ミクロ短編小説 ♯4

記事
小説
── 三つの影が重なる夜 ──**

優斗が現れた夜から、
彼女からの連絡はなかった。

ミクロはスマホを見つめる癖がついてしまっていた。
仕事中も、帰り道も、家にいても、
通知のない画面を見るたび胸がざわつく。

「……こんなん、自分らしくないな。」

そう呟きながらも、
気持ちはどうにもならん。

彼女が誰といて、
どんな表情をしてるのか。
何を話してるのか。

分からんことが、こんなにも苦しいとは思わんかった。

その夜——
コンビニの前を歩いていたミクロの足が、不意に止まる。

見慣れた姿が、
街灯の下に立っていたから。

彼女や。

そして隣には——

優斗。

笑ってる。
少し距離が近い。
まるで昔に戻ったみたいに自然な空気。

ミクロは一瞬、呼吸を忘れた。

(ああ……最悪のタイミングや。)

でも目を逸らすことができへん。

その瞬間、
彼女がミクロに気づいた。

驚いたように目を見開き、
息をのむ。

優斗も、ゆっくり振り返った。

「……ミクロ?」

彼女は声にならない声を出した。
手に持っていたコンビニ袋を強く握る。

三人の影が、
街灯の下で重なっていく。

あの夜と同じ場所。
でも今は全然違う空気。

優斗が先に口を開いた。

「もしかして……彼氏?」

その言葉に、
彼女の肩がピクリと揺れる。

ミクロは何も言わなかった。
言えなかった。

彼氏じゃない。
でも他の男と並んでほしいわけでもない。

言葉にできへん関係が、
今の状況をいちばん苦しくする。

沈黙を破ったのは彼女やった。

「違う……けど……」
声が震えてる。
その“違う”の後の言葉は続かなかった。

優斗が彼女に少し近づく。
その距離が、ミクロの胸を強く締めつけた。

「さっき話の続きしよって言ったやん。
 ……ミクロ君も来る?」

挑発でも優しさでもない。
ただの自然体。
それがよけいに刺さる。

ミクロは目を細めて、優斗を見た。

「いや、俺は——」
そこまで言いかけた瞬間、

彼女が小さな声で言った。

「ミクロ……来てほしい。」

優斗が驚いた顔をする。
ミクロも同じだった。

その言い方は、
助けを求めるようで、
気持ちを隠してるようで、
でもどこかでミクロを選ぼうとしてるみたいで。

三人の間に流れる空気が、
一気に張り詰めた。

優斗が静かに息をついて、
彼女を見下ろす。

「……そっか。
 じゃあ、聞かせてもらおうか。
 君が“ずっと前から”言えなかった気持ちを。」

ミクロの心臓が大きく跳ねた。

——その言葉を聞く覚悟が、
  ミクロにも、優斗にも、彼女にも必要だった。

そして、
夜が静かに三人を包み込む。

この先、何が動くのか。
誰が傷ついて、誰が選ばれるのか。

予測できへんまま、
物語は次の扉を開こうとしていた。

サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す ココナラコンテンツマーケット ノウハウ記事・テンプレート・デザイン素材はこちら