【創作】”天才キャラ”を作るのに役立つ二冊ご紹介!

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はじめに

居丈高な天才……眼鏡をかけている秀才……早口で理論を語るブレイン……。
小説に「天才」「頭のいい人」キャラクターを出そうとした時、どんなキャラを考えますか?
過去に読んだ漫画や小説のそういうキャラクターを下敷きに想像するかもしれません。もしくは自分の近場にいるそういう人たちをモデルにするかも?

または、実在した天才たちの歩みを記されたノンフィクションを読むのもいいかもしれません。

今回は実在した多くの天才たちが描かれたノンフィクション作品を二作紹介します。
※どちらも学術書とエンタメ小説の間位に位置する作品です。初心者向けに読みやすくされてはいますが、専門的な内容も多少含まれています。


フェルマーの最終定理 (新潮文庫) サイモン・シン

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言葉にしようのない、美しい瞬間でした。数学界最大の超難問はどうやって解かれたのか?3世紀にわたって苦闘した天才数学者たちの挫折と栄光、証明に至るまでを描く感動の人間ドラマ。
「私はこの命題の真に驚くべき証明をもっているが、余白が狭すぎるのでここに記すことはできない」この言葉とともに残された数学界最大の超難問「フェルマーの最終定理」。
この本には多くの数学者が出てきますが、一人とて同じような人はおりません。彼らを象徴するエピソードは基本的に短くまとまっているのですが、どれも驚くほど個性的です。
例えば数学の始まりを説明するために登場したピタゴラス。彼は最初、多くの知識を持ちながらも誰にも振り向いてもらえず、孤独に耐え切れず、最終的には金を払って一人の弟子を取ったそうです。要は、家庭教師が生徒に金を払って話を聞いてもらうようなものですね。
結局、弟子は知識を得ることの素晴らしさに自ら気が付き、最後には「金はいらないから授業を受けたい」と、師弟関係は通常の形に落ち着いたようですが、なんとも人間臭い師弟エピソードに笑ってしまいます。
「ピタゴラスの定理」という有名な定理は知っていても、彼のこういうエピソードを目にする機会はありません。
天才だった。頭のいい人だった。ということ自体は、その人の残した何かや言葉で表現することは可能ですが、それだけでは薄っぺらく、近づきがたい雰囲気があります。
キャラクター創作にあたっては、こういう背景や彼らの性格を思わせるエピソードを盛り込んでみるといいかもしれません。

進化の技法――転用と盗用と争いの40億年 ニール・シュービン

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生物は進化しうる。ではその過程で、生物の体内で何が起きているのだろうか。この問いの答えは、ダーウィンの『種の起源』の刊行後、現在まで増え続けている。生物は実にさまざまな「進化の技法」を備えているのだ。『種の起源』が発表されると、人々は世界中の現生の生物や化石に進化の実例を求め、観察し始めた。そしてさまざまな生物の胚、変態、奇形の個体、染色体を見つめるうちに、飛躍的な進化を起こすからくりを少しずつ見出していく。たとえば生物の体内では、新たな機能の発明よりも、既存の機能の転用がたびたび起きている。DNA内では、侵入してきたウイルスの遺伝子を宿主が奪ったり、破壊と革新をもたらす遺伝子が跳び回ったりしているのだ。本書は、世界中を探検し、化石を探し、顕微鏡を覗きこみ、生物を何世代も飼育し、膨大なDNA配列に向き合い、学会や雑誌上で論争を繰り広げてきた研究者たちへの賛歌でもある。歴代の科学者と共に進化の謎に直面し、共に迷いながら、40億年の生命史を支えてきた進化のからくりを探る書。
フェルマーの最終定理の数学者に負けず劣らず個性的な学者たちが登場する本書。
「種の起源」で有名なダーウィンに対して、かなり好戦的な反論を叩きつけたマイバート
しかしダーウィンは「真に傾聴に値する批評家」としてマイバートを扱い、彼の批評を封じる多くの証拠を提示する……。知識での殴り合いが、なにかのスポーツのような熱気を伴って繰り返されるのがなんとも面白く、そのうえ、創作のネタになりそうな生物の進化論についても学べるものだから、お得な一冊です。
ほかにも、蠅の異形を調べるために、延々と顕微鏡を覗き続ける学者。ふと気づいたことを確認するために、庭にミミズを探しに飛び出していく学者……。
そんな一癖も二癖もある天才たちのエピソードが読みやすい文章でまとまっています。

おわりに

ノンフィクション作品には、エンタメ小説や漫画、映画とはまた違った魅力があります。そこで得た知識や人の行動原理は、創作においても役に立つものが多いと思います。
創作に行き詰っている人の中には、知識の引き出しが枯渇してしまったケースもあるでしょう。そういう時は、こういう作品から「知識」をインプットすると、新しい発想が生まれたりするかもしれません。

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ただ文章を添削、校正するのではなく、どんな言い回しがほかにできるか、どうすればさらによい作品になるか、を考えたアドバイスをさせて頂いております。
「9ページ目の8行目の表現を~~したいのだけど、なかなかうまく表現できない。表現の書き換え案や追記が欲しい」
「この時のキャラの~~な気持ちを伝えるための、もっと他にいい言い回しがないか」
といった詳細なご質問も大歓迎です。あくまで一読者の一案ではありますが、誠心誠意お答えさせて頂きます。
創作に役立ちそうな本のご紹介を希望の方は、ご相談時にお伝えください。

だいたいこんな感じの添削です。


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