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第一話:浅間温泉での出会い

太平洋戦争末期。
信州・松本の浅間温泉に、五名の特攻隊員が滞在していました。
彼らは、戦闘機の修理を兼ねながら、
束の間の静養の時を過ごしていたのです。
その中に、今野勝郎さんの姿がありました。
同じ頃――
その温泉地には、東京・世田谷から疎開してきた
学童たちも滞在していました。
のちに「鉛筆部隊」と呼ばれる子どもたちです。
田中幸子さんも、その一人でした。
同じ旅館で過ごすことになった特攻隊員と子どもたち。
年齢も立場もまったく異なる者同士でしたが、
不思議なほど、彼らはすぐに打ち解けていきました。
隊員たちは、子どもたちと一緒に遊び、
子どもたちは、そんな隊員たちを慕い、
短い時間の中で、自然な交流が生まれていったのです。
それは、
戦時下であることを一瞬忘れてしまうほどの、
穏やかなひとときでした。
けれど――
その時間が長く続かないことを、
隊員たちは、すでに知っていました。
やがて彼らは、浅間温泉を離れます。
いよいよ、
特攻出撃へ向けた準備のためでした。
その頃――
勝郎さんのもとへ、故郷からご両親が訪ねて来られます。
息子の姿を一目見ようと、
慰問に訪れたのでした。
しかし――
その後、ご両親が故郷へ戻る汽車の中で、
車内放送によって、
息子・今野勝郎さんの戦死が知らされたといいます。
あまりにも突然で、
あまりにも過酷な知らせでした。
浅間温泉での出会い。
子どもたちとの穏やかな時間。
そして、
親子の再会。
そのすべては、
あまりにも短く、
そして、
あまりにも深く、
それぞれの心に刻まれることになりました。
(つづく)


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