講座ビジネスの契約書作成のポイント

講座ビジネスの契約書作成のポイント

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法律・税務・士業全般
オンライン講座、スクール、起業塾、コンサルティング講座など、「知識」や「ノウハウ」を提供する講座ビジネスが広く行われています。

講座ビジネスは比較的始めやすい一方で、

「途中で受講をやめるので返金してほしいと言われた」

「期待していた内容と違うと言われた」

「講座で提供した教材を第三者に渡されてしまった」

「講座の内容を無断で録画・転載された」

などのトラブルが発生することがあります。

特に、高額な受講料を設定する講座や、数か月にわたってサービスを提供する講座では、契約条件をあらかじめ明確にしておくことが重要です。

今回は、講座ビジネスの契約書を作成する際に押さえておきたいポイントについて、契約書作成に強い行政書士が解説します。

1.講座ビジネスに契約書は必要?


講座を提供する場合、必ずしもすべてのケースで「契約書」という名称の書面を作成しなければならないわけではありません。

しかし、講座ビジネスでは、

・提供する講座の内容
・受講期間
・受講料
・支払方法
・キャンセル
・中途解約
・返金
・教材の取扱い
・知的財産権
・禁止事項
・講座の成果に関する取扱い

など、あらかじめ決めておくべき事項が多数あります。

これらについて口頭やメッセージのやり取りだけで決めていると、後になって双方の認識に食い違いが生じる可能性があります。

特に高額な講座や長期間にわたる講座では、「何を、いくらで、どこまで提供するのか」を契約書によって明確にすることがトラブル防止につながります。


2.講座の内容・提供範囲を明確にする

契約書を作成する際、まず明確にしたいのが「何を提供する契約なのか」です。

講座ビジネスといっても、

・動画教材の提供
・オンライン講義
・対面講義
・マンツーマン指導
・グループコンサルティング
・チャットによる質問対応
・教材やテンプレートの提供

など、その内容はさまざまです。

例えば、

「3か月間・全12回のオンライン講義」

というサービスもあれば、

「動画教材+月2回の個別面談+期間中のチャットサポート」

というサービスもあります。

契約書では単に「講座を提供する」とするのではなく、事業者が提供するサービスの内容や範囲を可能な限り明確にすることが重要です。

これにより、「当然これもサービスに含まれていると思っていた」といった認識の相違を防ぎやすくなります。


3.受講期間・サポート期間を明確にする


次に重要なのが、講座を利用できる期間です。

例えば、

「契約締結日から6か月間」

「2026年10月1日から2027年3月31日まで」

など、始期と終期を明確にします。

また、講座自体の受講期間とは別に、

・動画教材の閲覧期間
・チャットによる質問可能期間
・個別相談を受けられる期間
・コミュニティへの参加期間

などが設定されている場合には、それぞれの利用期間を明確にしておくことも重要です。

講座終了後も動画を閲覧できるのか、それとも受講期間の終了と同時に閲覧できなくなるのかについても、あらかじめ決めておきましょう。


4.受講料と支払方法を明確にする


金銭に関する条件は、特にトラブルが発生しやすい部分です。

契約書では、

・受講料の総額
・消費税の取扱い
・一括払い又は分割払い
・支払期限
・支払方法
・振込手数料の負担
・支払いが遅れた場合の取扱い

などを明確にしておきます。

特に注意したいのが分割払いです。

例えば受講料60万円を「月額10万円×6回」とする場合でも、60万円の講座代金を6回に分割して支払う契約なのか、毎月10万円でサービスを利用する月額契約なのかによって契約の考え方が異なります。

そのため、分割払いを採用する場合には、受講料の総額や支払回数、各支払期限、中途解約時の残額の取扱いなどを明確にしておくことが重要です。

5.キャンセル・中途解約・返金について定める


講座ビジネスで特にトラブルになりやすいのが、中途解約や返金です。

例えば、

「仕事が忙しくなったので受講できなくなった」

「思っていた講座と違った」

「途中で必要なくなった」

などの理由から、受講者から解約や返金を求められる可能性があります。

そこで契約書では、

・講座開始前のキャンセル
・講座開始後の中途解約
・受講者都合による欠席
・中途解約した場合の受講料
・返金の有無や計算方法
・教材提供後の取扱い

などをあらかじめ定めておくことが重要です。

ただし、契約書に、

「契約締結後はいかなる場合も返金しない」

と書いておけば必ずそのとおりになるわけではありません。

受講者が消費者である場合には、消費者契約法や特定商取引法などの適用についても検討する必要があります。

そのため、キャンセル・中途解約・返金条項については、単に事業者側に有利な内容にするのではなく、適用される法令を踏まえて設計することが重要です。


6.講座による「成果を保証しない」ことを明確にする


起業、副業、マーケティング、営業、資格取得などの講座では、成果に関するトラブルにも注意が必要です。

例えば、

「受講したのに売上が上がらなかった」

「集客できなかった」

「試験に合格できなかった」

などを理由として、返金を求められるケースが考えられます。

受講者の成果は、本人の努力や経験、能力、市場環境などさまざまな要因によって左右されます。

そのため、必要に応じて、

「本講座は、特定の成果を保証するものではない」

という趣旨の規定を設けることが考えられます。

特に、

・売上
・利益
・集客数
・フォロワー数
・資格取得
・試験合格
・就職・転職
・事業の成功

などについては注意が必要です。

もっとも、契約書に成果を保証しない旨を記載するだけでなく、広告やLP、SNS等において、実際には保証できない成果を保証するような表示をしていないかについても確認する必要があります。

7.教材・動画・ノウハウの取扱いを定める


講座ビジネスでは、講師が蓄積してきた知識やノウハウ自体が重要な事業資産となります。

例えば、

・講義動画
・PDF教材
・テキスト
・スライド
・ワークシート
・テンプレート
・講座内で提供する資料

などです。

契約書では、これらの教材に関する著作権その他の知的財産権の帰属を明確にするとともに、必要に応じて、

・第三者への提供
・転載は禁止転載
・無断複製
・販売・再配布
・インターネット上への公開
・アカウントの共有

などを禁止します。

特にオンライン講座ではデータを簡単に複製できるため、教材の利用範囲を明確にしておくことが重要です。


8.講座の録音・録画について定める

オンライン講座や対面講座では、受講者が講義を録音・録画する可能性があります。

講義内容が無断でSNSや動画サイト等に公開されると、講師のノウハウが流出するだけでなく、他の受講者の発言や個人情報等が公開されてしまう可能性もあります。

そこで、

「講師の事前の承諾なく、講座を録音、録画、撮影その他の方法により記録してはならない」

といった規定を設けることが考えられます。

事業者側で講座を録画する場合には、その目的や利用方法についても整理しておくとよいでしょう。


9.禁止事項と契約解除について定める


円滑に講座を運営するためには、受講者の禁止事項についても定めておく必要があります。

例えば、

・他の受講者に対する迷惑行為
・講座内での営業・勧誘行為
・講師や他の受講者への誹謗中傷
・教材の無断転載・第三者提供
・アカウントの貸与・共有
・講座内容の無断録音・録画・配信
・講座運営を妨害する行為

などです。

また、禁止事項を定めるだけではなく、重大な違反があった場合や、違反を是正しない場合について、受講停止や契約解除ができるようにしておくことも検討する必要があります。


10.秘密保持について定める


講座によっては、受講者が自分の事業内容、売上、顧客情報、営業方法などを講師へ開示することがあります。

また、講師側から独自の営業手法や事業上のノウハウを開示することもあります。

そのため、必要に応じて秘密保持条項を設け、

・秘密情報の範囲
・第三者への開示禁止
・目的外利用の禁止
・秘密保持義務の期間

などについて定めます。

特にグループ形式の講座では、講師と受講者の間だけでなく、他の受講者が講座内で開示した情報を外部へ漏らさないことについてもルールを設けることが考えられます。

11.特定商取引法にも注意する


講座ビジネスでは、契約書の内容だけでなく、**「どのような方法で講座を販売しているのか」**についても確認することが重要です。

特に、消費者向けにオンライン講座などを販売する場合には、販売方法によって特定商取引法上の「通信販売」や「電話勧誘販売」に該当する可能性があります。

Webサイト・SNSなどから申し込んでもらう場合

WebサイトやSNSなどを利用して講座を販売し、オンラインで申込みを受ける場合には、「通信販売」に該当する可能性があります。

通信販売に該当する場合には、販売価格、代金の支払時期・方法、サービスの提供時期、申込みの撤回・解除に関する事項、事業者の氏名・名称、住所、電話番号など、法令上必要となる事項を適切に表示する必要があります。

そのため、オンライン講座を販売する場合には、契約書だけでなく、Webサイト等に掲載する**「特定商取引法に基づく表記」**についても確認する必要があります。

また、通信販売には、訪問販売や電話勧誘販売のような特定商取引法上のクーリング・オフ制度は原則としてありません。

そのため、申込み後のキャンセルや返金についてどのようなルールとするのかを、あらかじめ明確にしておくことが重要です。

Zoom等で講座への申込みを勧誘する場合

講座ビジネスでは、Web広告やSNSなどから見込み客を集めた後、Zoom等による個別相談を行い、その中で有料講座への申込みを勧誘する販売方法もあります。

このような場合には、具体的な勧誘方法や契約までの経緯によって、特定商取引法上の「電話勧誘販売」に該当する可能性があります。

電話勧誘販売に該当する場合には、法定事項を記載した書面の交付などが必要となるほか、消費者には原則として法定書面を受領した日から8日間のクーリング・オフが認められます。

また、勧誘に先立って事業者名や勧誘目的等を告げることや、契約を締結しない意思を表示した消費者に対して勧誘を継続したり、再度勧誘したりすることについても規制があります。

そのため、

「契約書にキャンセル不可・返金不可と書いておけば大丈夫」

というわけではありません。

特定商取引法上のクーリング・オフが適用される場合には、契約書によってこれを一方的に排除することはできません。

講座ビジネスでは、「何を販売しているか」だけでなく、集客から個別相談、勧誘、申込み、契約成立までの販売フローを確認することが重要です。


12.契約書・特商法表記・販売ページの内容を一致させる


契約書を作成する際に見落としやすいのが、他の表示との整合性です。

例えば、

契約書では
「一定の条件を満たせば中途解約できる」

特定商取引法に基づく表記では
「契約後の返金は一切不可」

販売ページでは
「安心の返金制度あり」

となっていれば、契約条件が分かりにくくなってしまいます。

そのため、

・契約書
・利用規約
・特定商取引法に基づく表記
・申込フォーム
・LP・販売ページ
・広告やSNS上の表示

などについて、内容に矛盾がないか確認することが重要です。

特に、料金、サービス内容、解約、キャンセル、返金、成果に関する表示については、契約書だけではなく販売ページ等も含めて確認することをおすすめします。

まとめ|講座ビジネスは契約内容と販売方法の両方を確認する

講座ビジネスの契約書では、単に「講座を提供する」「受講料を支払う」と定めるだけでは十分とはいえません。

特に、

・講座の内容・提供範囲
・受講期間・サポート期間
・受講料・支払方法
・キャンセル・中途解約・返金
・欠席・振替
・成果の非保証
・教材等の知的財産権
・録音・録画
・禁止事項
・秘密保持
・契約解除

などについて、実際のサービス内容に合わせてルールを定めることが重要です。

さらに、消費者向けの講座では、**「どのような方法で販売しているのか」**についても確認する必要があります。

Webサイト等から直接申込みを受けるのか、問い合わせをした顧客に電話等で個別に勧誘するのかによって、検討すべき特定商取引法上の規制が異なる可能性があります。

そのため、講座ビジネスの契約書を作成する際には、契約書だけを単独で考えるのではなく、集客→個別相談・勧誘→申込み→契約→講座提供→解約・終了という一連の流れを確認したうえで契約条件を設計することが重要です。

インターネット上にある契約書のひな形をそのまま使用するのではなく、自社の講座内容や販売方法に合わせて契約書を整備することが、受講者とのトラブルを未然に防ぐことにつながります。

ファビスト行政書士事務所では、オンライン講座、スクール、コンサルティング講座など、実際のサービス内容や販売方法に合わせた契約書の作成をサポートしています。

「高額講座を始めるので契約書を作成したい」

「キャンセル・中途解約・返金のルールを明確にしたい」

「教材やノウハウの無断転載・流出を防ぎたい」

「今使っている契約書が講座内容や販売方法に合っているか確認したい」

といった場合には、契約書を整備し、安心して講座を運営できる仕組みを作っておくことをおすすめします。
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