「小説を書くAI」AIノベリストを使ってみた

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AIノベリストとは?

AI ノベリストとは自分の書いた文章から、続きをAIが書いてくれるという、いわば「小説を書くAI」です。
現在はAIのべりすとを使用した小説の文学賞「AIのべりすと文学賞」の第一回が開催されており、いろいろと注目を集めています。
基本的な機能は無料で、登録なしでも使えますが、有料にすると細かい設定が可能になり、使い方によってはかなり面白い作品が作れそうです。

今回は無料登録の機能だけを使用し、試しに、物語の導入の続きを書いてもらいました。

元にした導入部

彼女は天使だった。比喩の類ではない。私の知る天使そのものの姿を、彼女はしていた。
彼女には4つの顔があった。一つには獅子の鬣が生え、一つには牛の角があり、一つには鷲のくちばしがあった。一つの顔だけはまっさらな人間の顔をしていて、ぞっとするほどの美貌だった。
それぞれの顔からは一対の翼が生えていて、また、細くて白い両手もあった。スノードロップの花弁のようにそれらは頭からだらりと垂れ下がって、胴体があるべき部分を覆っていた。それゆえ私には、彼女に体があるのかないのか、判断がつかない。
彼女の傍らには白い犬がいた。大きな犬だ。人懐っこい笑みを浮かべていて、時折天使の手にじゃれついている。
私は彼女らに、道端で出会った。家路の只中だった。何かの仮装かと、最初は思った。しかし彼女の醸し出す奇妙に威圧的のせいで、私の楽観的な思考は瞬時に消えていた。
私は息を止めて、彼女と対峙していた。どれほどそうしていただろう。私の脳が酸素不足で白み始めた頃になって、ようやく彼女は言った。
「ほかほかの白米でおむすびを作りたいのだけど、どこかにそういうところができる場所はない?」
「……は?」

10分くらいで適当に考えた導入。果たしてこのむちゃくちゃな話をAIはどう処理してくれるのでしょう。

まずは一回目。

彼女は天使だった。比喩の類ではない。私の知る天使そのものの姿を、彼女はしていた。
彼女には4つの顔があった。一つには獅子の鬣が生え、一つには牛の角があり、一つには鷲のくちばしがあった。一つの顔だけはまっさらな人間の顔をしていて、ぞっとするほどの美貌だった。
それぞれの顔からは一対の翼が生えていて、また、細くて白い両手もあった。スノードロップの花弁のようにそれらは頭からだらりと垂れ下がって、胴体があるべき部分を覆っていた。それゆえ私には、彼女に体があるのかないのか、判断がつかない。
彼女の傍らには白い犬がいた。大きな犬だ。人懐っこい笑みを浮かべていて、時折天使の手にじゃれついている。
私は彼女らに、道端で出会った。家路の只中だった。何かの仮装かと、最初は思った。しかし彼女の醸し出す奇妙に威圧的のせいで、私の楽観的な思考は瞬時に消えていた。
私は息を止めて、彼女と対峙していた。どれほどそうしていただろう。私の脳が酸素不足で白み始めた頃になって、ようやく彼女は言った。
「ほかほかの白米でおむすびを作りたいのだけど、どこかにそういうところができる場所はない?」
「……は?」
<ここからAI>
間の抜けた声が出た。何を言われたのか理解するのに時間がかかった。
天使のような少女はもう一度繰り返した。その言葉はやはり日本語だった。
私は拍子抜けして、思わず笑った。そして自分の住んでいるアパートの場所を告げてから、こう答えたのだ。
私がおむすびを作るから、よかったら食べていってよ、と。
○ 彼女が私の部屋にいることに慣れるまでに、一週間かかった。その間、私はずっとそわそわしっぱなしだった。
彼女が部屋にいる間中、まるで空気のように振る舞おうと思ったけれど、それは無理だとすぐにわかった。彼女と向かい合うたびに、私は自分が人間であることを思い出した。
彼女は不思議な人だった。
まず、年齢がわからない。十代にも見えたし、二十歳過ぎにも見えた。外見だけなら二十歳前後でも通るかもしれないが、言動が幼い。
子供っぽいというわけではないのだが、どこか世間知らずなのだ。
次に、奇妙なところがあった。
例えば、冷蔵庫に入っていた食材を見て、何に使うものなのかまったくわからなかったらしい。包丁を手に取っても使い方がわからず首を傾げているものだから、私が代わりに調理をした。すると彼女は目を輝かせて、


展開がスピーディで、私自身が考えていた続きとは全く違うので、最初に読んだ時は正直面食らいました。
けれど、よくよく読むと、導入部で提示した内容をきちんと生かして描写を膨らませているのがわかります。食べ物だとか彼女の外見に言及しているところだとか。文章の流れもスムーズですね。
ちなみにAIノベリストの無料機能には「デフォルト(AIに好きに書かせます)」「セリフ(台詞を優先)」「ナラティブ(地の文を優先)」の三つの書かせ方があります。
私は今回「ナラティブ」を選んで書いてもらっています。

一回だけだと面白くないので、それからも何パターンか書いてもらいました。
すると、同じ導入部でも、AIはまったく違う展開も書いてくれました。
例えば、以下は急にシリアスに舵を切ったタイプの続きです。

急にシリアス

彼女は天使だった。比喩の類ではない。私の知る天使そのものの姿を、彼女はしていた。
彼女には4つの顔があった。一つには獅子の鬣が生え、一つには牛の角があり、一つには鷲のくちばしがあった。一つの顔だけはまっさらな人間の顔をしていて、ぞっとするほどの美貌だった。
それぞれの顔からは一対の翼が生えていて、また、細くて白い両手もあった。スノードロップの花弁のようにそれらは頭からだらりと垂れ下がって、胴体があるべき部分を覆っていた。それゆえ私には、彼女に体があるのかないのか、判断がつかない。
彼女の傍らには白い犬がいた。大きな犬だ。人懐っこい笑みを浮かべていて、時折天使の手にじゃれついている。
私は彼女らに、道端で出会った。家路の只中だった。何かの仮装かと、最初は思った。しかし彼女の醸し出す奇妙に威圧的のせいで、私の楽観的な思考は瞬時に消えていた。
私は息を止めて、彼女と対峙していた。どれほどそうしていただろう。私の脳が酸素不足で白み始めた頃になって、ようやく彼女は言った。
「ほかほかの白米でおむすびを作りたいのだけど、どこで作れる?」
「……は?」
<ここからAI>
思わず間の抜けた声が出た。それからすぐに我を取り戻して、私は答える。
私は彼女と犬を家に招いた。そして、炊飯器からご飯を取り出した。茶碗も何もない。ただのお椀に盛っただけのご飯だったが、彼女は文句の一つも言わずにそれを食べた。
彼女は不思議な存在だった。私以外にその姿を見ることができないらしい。それは彼女が特別な存在であるということではなく、単に私が特殊な能力を持っていないせいだと、彼女は説明した。
彼女は名前を持たず、代わりに数字で呼ばれていた。彼女の名は1番であるとか2番であるとか、そんな具合に呼ばれているようだ。そのことについて、彼女は特に気にかけていないようだった。
私以外の人間にも、彼女は姿を見せることができるらしい。だが、誰も彼女の存在を認識できなかった。
彼女の姿を見た者は例外なく卒倒する。意識を失うのだ。彼女はそういう力を持っているそうだ。だから人々は彼女を畏れた。
やがて、私は彼女の正体を知ることになる。ある日、彼女が私の前に現れたとき、彼女は泣いていた。
4つの顔のうち、3つが傷ついていた。目や口といったパーツがない者さえあった。私は狼に襲われたのかと思ったが、違った。彼女は自分の体を切り裂いていた。そしてそこから溢れ出る血潮を眺めながら、彼女は涙を流していた。
彼女は言う。
――痛いわ。とても痛い。どうしてこんなことをしているんだろう? でも仕方がないことなのよ。これがあたしの役割なんだもの。


数字のくだり……ストレンジャーシングス……などと一瞬思いましたが、恐らくAIに学習させている文章にこの手の展開があるのでしょう。
同じ導入部なのに、全く色の違う続きを書いてくれましたね。
どちらも自分では考えていない展開だったので、かなり面白く読むことができました。

AIノベリストを使ってみて

文章の破綻も少ないので、かなり高機能な日本語作成AIだと感じます。
ただ、時折導入で言及した要素と矛盾したり(白い犬と最初に書いたのに、後半で黒犬になっていたバージョンもありました)もします。
一方で、顔が四つある設定はしっかり覚えていて話に組み込んでくることもあり、要素を覚えていてくれているか、それを話しに組み込んでくるか、については完全にランダムのようです。
設定が矛盾しないよう、大事な設定は「項目」で覚えさせることも出来るようなので、使い方によってはかなり役立つAIだと思います。
アイディアに詰まった時などに、一緒に続きを考えてもらうような使い方もできるでしょう。
出力される文章自体はかなり整っているので、自分の文章と続けて読みつつ、展開のさせ方、表現を学ぶ機会にもなると思います。
興味のある方は、ぜひ一度試してみてください。 

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