はじめに
「少子高齢化に伴う労働人口の減少」「人的資本経営」「エンゲージメントの向上」――。昨今のニュースや新聞の経済面では、毎日のようにこれらのはたらく環境の変化に関するキーワードが飛び交っています。
現代の激動する社会情勢の中で、多くの企業が生き残りをかけ、人事制度の改定や多様な働き方の導入など、様々な変革に挑まれています。しかしその一方で、経営者や人事担当の皆様から、このような切実な声を耳にすることが少なくありません。
「時代に合わせて立派な制度を整えたはずなのに、なぜか組織の風土が変わらない」
「『これからは自律型キャリアの時代だ』と発信しているのに、社員が受動的なままである」
カチッとした仕組み(箱)はできたのに、肝心の「人」や「組織」にいまひとつ変化が起きないのはなぜでしょうか。
その背景を探るヒントとして、近年、人事や組織開発の現場で「EX(従業員体験・経験:Employee Experience)」という視点が大きな広がりを見せています。これは、社員が会社に入社してから退職するまでのあらゆるプロセスで得る経験や、そこで生じる感情のすべてを大切にしようという考え方です。
これからの不確実な時代、人事に求められる役割は、制度を運用し社員を「管理」することから、社員一人ひとりと共に理想の組織やキャリアを「共創」することへと、静かに、しかし確実にシフトし始めています。
今回は、この変化の激しい時代において、人事がどのような姿勢で従業員と向き合い、対話を重ねていけばよいのか、私たちが大切にしているキャリア支援の視点を交えながら、これからの人事のあり方について一つのご提案をさせていただきます。
「管理」から「共創」へ:今、人事に求められる役割のシフト
かつての高度経済成長期や安定期においては、企業が「一律で強固なキャリアパス」をあらかじめ用意し、社員はそれに沿って進むことが一般的でした。
いわば、会社が社員に対して一方的に「提供価値」を提示し、それに合わせて社員を「管理」する人事のあり方です。
しかし、現代の社会情勢は大きく異なります。ビジネスの現場では正解が目まぐるしく変わり、企業側も「これが絶対に正しいキャリアの道筋だ」と提示することが難しくなっています。
さらに、働く個人の価値観も多様化しています。育児や介護といったライフステージの変化、あるいは「自分らしく働きたい」というキャリアへの想いなど、従業員は画一的な枠には収まらない、常に「揺れ動く存在」であると言えます。
こうした激しい変化の時代において、これまでのような一律・固定的な制度で縛る「管理型」のアプローチだけでは、優秀な人材の定着(リテンション)や組織の活性化を図ることが難しくなってきているのかもしれません。
そこで今、人事の現場に求められているのが、「提供価値」から「提案価値(共創)」へのシフトです。
これは、会社が完成された正解を一方的に与えるのではなく、社員一人ひとりの反応や声を起点に、「どうすればもっと働きやすくなるか」「どうすればこの組織で生き生きと活躍できるか」を、対話を通じて共に創り上げていく(共創する)という姿勢です。
従業員を単なる「管理の対象」として見るのではなく、企業の未来や価値を共に生み出す「大切なパートナー」として捉え直すこと。この視点の転換こそが、変化の時代において組織の弾力性を高め、これからの企業の競争力を支える鍵になるのではないかと私たちは考えています。
キャリアを「試作する」という新しいマインドセット
組織と従業員が価値を「共創」していくために、私たちはどのような心構えを持てばよいのでしょうか。
最先端の組織開発やマネジメントの現場では、よく「デザイン態度(Design Attitude)」という言葉が使われます。これは少し硬い専門用語ですが、一言で言えば「デザイナーが問題に向き合うときのような、試行錯誤を楽しむマインドセット」のことです。
私たちはこれを、ビジネスの現場やキャリア形成の文脈において、「キャリアや働き方を『小さく試作(プロトタイプ)してみる』姿勢」と捉えてみてはどうかと提案しています。
これまでのキャリアプランといえば、「5年後、10年後にこうなっていたい」という完璧な計画を机の上でカチッと作り、そこ逆算して行動することが美徳とされてきました。しかし、これだけ変化が激しく先の見えない現代社会においては、せっかく立てた計画が前提から崩れてしまうことも珍しくありません。
だからこそ、いま求められているのは、完璧な計画に縛られることではなく、まずは「小さく試してみる」という柔らかい構えです。
「面白そうな勉強会や研修に、まずは参加してみる」
「他部署のプロジェクトに、少しだけ手伝いとして関わってみる」
「新しい業務のやり方を、チーム内で1週間だけ実験的に導入してみる」
このように、最初から大がかりな変革を目指すのではなく、実験(試作)を繰り返しながら、周囲の反応や自分自身の感覚を確かめ、走りながら修正していく。
人事の皆様自身が「まずは小さく試してみよう」という柔軟な姿勢を持ち、同時に社員に対しても「失敗してもいいから、まずは小さく試してみよう」と背中を押してあげること。この「試作するマインドセット」を組織全体で共有していくことが、正解のない時代を切り拓く創造性の原動力になるのではないでしょうか。
従業員の「真の自律」を支える、経験代謝と自己概念の成長
前章では、これからの時代にはキャリアや働き方を「小さく試作(プロトタイプ)してみる」姿勢が大切であるとお伝えしました。しかし、ここで一つ、私たちが忘れてはならない重要な視点があります。
それは、「従業員は、急に『今日から自律的にキャリアをデザインしなさい』と言われても、すぐに動けるわけではない」ということです。
企業の現場では、自律を促すあまり、かえって社員を突き放してしまうような関わりになってしまっているケースも見受けられます。本当に従業員が自律し、主体的にキャリアを描けるようになるためには、他者による温かい支援や、自ら勉強・経験を重ねるプロセス、そして何よりも「自己概念の成長」が必要不可欠です。
そこで私たちが大切にしているのが、「経験代謝」というアプローチです。
人間は、ただ漫然と業務をこなしているだけでは成長を実感しにくいものです。大切なのは、日々の仕事や新しくチャレンジした「経験」を丁寧に振り返り(内省し)、そこに自分なりの意味づけを行うことです。
「あの仕事の、一体何が自分にとって嬉しかったのだろう?」
「なぜあの時、自分はあんなに壁を感じてしまったのだろう?」
このように自分の経験を見つめ直すプロセスを繰り返すことで、従業員は「自分はこういうことに喜びを感じ、こうした価値観を大切にしたい人間なんだ」という、自分自身の軸(自己概念)をアップデートしていくことができます。
この「自己概念の成長」があって初めて、社員は借り物ではない、本当に「自分らしいキャリアプランや目的」を自分の言葉で語り、主体的に動き出すことができるのです。
人事に求められる本当の役割とは、ただ「自律しなさい」と求めることではありません。
社員が新しい経験を重ね、それを安心して振り返ることができる「場」や「対話の機会」を社内に散りばめ、彼らの自己概念の成長にじっくりと伴走していくこと。これこそが、従業員の「真の自律」を育むための、最も地道で、最も確実な道なのではないでしょうか。
ワイ・キャリアサポーターズからのご提案
ここまで、これからの時代の人事に求められる「共創」や「伴走」のあり方について考えてきました。しかし、日々の多忙な業務に追われる人事の皆様が、自社だけでこの新しい役割へとシフトし、社員一人ひとりの内省を支えるのは、決して容易なことではありません。
社内の関係性があるからこそ、かえって「管理の目」が意識されてしまい、社員が本音や「揺らぎ」を打ち明けにくいという側面もあるかと思います。
そこで私たちワイ・キャリアサポーターズは、企業の人事の皆様、そして従業員の皆様を繋ぐ「共創のパートナー」として、以下のようなアプローチでの伴走をご提案しています。
① 客観的な立場からの「経験代謝」の促進(キャリアコンサルティング)
利害関係のない外部のプロフェッショナルであるキャリアコンサルタントが、定期的・継続的な面談を実施します。社員が日々の業務や新しい挑戦(試作)から得た経験を安心して語り、内省できる場を設けることで、スムーズな「経験代謝」を促します。
② 自律を育む「自己概念の成長」へのアプローチ
「キャリアを自分で描きなさい」と突き放すのではなく、対話を通じて「自分は何を大切にしたいのか」という個々の軸(自己概念)を育てるカウンセリングを行います。勉強や経験の機会をどうキャリアに結びつけるか、一人ひとりの歩みに寄り添います。
③ 人事と社員が共に創る「場(土壌)」の設計支援
面談を通じて得られた個人が特定されない形での組織の傾向や、社員が求めている「体験(EX)」のヒントを人事にフィードバックします。これにより、人事が一方的に制度を押し付けるのではなく、社員の反応を起点とした制度や環境の「共創」をサポートします。
私たちは、人事の皆様が孤独に制度を管理するのではなく、社員の可能性を信じて未来を共に創り出すパートナーであってほしいと願っています。社内だけではどうしても手が回りきらない「対話の土壌づくり」を、私たちが全力でお手伝いいたします。
まとめ
「制度は整ってきたのに、組織が変わらない」
もしそのような壁に直面しているのであれば、それは人事の役割を「管理」から「共創」へとアップデートする、絶好のタイミングなのかもしれません。
これからの激動の時代において、人事に求められるのは、完璧な正解を提示することではなく、従業員という「揺れ動く存在」に寄り添い、彼らが日々の業務の中で得る「従業員体験(EX)」を共に創り上げていく姿勢です。
最初から大きなキャリアプランを完成させる必要はありません。人事も社員も、まずは「小さく試作(プロトタイプ)してみる」という柔らかいマインドセットを持ち、そこから得られた経験を丁寧に振り返る(経験代謝を回す)こと。その地道なプロセスの先にこそ、社員一人ひとりの「自己概念の成長」があり、本当の意味での「自律型組織」が誕生します。
従業員を管理の対象ではなく、価値を共に創るパートナーとして捉え直すこと。
私たちワイ・キャリアサポーターズは、そんな新しい一歩を踏み出す企業の人事の皆様に寄り添い、共に歩む伴走者であり続けたいと考えています。社員の自律や組織の変革について、まずは小さなお悩みからでも、私たちにぜひお気軽にご相談ください。
最後まで読んでいただき誠に有難うございました。
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*企画制作編集:ワイ・キャリアサポーターズ
*この記事の文章作成には、Google社の生成AI Gemini を活用して作成しています。
*作成日:2026/06/18(木)
*最終更新日時:2026/06/18(木) 11:35
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