン・知的財産権の帰属
模倣品の製造・横流し防止
製造物責任と損害賠償
契約終了時の金型・在庫等の取扱い
OEM契約書の作成は、契約書作成に強い行政書士へ
「自社ブランドの商品をOEM製造したい」
「製造委託先との契約条件を明確にしたい」
「不良品が発生した場合の責任分担を整理したい」
このようなお悩みはありませんか?
OEM契約書は、商品の種類、製造工程、原材料の供給方法などによって、必要な条項や適切な契約条件が異なります。
当事務所では、契約書作成に強い行政書士が、取引内容やご希望を丁寧にヒアリングし、実際のOEM取引に合わせた契約書を作成いたします。
製造を委託する企業様、製造を受託する企業様のいずれからのご依頼にも対応しています。
OEM契約書の作成をご検討の方は、お気軽にご相談ください。
※本記事は、OEM契約に関する一般的な法的事項を解説するものです。具体的な契約条件や法的な取扱いは、取引内容、契約類型、適用法令等によって異なります。