2026年度診療報酬改定(中医協2025/11/14論点) ― リハビリテーション部門の“構造改革”が可視化される改定 ―

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コラム
2026年度診療報酬改定(中医協2025/11/14論点)
― リハビリテーション部門の“構造改革”が可視化される改定 ―
(佐藤俊彦・言語聴覚士/福祉社会科学修士/病院・大学・地域支援の経験から)

① 急性期リハ「発症3日以内」の要件化は、病院文化の再編を促す
急性期で勤務した経験と、回復期での管理職経験から見ると、
これは「算定基準の変更」というより病院運営方針そのものの転換です。
早期介入は、質を上げるための「エビデンス」として既に常識
• 脳卒中後、言語聴覚士の早期介入は嚥下改善や退院先決定に直結
• 誤嚥性肺炎の予防
• 栄養状態の改善
• 早期リハ拒否(意識障害・高次脳障害)への対応も含まれる
これらは、現場では常に課題でした。
しかし「早期介入できる組織」は実は少ない
臨床を見てきた中で、早期介入を阻むのは主に3つです。
1. 人員不足(特に言語聴覚士)
2. 土日祝の稼働が不十分
3. 医師側のリハ処方が遅い・噛み合わない
今回の要件化は、この3つをクリアできる病院だけが生き残る構造をつくります。
つまり、
「早期介入できる体力のある病院」=今後の勝ち組
「体制を整えられない病院」=算定・機能ともに縮小
急性期の言語聴覚士配置は、2026年度を境に大きく強化されるでしょう。

② 運動器リハの「1日6単位上限」が他病棟にも拡大
これは、量→質への転換を強制する改定です。
回復期リハ病院の管理職・採用担当として見てきましたが、
1日9単位前提の運用は、
• 中重度例のケアが薄くなる
• ICFに沿った計画が形骸化する
• “単位確保のためのリハ”が増える
という弊害がありました。
今回の流れは明確です。
「単位の多さ=評価する」時代が終わる
「根拠のある介入」「多職種連携」「アウトカムの可視化」に軸足が移る
特に、
• 共同カンファレンスの頻度
• 計画書の妥当性
• 他職種の評価結果の反映
• 退院後の生活設計
が重視される時代が来ます。

③ 摂食機能療法の「観察・介助だけ算定の排除」は本質回帰
病院・大学・在宅支援、さらに嚥下リハ講師としての経験から、
これは「摂食嚥下リハの価値を守るための当然の措置」です。
言語聴覚士が行うべきは「観察」ではなく、以下の専門介入
• 嚥下造影(VF)・内視鏡(VE)と連動した評価
• 食形態の調整
• 嚥下訓練
• 姿勢調整・環境調整
• 栄養・口腔連携
• 看護・介護スタッフへの指導
観察介助だけの算定は、専門性を損なう問題であり、
今回の見直しはむしろ本質的です。

言語聴覚士の“質の差”が一気に露呈する領域
評価・訓練・食形態調整・環境調整ができるSTが評価され、
「見守り中心」の介入しかできないSTは排除される方向です。

④ 「リハ+栄養+口腔」連携加算の要件緩和は、多職種協働を軸にした新しい時代へ
地域の委員会や嚥下リハ研修会の講師として活動してきた経験から見ると、
この加算は本来、全病院が取り組むべき内容でした。
しかし現実は、
• 会議体の負担
• 書類・配置要件の高さ
• 医科・歯科の連携不全
などが障壁となり、多くの病院が“取れない加算”になっていました。
要件緩和によって、
「取り組みたいが制度上できなかった病院」が参入できる
嚥下障害・サルコペニアへの介入が病院全体で行いやすくなる
地域包括ケアとの連携が進む
言語聴覚士・栄養士・歯科衛生士の連携は、回復期でも急性期でも在宅でも、確実に価値を生む領域です。

⑤ 最終見解:今回の改定は「病院格差を表面化させる改定」
これまで
• 人手不足
• 個人頼みのリハ
• 多職種連携が弱い
• 医師の理解が浅い
病院でも、なんとなくやり過ごせていた部分がありました。
しかし2026年度改定は、明確にこう言っています。
「体制を作った病院は評価する」
「体制を作れない病院は縮小させる」
これまでの私の臨床・病院運営・採用・大学指導の経験からも、
これは「時代の必然」だと感じます。

リハ部門・言語聴覚士部門が今すぐ準備すべきこと
1. 急性期言語聴覚士の配置増(休日を含む早期介入体制)
2. 摂食嚥下リハの専門性の底上げ(見守り介助から脱却)
3. 栄養・口腔との統合支援を病院文化として根付かせる
4. ICFに沿った目標設定とアウトカム評価の標準化
5. リハ計画書・カンファレンス・記録の質向上
これらは“病院の生き残り条件”になります。
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