『個別の授業で面と向かっては言いにくい話をコラムにしています。言いにくいワケは、生徒さんは1人1人状況が異なり、一般論のアドバイスがつねに当てはまるとは限らないからです。
ですのでタイトルも「ひとり言」。本コラムの内容に有効性があるかと問われれば、私自身の中学受験や長年の指導で実践を心がけ、結果を出してきた事実を挙げるのみです。』
中学生の頃、現代文の先生から「君が学年で一番漢字を知っているね」とほめられたことがあります。
そのとき、生意気ですが、全然うれしくなかったんですね。
内心、「漢字をたくさん知っているなんて大したことじゃない」と思っていたからでしょう。
今はそうは思いませんが、中学生の頃は暗記学習に価値を見いだせていなかったのだと思います。
時は流れ、今やデジタル一色の時代。
漢字も入力して変換されたものが合っているかどうかわかればよく、1つ1つ書いて覚える必要があるのだろうかとふと思わないでもありません。
むろん中学入試で実際に出るわけですから、確実に取れる得点源にするため、早い時期からしっかり身につけておくべきです。
ふだん「これは絶対覚えておこう」「テストで間違えた漢字は2度と間違えないように」などと生徒さんに対して指導しながらも、
――今の時代、いったい漢字って何のために覚えるんだろう…。
そんな思いにとらわれることがよくあったんですね。
しかし最近、「漢字は記憶力をはかるバロメーターなのではないか」と考えるようになりました。
そして漢字の出来に表れた記憶力の良さは、じつは読解問題でこそ大きく得点に貢献します。
初見の文章について、どこに何が書いてあったかをどれだけ記憶できるかで、ぬき出し問題その他、正解率・解くスピードともかなり変わってくるからです。