嬉しさザクザク②

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コラム
御崎良三は覚えが早くそれに勘が良い。今迄のメニューに一捻りを加えたり、若者が好むような全く新しい触感と味わいを作り出していた。
特に優れていた物は御崎が開発したタレだった。このタレは味わい深い濃厚で焼き鳥に付けて食べると、どれだけでも食べられる美味しいタレを開発したりしていた。
ここの大将からウチで働かないかと声を掛けられてから四年がたった。
今では、殆どこの居酒屋の中心人物となり立ち働いていたが、自分でも店を持ちたいと言う気持ちが一年程前くらいから強くなり今日、初めて大将にその気持ちを伝えた。
今迄、この居酒屋の商売のやり方を教えて頂き、働かせて頂きましたが、そろそろ自分で暖簾を出して自分の城を持ちたいのです。
と閉店後の店内で一通り掃除を済ませて椅子に座り、タバコを吸っていた大将に言ったのだった。
大将は快く承諾してくれた。あんたなら、もう大丈夫だ。きっと旨く商売居酒屋をやっていくよと太鼓判を押してくれた。そして退職金代わりだと言って封筒を御崎の前に差し出した。
こんな事をされては、恐縮ですと言って押し返そうとしたが大将は俺の気持ちを受け取れと御崎が押し返した封筒を更に押し返した。これ以上断る事は却って失礼になると思って、御崎は快く大将の餞別を受け取ったのだ。

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