シグナルを探せ!

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トレードにおける損切り基準として、ボラティリティの標準偏差を見ることは重要です。これは電気回路で例えれば、いわゆるノイズということになります。
ノイズがあるからには、当然シグナルも考えることが出来ます。さらに、このシグナルとノイズとの比を取り、その対数を取れば、よく知られるSN比ということになります。

品質工学においては、このSN比は非常に重要な概念です。これが大きいほど、安定した品質を得ることが出来るのです。特に、外乱に対してSN比が低下しにくいシステムほど、優れたシステムであるといえます。 
この考え方を展開したタグチメソッドは、工業分野に留まらず、様々な分野で応用されています。

SN比が大きく安定しているということは、株式投資で言えば株価の変動の影響を受けにくい、ということです。 
さらに、SN比と並ぶもう一つの概念として、感度というものがありますが、これが大きいほど出力を大きく取ることができます。まずはSN比の最適条件を求め、この条件を崩さない範囲で感度を最大化するというアプローチになるわけです。

さて、この考え方は当然、株式投資、特にシステムトレードに応用できます。SN比の構成要因であるノイズについては、ボラティリティの標準偏差を用いることで、見当をつけることができるでしょう。問題は、シグナルです。 

SN比は最終的に対数を取るわけですが、その対数演算を行なう値は正数でなければなりません。すなわち、マイナスの値を取り得るファクターをシグナルにすることは出来ません。株価収益率や資産増加率などは、そのままではシグナルとして使えないのです。 

今までは、資産カーブの直線性、すなわちロバスト性が高いことが、システムの重要な要件の一つであると考えてきました。もちろんそれは今でも変わりません。 
しかし、これは「結果的」にロバスト性が高い条件を探し出すことであり、品質工学的な手法とはやや異なります。

もし適切なシグナルを見出すことができれば、それを元にSN比を定義でき、SN比が大きくかつ外乱(相場環境等)に対して安定している条件を求めることにより、「最適」な投資システムを得ることが出来ます。 
一度このようなシステムが出来上がれば、想定した外乱の範疇ならば、単なるオーバーフィッティングではない、安定した成績を上げ続けることができると考えられます。

もちろん、自然科学なら有効と思われるこれらの手法が、社会科学の分野で有効に作用するかという懸念はあります。本来は様々な自然法則が複雑に絡み合った現象を、それらが上手くバランスするように再構築することを目的とする手法であり、自然法則が内包されているとは明示できない社会科学分野においては、その有効性に疑問が持たれることは当然でしょう。 

それでも、理論的または常識的に、入力に対して出力が比例関係にあるシグナルが存在するならば、様々な外乱(ノイズ)によってそのシグナルの直線性ができるだけ乱れないように条件を最適化することにより、有効な投資システムを得ることが出来ると考えたいのです。 

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