【孤立】地域福祉【孤独】④

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皆さん、こんにちは!

今回も、誰に求めれているか分からない「地域福祉」シリーズ第4弾です。

この度のテーマはずばり「孤立」と「孤独」です。

現代の我が国はこの「孤立」「孤独」が問題となっていると言われています。

では「孤立」と「孤独」の何が問題なのか?いったいどういった影響があるのか?それに対して地域福祉はどう立ち向かうのか?などを今回は考えていこうと思います!



孤立と孤独の概念

孤立と孤独は、私たちの生活に深く関わるテーマです。特に、新型コロナウイルスの影響で、人との接触が減ったり、自宅で過ごす時間が増えたりしたことで、孤立や孤独を感じる人が増えたのではないでしょうか。

孤立と孤独は、よく混同されることがありますが、実は異なる概念です。孤立とは、客観的に見て他者とのつながりが少ない状態です。一方、孤独とは、主観的に寂しいと感じることです。つまり、孤立は外的な状況であり、孤独は内的な感情であると言えます。

孤立と孤独は、必ずしも一致するとは限りません。孤立していても寂しさを感じない人もいますし、たくさんのつながりがあっても孤独を抱える人もいます。例えば、仕事や家庭で忙しくて、自分の時間がない人は、孤立していないかもしれませんが、孤独を感じるかもしれません。逆に、一人で趣味や勉強に没頭している人は、孤立しているかもしれませんが、孤独ではないかもしれません。

孤立や孤独は、心の問題だけでなく、身体の健康にも影響を与えることが分かっています。孤立や孤独はストレスとなり、認知症や生活習慣病などの発症リスクを高めたり、自殺や要介護状態に関連したりするという報告があります。人とのつながりの量だけでなく、質も大切です。交友関係に満足しているかどうかが健康に強く影響するという報告もあります。

孤立とは客観的に一人という概念です

孤立とは、一つまたは一人だけ他から離れて、つながる手段のない状態です。客観的に見て他者とのつながりが少ない状態を指します。人間関係から離れて助けもなく一人だけ存在することですね。

孤独とは主観的に一人という概念です

孤独とは、寂しいというような主観的な感情のことです。志や考え方などが同じ人や精神的なつながりのある人が自分の近くにいなくて一人になることです。仲間づきあいの欠如あるいは喪失による好ましからざる感情を抱くことです。

孤立と孤独の関係

孤立と孤独は異なる概念ですが、関連していることが多いです。孤立している人は孤独を感じやすく、孤独を感じている人は孤立していることが多いです。しかし、必ずしも両者が常に関連しているとは限りません。孤立していても寂しさを感じない人もいますし、たくさんのつながりがあっても孤独を抱える人もいます。

孤独と孤立の影響とは、健康を損なうことです

孤立と孤独のデメリットについて、以下のように説明できます。

-孤立と孤独は、心身の健康に悪影響を及ぼすことが多くの研究で示されています。

孤独と孤立だと、身体能力が低下したり病気にかかりやすくなります

例えば、孤立や孤独はストレスとなり、認知症や生活習慣病などの発症リスクを高めたり、自殺や要介護状態に関連したりするという報告があります。また、孤立や孤独は、免疫機能の低下や炎症の増加にも関係しています

 石 田 光 規(2022)「わが国における社会的孤立の状況」季刊個人金 融2022 冬 特集 新型コロナ禍で深刻化する社会的孤立 より

日本では年間1.9~2.0万人程度の高齢者が孤立状態にあることで早期死亡に至っている可能性あります

社会的孤立は,情報や資源の不足,サポートの乏しさ,自己効力感や自尊感情の低下を経由して不健康へ繋がります。
人づきあいの乏しさは喫煙と同程度のリスクであると言えます。

Saito M. et al. (2021) Geriatr Geront Int, 21(2): 209‐214 より

孤立と孤独は健康リスクを増加させます。

孤独と孤立は、免疫機能の低下や炎症の増加にも関係しているという研究もあります。孤独や孤立はストレスとなり、免疫系に影響を与えることが分かっています。免疫系が低下すると、感染症やがんなどの病気にかかりやすくなります。また、炎症は、動脈硬化やアルツハイマー病などの病気の原因となることが分かっています

Holwerda TJ, Beekman AT, Deeg DJ, Stek ML, van Tilburg TG, Visser PJ, Schmand B, Jonker C, Schoevers RA. Increased risk of mortality associated with social isolation in older men: only when feeling lonely? Results from the Amsterdam Study of the Elderly (AMSTEL). Psychol Med. 2012 Apr;42(4):843-53.より

つまり、「孤立」「孤独」へは「幸福」を阻害します

【基礎の基礎から】地域福祉の理念とは【詳しく解説】① (swhiro.blog)では、福祉とは「幸せ」「幸福」を意味すると説明しました。そして、幸せのあり方は1000人いれば1000通りあり、みんな違うのです。

また、幸福とは永続的な状況ではなく、自らの「心のありかた」を意識的に選び取ることによって見出すことができるものなのです。

ただし、統計的な調査では、人は価値のある活動に積極的に参加し、自身のゴールをめざして前進するときに、より多くの幸福を感じることができるということは言われています。

なので、「孤立」「孤独」はこの幸福を阻害する一つの要因になり得るのです。

そのため、地域福祉を推進するときにこの「孤立」「孤独」をどう考えていくかがということが重要になります。

「孤立」「孤独」を解消するためには何らかの「参加」と「達成」が重要です

「孤立」「孤独」を解消するためにはやはり、人と人の「つながり」が重要になります。これはすごくシンプルですね。

投稿を編集 “【時代が変わって】地域福祉の概念とは【地域も変わる】②” ‹ よくわかる介護ブログ — WordPress (swhiro.blog)では、コミュニティとアソシエ―ションの話をしました。

コミュニティ型組織とは地域や地縁に基づいた共同活動によって構成された組織を指し、ある一定の地域に住む住民が主な参加者であり、活動範囲も限定される。
一方で、アソシエーション型組織とは人々の特定の関心や目的を満たすために作られた組織を指し、参加者同じ目標を持つ人となり、その活動範囲は目的に沿うものであれば限定されないことが多い。
参加の形は色々で、形にこだわる必要はありません

どちらもつながりの一つの形なので、こだわる必要はないです。

ただし、つながりの形態にはメリットデメリットが必ず存在しますので、どんなつながりの形態がいいのかというは、人によります。

このようなメリットデメリットなども勘案して、つながりを作る営みがコミュニティ―ワークであるということになります。

「達成」とは、自己実現や自分自身が力づけられることです

「達成」という言葉は色々な言葉に言い換えられます。自己実現、役割感、自己肯定感、やりがい、他にもたくさんありそうです。

これらの根本を考えていくと、何かを行うことで「自分自身が力づけられる」ことであると気づくことができます。

このような達成を支援することをエンパワメントなどとも呼ばれます。

「参加」も「達成」も幸せと同様に人によって違います。

さて、このような「参加」や「達成」が「孤独」「孤立」への対処であるとことはわかってきました。

しかし、この「参加」「達成」はお気づきの通り、人によって全然違うはずなのです。「幸せ」を感じるのが1000人いれば1000通りあるのと一緒ですね。

なので、これはもう本人に聞くしかありません。また、聞いても本人さえも分からなくて一緒に探していく必要があります。

どんなことが好き?どんなことが得意なのか?何を誇りにしているのか?どんなことを大切にして生きているのか?

つまり、ストレングス(強み)を見つける作業が必要なのです。

最後に

いかがだったでしょうか?

今回は「孤独」「孤立」という切り口から地域福祉について考えてみました。孤独と孤立は一人一人が抱えているものなのですが、これを解消するためにはコミュニティ、アソシエーションなど「つながり」の中でしか解消することができません。

「人は一人で生きていけない」なんて、当たり前のことなんですけど、これが難しいのも、ご想像いただけるでしょう!

さて、次回はこの「つながり」を作るということと、つながった先にあるコミュニティ、アソシエーション=集団が形成されるプロセスについて考えていきたいと思います
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