嬉しさザクザク①

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御崎良三は進退を決めかねていた。居酒屋を経営して三年目で有るが、ようやくお客も付き、経営のコツも掴みかけて来た頃にコロナの流行がやって来た。
いきなり客足は減らなかったがジョジョに客足が減って来た。
更に行政の方から時短営業を強いられ、酒類の販売もできなくなった。
この、店舗を借りて大型冷蔵庫、調理台、電子レンジ、調理器具、食器類、を取り揃え、更に内装と外装を施した。その前には不動産屋から、かなりの金額を盗られた。
不動産屋は借り手と貸し手の両方から手数料を獲れるようになっている。
だから、借り手にも貸し手にも思いやりの感情は無い。
早く話を纏めて、手数料を両方から獲りたい気持ちが、はやる。
欧米の法律で不動産屋の報酬の取り方は、どちらか一方の方からしか取れないとなっている。
だから、借り手から依頼を受けたらなるべく好条件で話が纏まるように尽力する。
貸し手から依頼を受けたら貸し手がなるべく好条件で貸せるように尽力する。
日本の場合は、両方から獲れるから早く話を纏めて手数料に有り付こうとする為に、特に借り手は不利な条件で契約させられるケースは後を絶たない。
重要事項の説明も無かったり、あっても宅建の資格を持たない人間が喋ったりで夫婦でやっているような不動産屋は最悪だ。
おまけに、愛想が滅茶苦茶悪い。
お客を値踏みするような目線、最初から胡散臭い目でみるのは零細不動産屋特有だ。

日本の不動産報酬法律が欧米のように成れば良いが。

御崎良三は不動産屋に支払う金額と、借りた店舗の内装、外装、設備などに約合計650万円位かかった。
御崎は東北地方の山奥の生まれで家は代々の農家で、その三男坊として生まれた。
長男が農家を継ぐ事が決まっていたし、次男は早々と学校を卒業したら都会へ出て行った。
良三は長男の手伝いをして農家業を、やれと親から言われたが農業が嫌いな良三は、学校を卒業と同時に飛び出すようにして都会へ出たのだった。
そこで、学校から斡旋して貰った金融企業へ入社したが、お客のお金を詐欺まがいの方法で巻き上げるやり方が嫌いで一年と少しで退職した。
良く会社の帰りで同僚と一緒に居酒屋に寄って仕事のうっぷんをはらしてい
た。
退職した日も、どうせ急いで安アパートに戻っても何も楽しくない。
いつも寄って焼き鳥で一杯やっている気が張らない居酒屋に寄って行こうと思って暖簾をくぐった。
居酒屋の大将に今日付けで会社を退職したと言ったら、大将は暫く考えていたが御崎に向かって、あんた無職になったのならウチで働かないかと言った。
御崎としても退職はしたものの次に働く所は決まっていない、うまく次の職に受かるか不安だった。
御崎は渡りに船とばかりに快諾した。
私はど素人ですよ、務まりますかと不安そうに言ったが大将は俺に任せておけと嬉しい事を行って呉れた。
それから、居酒屋での仕込みから料理、客の接待など、居酒屋商売の基礎を身に着けた。

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