夏の思い出

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ある祭りの夜、僕は親戚の叔父さんと手を繋いで、祭りの会場に向かって歩いていた。まだ幼稚園にもあがっていない、幼き頃だった。

祭りの会場には、ひとつの川を越えていく。その川にかかる橋が見えた。橋にはたくさんの出店。夜だったけれど、橋の上はとても明るかった。

叔父さんと手を繋いで、その橋に向かう僕は、これ以上、その橋に近づいてはいけないような気がしていた。祭りの賑やかさ、その雰囲気に近づいてはいけないような気がしていた。

理由などなく、ただ・・これ以上、歩きたくない・・でも、そんな僕のなかの憂いを、僕は隠していた。手を繋ぐ叔父さんと、歩調を合わせて、明るい橋、賑やかそうな橋に向かって、歩いた。

季節は夏だった。だからあの祭りは、夏祭りだった。

これ以上、進んじゃいけない・・そう思いながらも進んでた、歩いてた・・そんな自分を、夏になると思い出す。

今年も、思い出した。



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