今更聞けない!業務委託契約の「請負」と「準委任」の違いとは?

今更聞けない!業務委託契約の「請負」と「準委任」の違いとは?

記事
法律・税務・士業全般
こんにちは。ファビスト行政書士事務所です。

今回は、業務委託契約書を作成する際に非常に重要となる「請負契約」と「準委任契約」の違いについて解説します。

「業務委託契約」という言葉は、ビジネスの現場では非常によく使われています。

しかし、実は民法上、「業務委託契約」という名称の契約類型が定められているわけではありません。

一般に「業務委託契約」と呼ばれている契約の中には、「請負」に該当するものと「準委任」に該当するものがあり、どちらに該当するかによって、受託者が負う義務や報酬請求の考え方などが変わってきます。

そこで今回は、業務委託契約を作成・締結するうえで知っておきたい「請負」と「準委任」の違いについて、できるだけ分かりやすく解説します。

1 そもそも「業務委託契約」とは?

まず押さえておきたいのが、「業務委託契約」という名称の契約が民法に規定されているわけではないという点です。

実務上は、企業や個人事業主が外部の事業者などに業務を依頼する契約を広く「業務委託契約」と呼んでいます。

そして、その内容によって、

・請負契約
・委任契約
・準委任契約

などの民法上の契約類型に分類されることになります。

特に、一般的なビジネスにおける業務委託では、「請負」又は「準委任」のいずれかに該当するケースが多くあります。

2 「請負」とは?


請負について、民法632条は、一方が「ある仕事を完成すること」を約し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を支払う契約として定めています。

つまり、請負契約の最大のポイントは、

「仕事を完成させること」が契約の目的となっている

という点です。

例えば、

・ホームページの制作
・ロゴやデザインの制作
・動画の制作
・建物の建築工事
・システムの開発

などが典型例として挙げられます。
例えば、「会社のホームページを50万円で制作する」という契約であれば、単に制作作業を行えばよいというわけではありません。

原則として、契約で定められた内容のホームページを完成させることが求められます。

このように、「一定の成果物を完成させること」が契約の中心となるのが請負契約です。

3 「準委任」とは?

これに対して、準委任とは、法律行為ではない事務を委託する契約です。

民法656条によって委任に関する規定が準用されます。

少し分かりにくい表現ですが、業務委託契約との関係では、

「仕事の完成」ではなく、「一定の業務を適切に遂行すること」を目的とする契約

と考えると分かりやすいでしょう。

例えば、

・コンサルティング業務
・システムの保守・運用業務
・マーケティング支援
・SNS運用支援
・経理業務
・事務代行業務

などが準委任契約となることがあります。
例えば、「毎月10万円で経営コンサルティングを行う」という契約の場合、「売上を必ず30%増加させる」といった結果そのものを約束するのではなく、専門的知識に基づいて助言や分析などの業務を適切に行うことが契約の中心となります。

そのため、適切に業務を遂行したにもかかわらず、期待していた結果が得られなかったというだけで、当然に契約違反になるわけではありません。

4 請負と準委任の最大の違い

両者の違いを簡単に整理すると、次のようになります。
ChatGPT Image 2026年8月7日 13_17_25.png

つまり、

「結果(仕事の完成)を約束しているのか」

それとも、

「業務を適切に行うことを約束しているのか」

という点が、両者を区別する際の重要なポイントとなります。


5 成果物があれば必ず「請負」なのか?


ここは特に注意が必要です。

「成果物を納品する契約だから請負契約だ」と考えてしまいがちですが、成果物が存在するからといって、必ず請負契約になるわけではありません。

例えば、コンサルティング業務の一環として、

・分析レポート
・報告書
・提案資料

などを作成する場合があります。

この場合でも、契約の中心が「報告書を完成させること」ではなく、「一定期間、専門的な分析や助言を行うこと」にあるのであれば、準委任として評価される可能性があります。

したがって、契約の名称や成果物の有無だけではなく、

「その契約によって受託者が何を約束しているのか」

を具体的に確認することが重要です。

6 準委任なら「成果」に対して報酬を支払えない?

ここも誤解されやすいポイントです。

準委任だからといって、必ず「作業時間」に対して報酬を支払わなければならないわけではありません。

民法では、準委任についても、事務の履行によって得られる「成果」に対して報酬を支払う形式が認められています。

そのため、実務上は、

① 履行割合型の準委任

一定期間の業務遂行や作業時間などに応じて報酬を支払うタイプ

と、

② 成果完成型の準委任

業務の遂行によって一定の成果が得られた場合に、その成果に対して報酬を支払うタイプ

があります。
ここで注意したいのは、「成果に対して報酬を支払う準委任」と「請負」は同じではないということです。

請負では「仕事の完成」そのものが債務となるのに対し、準委任では基本的に事務処理・業務遂行が債務となります。

この違いは、契約書を作成する際に非常に重要です。

7 1つの契約に「請負」と「準委任」が混在することもある

実際の業務委託契約では、すべての業務をきれいに「請負」又は「準委任」のどちらかに分類できるとは限りません。

例えば、システム関係の契約で、

「新しいシステムを開発する業務」


「完成後のシステムを保守・運用する業務」

をまとめて委託する場合を考えてみます。

システムを完成させる開発部分については請負的な性質を有する一方、完成後の保守・運用については準委任的な性質を有することがあります。

このように、1つの業務委託契約書の中に請負と準委任の要素が混在することもあります。

その場合には、単に契約書のタイトルを「業務委託契約書」とするだけではなく、

「どの業務について仕事の完成義務を負うのか」
「どの業務については善良な管理者の注意をもって業務を遂行すればよいのか」

を明確にしておくことが重要です。

8 契約書では何を明確にすべきか?

業務委託契約書を作成する際には、「これは請負契約です」「これは準委任契約です」と書くだけでは十分とはいえません。

重要なのは、具体的な権利義務を明確にすることです。

例えば、

・委託する業務の具体的な範囲
・成果物の有無
・成果物の仕様
・納入期限
・検収方法
・修正対応の範囲
・報酬の発生条件
・業務遂行上の注意義務
・契約不適合があった場合の対応
・中途解約の可否
・契約終了時の報酬精算
などを具体的に定める必要があります。

特に、「業務委託料を支払ったのに期待した成果が出なかった」「成果物を納品したのに報酬を支払ってもらえない」といったトラブルは、受託者が何を達成すれば契約上の義務を履行したことになるのかが不明確な場合に発生しやすくなります。

9 「業務委託契約」というタイトルだけでは判断できない

契約書のタイトルが「業務委託契約書」となっていても、その契約が法的に請負と評価されるのか、準委任と評価されるのかは、契約の名称だけで決まるわけではありません。

実際の契約内容や当事者が負っている義務などを踏まえて判断する必要があります。

そのため、

「業務委託契約書というタイトルだから問題ない」

と考えるのではなく、

受託者が「仕事の完成」を約束しているのか、それとも「業務の遂行」を約束しているのか

という観点から契約内容を確認することが大切です。

10 まとめ


業務委託契約における「請負」と「準委任」の違いを簡単にまとめると、

請負=仕事を完成させることを目的とする契約

準委任=一定の業務・事務を適切に遂行することを目的とする契約

という違いがあります。

もっとも、実際の契約では両者の区別が難しいケースや、1つの契約の中に請負と準委任の要素が混在しているケースもあります。

請負と準委任のどちらに該当するかによって、受託者が負う義務や報酬の考え方、契約終了時の処理などにも違いが生じます。

そのため、業務委託契約書を作成する際には、単にインターネット上のひな型を利用するのではなく、実際の取引内容に合わせて「何をもって業務完了とするのか」を明確にしておくことが重要です。

ファビスト行政書士事務所では、業務内容や取引形態に応じた業務委託契約書の作成・チェックに対応しております。

「請負と準委任のどちらで契約書を作ればよいか分からない」「現在使用している業務委託契約書の内容に不安がある」といった場合には、お気軽にご相談ください。
サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す