英語を話したのに通じなかった、聞き返された、という経験から「自分は発音が悪い」と感じる方が多くいらっしゃいます。しかしその大半は、個別の単語の発音の問題ではありません。
通じない英語の原因の多くは、文全体の強弱とリズム、そして単語と単語のつながり方にあります。これらを修正すると、個別の発音記号を1つずつ直すよりも短期間で「通じる英語」に変わります。
この記事では、発音が通じない時にまず見直すべき2つの要素と、その練習方法をご紹介します。
なぜ単語の発音だけ直しても通じる英語にならないのか
「R」と「L」を区別する、「TH」を正確に発音する、といった個別の音の練習は、もちろん意味があります。しかし、それだけでは通じる英語にはなりません。
理由は2つあります。
1. ネイティブは個別の音ではなく文単位で聞いている
英語のネイティブスピーカーは、単語を1つずつ区切って聞き取っているわけではありません。文全体のリズム、強弱、抑揚を手がかりに意味を取っています。
たとえば、個別の音が完璧でも、文の強弱が平坦で、リズムが日本語的だと、ネイティブの耳には情報がうまく入りません。逆に、個別の音が多少不正確でも、強弱とリズムが英語のパターンに乗っていれば、しっかり伝わります。
2. 単語と単語のつながり方で実際の音は変わる
英文の中で単語は単独で発音されません。前後の音と影響し合って、単語単体の発音とは違う音に変化します。
「What are you doing?」を発音記号通りに4語並べて読むと不自然になります。実際は「ワットアーユードゥーイング」ではなく、もっと短く速く、単語間の音が連結したり省略されたりしています。この変化を再現できないと、ネイティブには別の文に聞こえることがあります。
通じる発音の土台になる2つの要素
優先度の高い順に2つです。この2つが土台に乗っていれば、個別の音の精度は後から徐々に上げていけば十分です。
1. 文の強弱とリズム
英語は強弱の言語です。文の中で重要な語(内容を運ぶ動詞・名詞・形容詞など)は強く長く発音され、機能語(前置詞・冠詞・代名詞など)は弱く短く発音されます。
日本語は等間隔のリズムで話す言語なので、英語をそのリズムで発音すると、ネイティブには平坦に聞こえます。文単位で「どこを強く、どこを弱く」を意識することが、通じる英語の第一歩です。
2. 連結と省略
文の中で隣り合う音はつながります。「an apple」は「アン・アップル」ではなく「アナップル」のように一つの音になります。「going to」は会話では「gonna」と短くなることもあります。
これらは「崩れた発音」ではなく、自然な英語の標準的な姿です。書き言葉と話し言葉では音の出方が異なる、と理解しておくことが重要です。
どう練習するか
文の強弱・リズムと、連結・省略は、知識として理解しても口は動くようになりません。発音は知識ではなく動作の問題なので、口を動かすトレーニングが必要です。
最も効率的な練習方法は、シャドーイングです。
シャドーイングは、聞いた英語を少し遅れて自分の口で追いかけて発声する練習です。意味の理解を目的にするのではなく、ネイティブの音とリズムをそのまま自分の口の動きに移すことが目的になります。
継続することで、以下が同時に身につきます。
・どの単語を強く・長く発音するか
・どこで音が連結し、どこで省略されるか
・文単位の抑揚と速度感
最初はゆっくり目の素材で構いません。同じ素材を繰り返すうちに、口がネイティブの音の流れに馴染んでいきます。
やる必要のないこと
発音改善で取り組まなくてよいことも明確にしておきます。これらに時間を使うと、効果のわりに学習時間を消費します。
・発音記号を全部覚える
・個別の音(R/L、TH、Vなど)を孤立して何百回も練習する
・アクセントを「アメリカ式」「イギリス式」と完璧に決めて練習する
土台の強弱・リズム・連結が乗っていれば、個別の音は会話の中で自然に整っていきます。
まとめ
結論:英語の発音が通じない時に最初に見直すべきは、個別の単語の発音ではなく、文単位の強弱とリズム、そして単語と単語のつながり方です。これらを身につける最も効率的な方法はシャドーイングであり、発音記号を1つずつ練習する方法よりも、はるかに早く「通じる英語」に到達できます。
具体的にどんな素材でシャドーイングを始めればよいか、どのくらいの頻度と時間で継続すればよいかは、現在のレベルや目指す英語のスタイルによって変わります。コーチングの中でひとりずつに合わせてご案内しています。
私自身、TOEIC340点から海外駐在員として選抜されるところまで英語を伸ばす過程で、発音の改善はシャドーイングを軸に進めてきました。気になる方はお気軽にメッセージをください。