おみくじの歴史
おみくじはその昔、良源(りょうげん)さんというお坊さんの言葉を「大吉」「中吉」などとしたことがルーツといわれています。
良源さんは、比叡山延暦寺の中興の祖として知られる、平安時代にに実在した人物です。
疫病が流行ったときに、疫病退散の祈祷を行いました。
良源さんの霊符もあります。
ちょっと人間離れした風貌ですね。
鬼のような姿は、霊力の使い過ぎで瘦せてしまった姿ともいわれています。
おみくじで神様のメッセージをいただく
おみくじは、神様からメッセージをいただく一番気軽な方法です。
神様はあなたに伝えたいことを、おみくじを通して伝えてくれます。
おみくじは参拝後に引くのが良いとされています。
また、参拝のときに神様にしっかり伝えてください。
「この後で、おみくじを引かせていただきますので、今の私において
必要なお言葉がありましたら、どうぞよろしくお願いいたします」
引越しや縁談、受験など具体的なことについてのメッセージを希望するときは、そのことも伝えましょう。
吉凶はあまり大事ではない
おみくじを開くと、まず一番気になるのが吉凶だと思いますが、実はあまり重要ではありません。
生きていれば調子が良いときも悪いときもありますから、たとえ凶が出ても落ち込む必要はありません。
おみくじで一番大事なのは、上の画像にあるように、和歌が詠まれている部分です。ここが、神様から私達へのメッセージです。
さらにもう一つ付け加えると、たとえ大吉でも戒めの言葉がいっぱいで、かなり厳しいことが書いてあるときがあります。
逆に小吉でも、驚くくらいに嬉しいことが書いてあることもあります。
どういうことかというと、おみくじにはその人の運勢の流れまで教えてくれているからです。
つまり吉凶のなかに
1.下っている運勢、
2.現状維持の運勢、
3.上昇していく運勢
・・・と、自分が今、どの方向へ流れているのかまで教えてくれています。
境内の樹木には結ばない
神社に行くと、境内の木に結んである光景を見かけますが、樹木が傷んでしまうので、専用のおみくじ掛けに結ぶようにしましょう。
吉凶だけを見て結んでしまわず、ぜひ運勢の説明書をじっくり読んでいただきたいと、個人的には思います。
また、「おみくじは結んで帰るもの」という決まりはありませんので、大吉などの縁起の良いおみくじを持ち帰ってもまったく問題ありません。
私は「持ち帰る派」ですが、何ヶ月か後におみくじを読み返したとき、「この言葉はそういう意味だったのか」と気づく場合も多いです。
持ち帰ったおみくじは後日、神社(同じ神社でなくても良い)へ参拝した際に「納札所」に納めれば、お炊き上げしてもらえます。
お寺で引いたおみくじは、お寺に納めてくださいね。
伊勢神宮にはおみくじがない
伊勢神宮の内宮・外宮ともに、正宮にはおみくじがありません。
一説によれば、参拝できたことがすでに「大吉」だからという理由だそうです。
車や電車、飛行機などがなかった時代は、徒歩でお伊勢参りをしていました。
遠方からだと何十日もかけて大変な思いで参拝したことでしょう。
そこまでして参拝したい、「一生に一度は伊勢参り」というのは、庶民の大きな夢だったにちがいありません。
そんな状況で伊勢参りが達成されたことは、それだけで大変幸運なこと、つまり「大吉」だということです。
余談ですが、内宮・外宮の正宮には賽銭箱もありません。
これは「私幣禁断(しへいきんだん)」といい、神宮はもともと天皇が幣帛(へいはく=捧げ物)を供進(奉納)し、国家の安泰や国民の健康を祈願するところであり、一般人が金銭の奉納をすることが禁じられていたからです。
「いや、賽銭箱はなかったけど、白い布の上に賽銭を入れてきましたよ」と反論する方がいらっしゃいました。
違うんです。
あの白い布は、お賽銭禁止を知らずに、お賽銭を投げる人があまりにも多いので、お金の穢れから地面を守るためにあるのです。
白い布はお賽銭を入れるものではないと覚えておいてください。
おみくじを漢字で書くと「神の籤(くじ)」です。
神様の尊いお言葉が書かれていますので、謹んで授かり、おみくじを楽しんでくださいね。