読書は年収に影響を与えるのか

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読書が年収に影響を与えるのかー。
こうした問いについて、関心を持っている方も少なくありません。そこで、読書が年収に与える影響について調べた研究を紹介したいと思います。

群馬大学の濱田秀行や東京大の秋田喜代美らでつくる研究チームは2012年、構造方程式モデリングを用い、「成人の意識・意欲・行動」、「子どもの頃の読書の充実」、「成人現在の読書の充実」、「成人現在の年収」のそれぞれの間に存在する影響関係について調べました。

その結果、「子どもの頃の読書の充実」から「個人年収」に引かれたパスの係数は、.10に留まりました。一方で、「子どもの頃の読書の充実」から「成人の意識・意欲・行動」への係数は、.363と相対的に高い値を示しました。つまり、子供の頃の読書は年収への影響は少ないが、意識や意欲、行動へのプラス影響は大きいというわけです。

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引用:濱田秀行、秋田喜代美、藤森裕治、八木雄一郎「子どもの頃の読書が成人の意識・意欲・行動に与える影響」

また、40代・50代の共分散構造分析の結果でも、「子どもの頃の読書の充実」から「個人年収」に引かれたパスは、.18と低い値でした。
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引用:濱田秀行、秋田喜代美、藤森裕治、八木雄一郎「子どもの頃の読書が成人の意識・意欲・行動に与える影響」

これらを踏まえ、研究グループは、「子どもの頃の読書の充実が経済的な成功を約束しないものの、自己の意識・意欲・行動についての認識という、いわば成人としての心理的な充実にかかっている」と結論づけています。

今回紹介した研究では、読書と年収の相関関係は否定されましたが、民間調査では、読書量が多いと年収が高いとする調査も少なくありません。因果関係は不明ですが、調査の仕方によっては、正の相関があることは確かと言えるでしょう。

参考文献
濱田秀行、秋田喜代美、藤森裕治、八木雄一郎「子どもの頃の読書が成人の意識・意欲・行動に与える影響」『読書科学』58(1)、日本読書学会、2016年

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