【「安くしてくれたら考えます」と言われ続ける】
現役経営者のyamacと申します。大手メーカーで法人営業を14年、独立後は数多くの業種の営業と経営を支援しています。
相談を受ける中で、かなりの割合で出てくるのがこの悩みです。
「最後は必ず価格の話になる」
「安くしないと決まらないので、利益が残らない」
「競合が下げてきたら、もう勝てない」
値引きを求められると、多くの人は商談の終盤に問題があったと考えます。クロージングが弱かった、押しが足りなかった、と。
でも実際は違います。値引き要求は、商談の前に決まっています。
私が大手メーカーで法人営業をしていたとき、扱っていたのは他社にも似た製品がある機器でした。カタログスペックだけを並べれば、価格で比べられて当然の商材です。それでも値下げに頼らずに条件を整えられた案件と、最後に価格勝負になった案件は、はっきり分かれていました。分かれ目は、商談に入る前の3つの確認でした。
【確認1:相手はまだ「比較」を始めていないか】
相手がすでに複数社を並べて検討を始めている段階で入っていくと、価格で比べられます。これは当たり前で、比較表に載った時点で、比べられる項目でしか評価されないからです。
避けるには、相手が「何を買うか」を決める前に接触することです。理想は、相手がまだ「困っている」だけで、解決策を探し始めていない段階です。
そんな早い段階でどう見つけるのか。求人情報、設備投資のニュース、業界の規制変更。困りごとの兆候は表に出ています。私は「これから忙しくなる会社」「これから困る会社」を先に探していました。
すでに比較段階に入っている相手には、正直に「うちは価格では一番になれません」と伝えて、別の評価軸を提示するしかありません。
【確認2:提案が「機能の説明」になっていないか】
これは非常に多い失敗です。
「弊社の製品は精度が高く、耐久性に優れています」
これは機能の説明です。機能を説明すると、相手は他社の機能と比べます。比べられる土俵に自分から乗っている状態です。
そうではなく、相手の業務がどう変わるかを話します。
「この業務で月に何時間、調整に取られていますか。その時間がどう変わるかを試算しました」
数字で効果を示せると、価格は「支払う額」ではなく「投資の対象」に変わります。100万円が高いか安いかは単体では決まりません。何と比べるかで決まります。他社製品と比べれば高い。削減できるコストと比べれば安い。どちらと比べさせるかを決めるのは、こちらの提案の仕方です。
【確認3:決裁者の評価軸を聞けているか】
担当者と決裁者は、見ているものが違います。
担当者は使いやすさや納期を気にします。一方、決裁者は「なぜ今これに金を使うのか」を社内で説明できるかどうかを気にしています。
ここを聞かずに提案すると、担当者は納得しているのに稟議で落ちる、という現象が起きます。そして担当者から「もう少し安ければ通せるんですが」と言われる。この値引き要求は、価格が高いから出ているのではありません。社内を通す理由が足りないから出ています。
だから聞くべきなのは予算額ではなく、こう聞きます。
「社内で承認を取るとき、どんな点を説明されますか」
「過去に似た投資が通った例はありますか。何が決め手でしたか」
ここで得た言葉を、そのまま提案資料に入れます。担当者が社内で使う言葉を、こちらが用意するイメージです。
【それでも値引きを求められたら】
条件を変えずに価格だけ下げるのは、最後の手段です。下げた瞬間、次回も同じ価格が基準になります。
代わりに使えるのは、条件との交換です。
・数量をまとめてもらう
・納期を延ばしてもらう
・契約期間を長くしてもらう
・支払い条件を変えてもらう
「お値引きはできませんが、まとめてご発注いただけるなら単価は変わります」
こう返せると、価格の話が条件の話に変わります。相手も社内で説明しやすくなるので、断られにくくなります。
【まとめ】
値引き要求は、営業担当の押しの弱さではありません。
・比較段階に入ってから接触している
・機能を説明していて、変化を説明していない
・決裁者が社内を通す理由を用意していない
このどれかが起きているサインです。逆に言えば、商談に入る前の準備で減らせる部分が大きいということです。
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まずは次の商談の前に、確認3の質問を一つだけ足してみてください。返ってくる答えが変わります。