海外の大学と日本の大学、どちらがいいのか ~何を得て、何に苦しむか~

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コラム
海外の大学と日本の大学。
どちらがよいのかと聞かれることがあります。
学費の問題をいったん横に置くなら、答えは単純ではありません。
海外大学には海外大学の強さがあります。
日本の大学には日本の大学の良さがあります。
大切なのは、「どちらが上か」ではなく、「その人がどんな環境で伸びるのか」を考えることです。
海外の大学の大きな特徴は、自分で考え、発言し、行動することを強く求められる点です。
授業では、ただ座って聞いているだけでは足りません。
意見を求められます。
なぜそう考えたのかを聞かれます。
課題も多く、読まなければならない文献も多く、レポートでは自分の主張を組み立てる力が必要になります。
英語で学ぶ場合、語学力だけでなく、異文化の中で自分を出す勇気も求められます。
最初はかなり苦しいと思います。
授業についていけない。
発言できない。
友人関係を作れない。
周囲が自信満々に見える。
自分だけ遅れている気がする。
そう感じる時期は、多くの人にあるはずです。
しかし、その苦しさを越えると、海外大学では大きな力が身につきます。
自分の意見を持つ力。
違う文化の人と協働する力。
正解のない問題に向き合う力。
自分から動く力。
失敗しても立て直す力。
そして、「日本の常識だけが世界のすべてではない」と知る感覚です。
この経験は、将来、外資系企業、国際機関、海外大学院、研究職、起業、グローバル企業、英語を使う仕事などにつながりやすくなります。
一方で、海外大学は向き不向きもあります。
自分から質問できない人。
孤独に弱い人。
生活の変化に極端に疲れやすい人。
曖昧な指示の中で動くのが苦手な人。
言語の壁に強いストレスを感じる人。
こうした人にとっては、かなり負荷が高い環境になります。
「海外に行けば変われる」と簡単に考えると、現実とのギャップに苦しむこともあります。
日本の大学の良さは、安心感と制度の分かりやすさです。
日本語で学べる。
生活環境が安定している。
就職活動のルートがある程度整っている。
サークルやゼミ、人間関係の中で、ゆるやかに成長できる。
大学によっては、専門分野を深める研究環境もあります。
特に、資格職、公務員、教員、医療、福祉、法律、国内企業への就職を考えるなら、日本の大学には強いメリットがあります。
日本社会で働く前提なら、日本の大学で得られる人脈や就職情報、企業との接点はかなり現実的な武器になります。
また、日本の大学には「余白」があります。
海外大学ほど課題に追われない大学も多く、その時間をどう使うかで大きく差が出ます。
資格を取る人。
留学する人。
インターンに行く人。
起業する人。
研究に打ち込む人。
アルバイトで社会経験を積む人。
逆に、何も考えずに過ごすと、4年間があっという間に過ぎてしまうこともあります。
日本の大学の弱点は、受け身でも何となく進めてしまうところです。
授業に出て、単位を取り、就活の時期になったら周囲に合わせて動く。
それでも卒業はできるかもしれません。
しかし、自分で問いを立てる力、自分の専門を語る力、社会に対して何をしたいのかを言葉にする力は、意識しなければ育ちにくいことがあります。
海外大学は、厳しい環境の中で自分を鍛える場所になりやすいです。
日本の大学は、安定した環境の中で自分の時間をどう使うかが問われる場所になりやすいです。
海外大学では、放っておいても負荷がかかります。
日本の大学では、自分で負荷を作れるかが大切になります。
どちらにも価値があります。
海外大学に行く子は、強くなれる可能性があります。
けれど、孤独や文化の違いに苦しむ覚悟も必要です。
日本の大学に行く子は、安心して学べる可能性があります。
けれど、自分から動かないと、ただ時間が過ぎてしまう危険もあります。
進路選びで大切なのは、偏差値やブランドだけではありません。
その子がどんな環境で力を出せるのか。
どんな苦労なら乗り越えられそうか。
将来、日本で働きたいのか、海外も視野に入れたいのか。
専門性を深めたいのか、幅広く経験したいのか。
一人で戦う力をつけたいのか、安心できる環境で少しずつ伸びたいのか。
そこを丁寧に考える必要があります。
若い人に伝えたいのは、どちらを選んでも、人生は一発勝負ではないということです。
日本の大学に行ってから海外大学院に進む道もあります。
日本の大学に通いながら、留学やインターンで海外経験を積む道もあります。
海外大学に行って、日本に戻って働く道もあります。
いったん違う道に進んでも、学び直すことはできます。
保護者の方に伝えたいのは、子どもの進路を「成功か失敗か」で見ないでほしいということです。
海外大学を選ぶ子も、日本の大学を選ぶ子も、それぞれの不安を抱えています。
親に必要なのは、正解を押しつけることではありません。
その子が何に惹かれ、何を怖がり、どんな場所なら自分を出せるのかを一緒に考えることです。
海外か日本か。
その選択は大きいものです。
でも、本当に大切なのは、どこに行くかだけではありません。
そこで何を感じ、何を学び、どんな人と出会い、どんな自分になっていくかです。
若者には、まだ言葉になっていない可能性があります。
保護者には、その可能性を信じて見守る力があります。
進路に迷うことは、悪いことではありません。
迷っているということは、自分の人生を本気で考え始めているということです。
海外大学にも、日本の大学にも、未来へつながる道はあります。
大切なのは、その子に合った道を、焦らず、丁寧に見つけていくことです。
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