みどり壮の人々②

記事
小説
この、みどり壮の人々達は概ね平和主義者で毎日をつつがなく過ごしている人達で、類は類を以って集まるの法則がこの安アパートでも発揮されている。
悪く言えば、事なかれ主義、消極的で騒動するのが嫌いな人々の集まりと言って良い。
アパートの周りは雑草が茂る土手が一面に広がっている。
隣の戸建の家までは100メートル以上も離れている。
住人達はそれぞれ雑草を少しばかり刈って小さな畑を作って花や野菜などを作っていた。
今日も何事も無く一日が終わろうとしていた頃に、めったに来ないアパートの持ち主の大家が来た。
アパートの入り口は、一応門扉が有る。
その内側に入って来た大家は、みんな~ちょっと集まってくれ~と大家は住人達みんなに聞こえるように叫んだ。
大家の声に気が付いた住人達は窓から大家を見た。
外に出て来てくれと大家が言うのでみんなして大家の前に集まった。
夕方にお邪魔してすまん。
実は話があるのだが、話を単刀直入に結論から話すとなぁ。
このアパートをみんなで買って欲しいのだが買ってくれないかと言った。
突然の話に住人達みんな顔を見合わせている。
50代の独り者の男、橋田さんが急にどうしたね大家さんと言った。
いやーね。ここの所のコロナのせいで経営していた居酒屋8軒を全部整理する事になってねー赤字を埋める為と、銀行への返済でお金が要るようになってしまった。
此処を売っても焼石に水だけど少しは足しになるだろうと思ってね。
銀行からの矢の催促で苦しい状態なんだと40代後半の抜け目の無い顔が夕日に照らされた赤ら顔の大家は言った。
一時は不動産の投資などで随分と稼いで居酒屋までやっていたが運気の波と言うのだろう今は下り坂になっているようだった。



サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す