富太郎が、気の向くままに、「ちょこっとプレゼン」させていただきます。
誰かのお役に立てば、幸いです。
今回のお題「刑法の場所的適用範囲」
先月、パキスタンのカラチ市で、日本人複数名を乗せた車列が襲撃される
事件が発生し、日本人1名が負傷したとの報道がありました。(現地の民間
警備員の方1名が亡くなっています。)
この海外での事件に、『日本の刑法が適用されるのか?』に関してです。
刑法の一番初め、第1条から第4条の2に、条文があります。
内容的には、犯罪が「日本で行われた場合」と「国外で行われた場合」に
分けられています。
まず「国内で行われた場合」が、第1条【国内犯】で、
① 日本国内において罪を犯したすべての者に適用する。
② 国外にある日本船舶又は日本航空機内で罪を犯した者も、同様とする。
と、規定されています。
①は「属地主義」、②は「旗国主義」と言われています。
次に、問題の「海外で行われた犯罪」についてですが、いくつかにパターン
分けて、日本の刑法が適用される場面が、規定されています。
第2条【すべての者の国外犯】
対象になるのは「日本国家の法益を害する犯罪」。例えば①内乱、②通貨の
偽造罪等に、限定されています。 「保護主義」と言われています。
第3条【国民の国外犯】
対象になるのは、①殺人罪、②傷害・傷害致死罪、③窃盗・強盗罪等、一定の
ものだけです。 「属人主義」と言われています。
第3条の2【国民以外の者の国外犯】
対象になるのは、「日本人を被害者にする」①殺人罪、②傷害・傷害致死罪、
③営利目的等略取・誘拐、④強盗等、一定の犯罪です。 「保護主義」です。
第4条【公務員の国外犯】
対象になるのは、「日本の公務員」の犯罪のうち、①虚偽公文書作成罪、
②収賄等、一定のものだけです。 「保護主義」です。
第4条の2【条約による国外犯】
対象になるのは「条約により日本国外において犯したときであっても罰すべき
ものとされている犯罪」を犯した者(例えば、テロとかハイジャック犯)です。
行為者及び行為地を問わず、自国の刑法を適用する原則を「世界主義」と
いいます。
司法書士試験では、次のような問題が出ました。
刑法 平成17-25-ア
問 刑法には、我が国の国民が国外で刑法上の犯罪の被害者となったことに
より我が国の国民以外の者に対して我が国の刑法が適用される場面は、
規定されていない。
答 × 刑法第3条の2により、日本の刑法が適用されます。 従来は、
日本国外における日本国民に対する犯罪の処罰は行為地法に任せるべきで
あるとして、原則として日本の刑法は適用されませんでしたが、国際的に
人の移動が日常化し、国外において日本国民が犯罪の被害に遭うケースが
増加している現状に鑑み、「日本国民保護」の観点から平成15年に規定
されました。 (規定直後の出題だったようですね。怖い、怖い!!)
例の有名になった通訳さんは、日本で処罰することはできるのでしょうか?
第5条【外国判決の効力】に、以下の条文があります。
「外国において確定裁判を受けた者であっても、同一の行為について更に
処罰することを妨げない。ただし、犯人が既に外国において言い渡された
刑の全部又は一部の執行を受けたときは、刑の執行を軽減し、又は免除
する。」
今回は、以上です。
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